アウトレットボックス・ノックアウト穴の処理:技能試験での作業手順
試験でアウトレットボックスが出たら、どこを見るか
技能試験の候補問題には、アウトレットボックスを使う構成がいくつか含まれる。支給品の中に鉄製の箱が入っていたとき、「どこに穴を開けるか」「何を使って固定するか」がすぐに判断できないと、40分という制限時間のなかで焦りが出る。
現場では電線管の施工でアウトレットボックスを日常的に使うが、試験での取り扱いルールは現場より細かい。欠陥判定に直結する箇所があるため、「現場でやっていること」と「試験で求められること」の差を意識して準備する必要がある。
この記事では、ノックアウト穴の打ち抜き方から、ロックナット・絶縁ブッシングの取り付け手順まで、試験で問われる作業を順番に整理する。接地の種別(A種・B種・C種・D種)との関係も、アウトレットボックスが頻出になる背景として押さえておくとわかりやすい。
アウトレットボックスの役割と試験での登場場面
アウトレットボックスは、電線の分岐・接続・引き出しをまとめる鉄製の箱だ。壁の中や天井面に固定して使い、電線管と組み合わせることで配線を保護する。
試験での登場パターンは主に2つある。
- 金属管(薄鋼電線管)の端部をボックスに接続する構成
- PF管(合成樹脂製可とう電線管)の端部をボックスに接続する構成
どちらも、複線図を正しく読んでから施工順序を組み立てる必要がある。複線図の読み方の基本は複線図の書き方:第二種技能試験の基本パターンを整理で確認できる。
また、アウトレットボックスにはD種接地(旧第三種接地)が必要なケースがある。金属製のボックス本体が露出する構成では、試験の問題文や配線図に接地工事の指示が入ることがある。接地種別の判断基準を頭に入れておくと、問題を読んだときの理解が早くなる。
ノックアウト穴の打ち抜き方:手順と注意点
アウトレットボックスの側面には、あらかじめ薄くプレス加工された「ノックアウト」と呼ばれる打ち抜き予定の円形部分がある。ここを工具で叩いて穴を開け、電線管を通す。
打ち抜きの手順
- 電線管を接続する面と穴径(19mm・25mmなど)を確認する
- ドライバーやペンチの柄など、硬いもので中心を押すように叩く
- 外側に向かってノックアウト部分が外れる方向に力をかける
- 穴の端部にバリが残っていれば、ヤスリまたはペンチで整える
現場では専用のノックアウトパンチャーを使うことが多いが、試験では持ち込み工具の範囲内で対応する。試験の問題構成では、あらかじめ穴が開いた状態で支給されるケースと、受験者が打ち抜くケースのどちらもありうるので、問題文を落ち着いて確認することが先決だ。
使わない穴はふさぐ
開けた穴に電線管を通さない場合は、ゴムブッシングまたは打ち抜いたノックアウトのふた(リングレデューサーなど)で穴をふさぐ必要がある。試験では「使わない穴をふさいでいない」ことが欠陥になる場合がある。支給品にゴムブッシングが含まれているときは、どの穴に使うかを最初に確認しておく。
ロックナット・絶縁ブッシングの取り付け手順
金属管(薄鋼電線管)をアウトレットボックスに固定するときは、ロックナットと絶縁ブッシングを使う。現場では手際よく締めるだけだが、試験では取り付ける向きと順序が評価される。
ロックナットの役割と取り付け
ロックナットは電線管のねじ部分(カップリング側)をボックス壁に固定するための締め付け部品だ。ボックスの外側と内側の両方からナットで挟み込む「両側締め」が基本の構成になる。
- 電線管の端部にロックナットを1枚通しておく(ボックス外側用)
- ノックアウト穴に電線管を差し込む
- ボックス内側から2枚目のロックナットを締める
- 外側のロックナットを締めて、ボックス壁を挟み込む
ロックナットの歯(ギザギザ面)はボックス壁に向けて当てる。逆向きに付けると締まりが悪く、緩みの原因になる。試験でも向きを誤ると欠陥と判定されることがある。
絶縁ブッシングの役割と取り付け
絶縁ブッシングは電線管の口端(内側の切り口)に取り付ける樹脂製の部品だ。金属管の切断面で電線の被覆が傷つくのを防ぐ。
取り付け位置はロックナットより内側、つまりボックスの内部に入った電線管の端に装着する。これを付け忘れると欠陥になるため、最後に目視確認する習慣をつけておく。
PF管を接続するときはコネクタを使う
PF管(合成樹脂製可とう電線管)の場合はロックナットではなく、PF管用コネクタをボックスのノックアウト穴に取り付ける。コネクタのボックス側にはロックナットで固定する構成が多い。PF管はコネクタに差し込んでネジを締めるだけなので、金属管よりも手順はシンプルだ。
ゴムブッシングが必要な穴と不要な穴の見分け方
試験でよく混乱するのが「この穴にゴムブッシングは要るか」という判断だ。試験特有のルールがあるため、現場感覚だけで対応しようとすると判断がずれることがある。
ゴムブッシングが必要なケース
- 電線管を使わずに、ケーブル(VVFなど)を直接アウトレットボックスに引き込む穴
- 穴を開けたが、電線管を通さずに空けたままにする穴(ふさぎ用として使う)
ゴムブッシングをケーブル引き込み穴に使う理由は、金属の切断面でケーブルの被覆が傷つくのを防ぐためだ。絶縁ブッシングが電線管内部の口端に付けるのに対し、ゴムブッシングはノックアウト穴自体に付ける点が異なる。
ゴムブッシングが不要なケース
- 電線管(金属管・PF管)を通す穴(ロックナットと絶縁ブッシングで保護するため)
現場では「とりあえずブッシングを付けておく」という判断もあるが、試験では支給品の数と使う箇所が決まっている。支給されたゴムブッシングの枚数を確認して、どの穴に使うかを問題文から読み取ることが大切だ。
現場と試験の差をどう意識するか
現場では電線管の施工でアウトレットボックスをよく使うが、試験での取り扱いルールは現場より細かく、欠陥項目として明確に定義されている。「現場でやってきたことと同じ感覚でいい」という油断は禁物で、特に以下の3点は試験特有の確認ポイントとして意識しておく。
- 使わない穴を必ずふさぐ(現場では見落としても即問題にならないが、試験では欠陥)
- ロックナットの向き(歯の向き)を正しく当てる
- 絶縁ブッシングの付け忘れをゼロにする
まとめ
アウトレットボックスの処理は、手順のひとつひとつが欠陥判定と直結する作業だ。試験で焦らないために、ノックアウト穴から絶縁ブッシングまでの流れを繰り返し練習して手順を体に染み込ませることが近道になる。
- ノックアウト穴は必要な面だけ打ち抜き、使わない穴はゴムブッシングでふさぐ
- ロックナットは歯の向きをボックス壁に当て、両側から締め付ける
- 絶縁ブッシングは電線管の内側口端に装着し、付け忘れを目視確認する
- PF管はPF管用コネクタを使い、手順は金属管より少ない
- 現場感覚と試験ルールの差を意識し、欠陥3点(穴ふさぎ・ロックナット向き・ブッシング)は必ず確認する
