技能試験の合否判定基準:欠陥の種類と見落としやすいポイント

「どこまでなら大丈夫か」が一番気になるポイント

技能試験で最も不安になるのは、配線の仕上がりを自己採点する場面だ。「この剥き寸法は短すぎないか」「圧着マークがズレているかもしれない」――こういった不安は、欠陥の判定基準を正確に理解していないと試験当日まで続く。

この記事では、技能試験の合否を決める「欠陥」の定義と区分を整理し、現場経験者が特に引っかかりやすいポイントを具体的に解説する。試験センターが公表している判定基準をベースに、現場目線の補足を加えていく。

技能試験の全体像(候補問題の構成・試験時間など)は第二種電気工事士の技能試験とは?候補問題・判定基準・試験時間を整理にまとめているので、まず全体を把握しておくと理解が深まる。

欠陥は「重大欠陥」と「軽微欠陥」の2種類

技能試験の判定基準は、欠陥を大きく2種類に分けて運用している。

  • 重大欠陥:1つでも確認された時点で即不合格
  • 軽微欠陥:2つ以上あると不合格(1つは許容)

この「1つでアウト」と「2つでアウト」の違いは非常に重要で、試験中の自己判断にも直結する。たとえば「ちょっと短いかもしれないが致命的ではない」と思ったものが、実は重大欠陥の基準に当たることがある。

重大欠陥に該当する主なケース

以下のいずれか1つが確認されると、その時点で不合格となる。

  • 未完成(配線が途中で終わっている、接続が1箇所でも未完了)
  • 配線の誤り(単線結線図と異なる回路になっている)
  • 回路の短絡(接地線と非接地線が接触している状態)
  • 接地線の誤接続(D種接地線が非接地側に接続されている等)
  • 電線の種類・太さの誤り(VVF2.0mmを指定箇所に1.6mmを使った、など)
  • リングスリーブの規格ミス(小・中・大のサイズ選択が間違っている)
  • 圧着マークの完全な欠如(圧着工具でマークが入っていない)
  • 差込コネクタへの挿入不足(電線が抜けた状態)
  • 極性の誤り(接地側・非接地側の接続が逆)

現場では「まあ通電するから問題ない」という判断が通ることもある。しかし試験では「回路が正しいかどうか」だけでなく「施工のルールを守っているか」が問われる。通電する回路であっても、電線の種類が指定と違えば重大欠陥になる。

軽微欠陥に該当する主なケース

以下は1つまでなら合格範囲内だが、2つ以上で不合格になる。

  • 絶縁被覆の傷(心線まで達していない軽い傷)
  • 器具への電線接続時の被覆噛み込み(軽微なもの)
  • 端子台・引掛シーリングの締め付けが若干甘い
  • 電線の長さが指定より多少短いまたは長い(許容範囲の外側)
  • ランプレセプタクルのネジ締めが不十分

軽微欠陥の「2つで不合格」というルールは、逆に言えば「1つは大目に見てもらえる」ということでもある。ただし実際の試験では、1つのミスが連鎖して複数の欠陥につながるケースが多い。たとえば「被覆剥き長が不均一」なまま圧着すると、被覆噛み込みも同時に発生する。

現場ではOKでも試験ではNGになる具体例

現場経験がある人ほど「これくらいは問題ない」という感覚で施工しがちだ。しかし試験の判定基準は現場の慣習とは別物で、具体的な数値と規格で決まっている。以下に特に引っかかりやすい例を挙げる。

圧着マークの違い

現場でリングスリーブを圧着するとき、使う工具の状態や作業者の癖でマークが多少ズレることがある。現場なら「ちゃんと圧着できていれば問題ない」で通ることも多い。しかし試験では、圧着マークが指定と異なる刻印になっていると重大欠陥になる。

  • 小スリーブに「○(極小)」を使うべき箇所で「小」が刻印された → 規格違い
  • 中スリーブの接続で「小」を刻印してしまった → 重大欠陥

圧着工具には「○・小・中・大」の刻印ダイスが対応している。電線の本数と太さの組み合わせに対して使うスリーブと刻印が決まっているので、この対応表は必ず暗記しておく必要がある。

被覆の剥き寸法

器具への接続(ランプレセプタクルや端子台など)では、心線を露出させる長さに基準がある。現場では「だいたいこれくらい」という感覚で剥くことが多いが、試験では器具ごとに目安の寸法がある。

  • ランプレセプタクル:ネジ端子に心線が1周しっかり巻き付く長さ(20mm前後が目安)
  • 引掛シーリング・露出形コンセント:器具の差込口に合わせた長さ
  • 差込コネクタ:コネクタの窓から心線が見える程度(12mm前後)

短すぎると接触不良・抜け(重大欠陥)になり、長すぎると心線露出(短絡リスク・重大欠陥)になる。現場では「まあ繋がれば」で許容される場合もあるが、試験では測られる意識で剥くこと。

差込コネクタへの挿入の深さ

差込コネクタは現場でもよく使う器具で、「刺せばOK」という感覚になりやすい。しかし試験では、確実に奥まで挿入されているかが確認される。電線を軽く引いて抜けた場合は重大欠陥だ。

コツは、コネクタの窓から心線の先端が見えるまで挿し込むこと。ケーブルの被覆に傷をつけないように慎重に挿すことも意識したい。

被覆の傷

現場では電工ナイフやストリッパの使い方が多少雑でも「通電に支障なし」として問題にならないことがある。しかし試験では、心線に達していない被覆の傷でも軽微欠陥として記録される。深い傷や複数箇所の傷は重大欠陥と判断されることもある。

ストリッパの刃のセット位置を正確にして、一発で綺麗に剥くことを練習で身につけておく必要がある。

ランプレセプタクルの極性

現場では「スイッチで切れていれば極性は気にしない」という場面もある。しかし試験では、ランプレセプタクルの接地側(Wマーク)に白線(接地側)を接続する極性の正確さが厳しく見られる。逆に接続すると重大欠陥になる。

試験直前に確認すべき「自己採点ポイント」

作業完了後、試験では数分の見直し時間が生まれることがある。限られた時間でチェックすべき箇所を優先順位で整理しておく。

  1. 回路の正確さ:単線結線図と照らし合わせ、接続の過不足がないか
  2. 圧着マーク:スリーブと刻印の組み合わせが合っているか、全箇所に刻印があるか
  3. 差込コネクタ:全ての電線が奥まで挿さっているか、引いても抜けないか
  4. 極性:ランプレセプタクル・引掛シーリング等の白線(W側)の確認
  5. 被覆の状態:スリーブや器具の端子部分で被覆を噛み込んでいないか

重大欠陥から先に潰す順番で確認することが最優先だ。軽微欠陥は1つまで許容されるので、2つ以上になっていないかをカウントする意識で見ていく。

まとめ

技能試験の合否は「欠陥の有無と数」によって決まる。判定の仕組みと、現場感覚との乖離を事前に把握しておけば、試験本番の余計な不安を減らすことができる。

  • 重大欠陥は1つでも即不合格:回路の誤り・圧着マーク違い・極性逆・電線種類ミスが代表例
  • 軽微欠陥は2つ以上で不合格:被覆の傷・締め付け不足など。1つは許容されるが連鎖に注意
  • 現場感覚をリセットする:「通電すればOK」ではなく「規格通りか」を基準にする
  • 剥き寸法・圧着マーク・差込の深さは練習段階から数値を意識して体に染み込ませる