技能試験で使う工具一覧:持ち込み可能・禁止の確認と選び方

試験当日、工具で迷う人は意外と多い

技能試験は「40分で配線を完成させる実技試験」だ。手を動かす時間が全てで、工具を迷っている余裕はない。それなのに、試験直前になって「この工具は持ち込んでいいの?」「圧着工具はどれを買えばいい?」と迷う受験者は少なくない。

この記事では、持ち込み可能な工具・禁止工具の区分を整理したうえで、試験で実際に使う主要工具の選び方を現場経験者の目線から解説する。「現場ではこう使う、試験ではここに注意」という対比で、選定の理由まで伝える。

技能試験の全体像は第二種電気工事士の技能試験とは?候補問題・判定基準・試験時間を整理を先に読んでおくと理解が深まる。

持ち込み可能工具・禁止工具の区分

試験センターの規定では「試験に必要な工具は受験者が持参する」とされている。ただし、すべての工具が許可されているわけではない。まず禁止工具を把握しておかないと、当日没収される可能性がある。

持ち込み禁止(絶対NG)

  • 測定器類(テスター・検電器・クランプメーターなど)
  • はんだごて・はんだ
  • 電動工具(電動ドライバー・電動ストリッパーなど)
  • トーチランプ・ガスバーナー
  • 通信機器(スマートフォン・タブレットなど)

測定器が禁止なのは試験の性質上当然だが、「検電器くらいいいか」と思って持ち込もうとする人がいる。持参自体がNGではなく「使用が禁止」という解釈もあるが、トラブルを避けるためにカバンの中に入れておくのが無難だ。電動ドライバーも禁止。現場では当たり前に使うが、試験では手動工具のみ。

持ち込み可能(基本工具)

  • 圧着工具(手動式)
  • ワイヤーストリッパー
  • プラスドライバー・マイナスドライバー
  • ペンチ
  • 電工ナイフ
  • ウォーターポンププライヤー
  • スケール(メジャー)
  • ボックス用ノックアウトパンチャー(ホルソー)

工具の数や種類に制限はないので、使い慣れたものを複数本持参してよい。ドライバーも複数サイズ持ち込める。ただし、持ち込みすぎると作業スペースが狭くなるので、実際に練習で使ったものだけに絞るのが現実的だ。

圧着工具:試験合否を左右する最重要工具

圧着工具は技能試験で最も失点リスクが高い箇所で使う道具だ。リングスリーブの圧着マーク(○・小・中・大)が適正でないと「重大欠陥」になる。工具選びで結果が変わりうる。

推奨工具:ホーザン P-737(YF-1A系)

試験でよく使われる圧着工具はホーザンの P-737 またはマーベルの MH-17 など、いわゆる「YF-1A系の規格に対応したリングスリーブ用圧着工具」だ。ダイスが ○・小・中・大 の4種を切り替えられるもので、第二種電気工事士の技能試験に必要な全スリーブサイズに対応している。

選ぶ際の確認ポイントは以下のとおり。

  • リングスリーブ(小・中)に対応していること
  • 圧着後にダイス表示(○・小・中・大)がスリーブに転写されること
  • グリップが握りやすく、40分の試験で疲れないこと

現場との違い: 現場では圧着マークの種類より「確実に圧着できているか」が優先され、スリーブの選択も熟練者の経験則で行われることがある。しかし試験では「マークの種類が正しいか」が採点基準になる。現場慣れしている人ほど、この点で引っかかりやすい。

工具セットで揃える選択肢

圧着工具を単体で買うより、試験向け工具セットをまとめて購入する方が効率的なことが多い。セット品を選ぶ場合は「第二種電気工事士 技能試験対応」と明記されているものを選ぶこと。試験範囲外のダイスしか入っていないセットが市場に存在するので注意が必要だ。試験対策セットの選び方は【第二種電気工事士】技能試験の材料集めで迷ったらコレ!一発合格を引き寄せるおすすめ対策セットでまとめている。

ワイヤーストリッパー:スピードを稼ぐための投資

電線の被覆剥きは試験中に何十回と行う作業だ。電工ナイフでも規則上は問題ないが、時間効率がまったく違う。40分という制限時間を考えると、ワイヤーストリッパーは実質必需品と考えてよい。

選び方のポイント

  • VVF用(2.0mm・1.6mm対応): 技能試験で最も多く使うのはVVFケーブルの1.6mm・2.0mm。これに対応した刃の位置が固定されているタイプが使いやすい
  • 刃の深さ調整機能: 絶縁体だけを切って銅線を傷つけないための機能。試験では芯線に傷が付くと欠陥になる可能性があるため重要
  • ホーザン P-958 などの定番品: 試験向けとして多くの受験者が使用。刃の調整が不要で迷わず使える

現場との違い: 現場では太い電線や特殊ケーブルを扱うため、万能型のストリッパーや電工ナイフを使う場面が多い。試験ではVVFが中心なので、試験特化のストリッパーの方が作業が速い。「現場で使い慣れているから」という理由で万能型を持ち込むと、かえって時間を取られることがある。

ドライバー・ペンチ・電工ナイフ:基本工具の選び方

ドライバー

試験ではコンセント・スイッチ・端子台のネジを締める場面が多い。プラスドライバーは No.2(一般的なサイズ)を1本は必ず持参する。No.1(小)も端子のサイズによっては使うので、2本持参しておくと安心だ。マイナスドライバーは露出型コンセントの端子や、引掛シーリングの引き外し用に使うことがある。

現場との違い: 現場では電動ドライバーを使うため、手動ドライバーの疲れ方を把握していない人がいる。試験は40分間手動作業が続くので、グリップが太くて握りやすいものを選ぶと疲れにくい。

ペンチ

電線の切断・成形・リングスリーブを噛ませる補助などに使う。試験ではペンチよりストリッパーや圧着工具の出番が多いが、電線を切りそろえる場面でペンチは必要だ。標準的な150mm〜175mmのものを1本持参すれば十分。

電工ナイフ

VVRケーブル(丸形)の外装を剥くときに使う。VVFはストリッパーで外装まで剥けるが、VVRは断面が丸くストリッパーが使いにくいため、電工ナイフで外装を切り込む必要がある。候補問題にVVRが含まれていれば必須になる。刃は折りたたみ式(安全ナイフ)でも問題ない。

現場との違い: 現場ではナイフの使い方は経験で身についていることが多いが、試験では「芯線を傷つけない剥き方」が求められる。ケーブルを回しながら少しずつ剥く練習をしておくこと。

まとめ

技能試験の工具は「持ち込める・禁止」の区分を把握したうえで、試験に出る作業に特化したものを選ぶのが正解だ。現場で使い慣れた工具がそのまま試験で最適かどうかは別の話で、「試験の採点基準に合った使い方ができる工具」を選ぶ視点が必要になる。

  • 禁止工具:測定器・電動工具・はんだごては持ち込まない(使用禁止)
  • 圧着工具:YF-1A系のリングスリーブ対応・ダイス表示転写タイプを選ぶ
  • ワイヤーストリッパー:VVF専用タイプが試験では速くて確実
  • ドライバー:No.2プラスを中心に、グリップが握りやすいものを選ぶ
  • 電工ナイフ:VVRが候補問題に含まれていれば必須

工具は練習の段階から試験当日と同じものを使い続けること。試験直前に新しい工具に変えると、手に馴染んでいない分だけタイムロスが生まれる。