スイッチ・コンセントの接続:渡り線の作り方と向き
現場では当たり前、試験では落とし穴になる渡り線
現場でスイッチやコンセントを複数並べるとき、渡り線は「そこにある普通のもの」として特に意識せずに施工することが多い。電線をちょっと短く切って端子に差すだけ。長さも色も「だいたいこんなもん」で済ませてきた人がほとんどのはずだ。
ところが技能試験では話が変わる。渡り線の長さが短すぎれば欠陥、色が違えば欠陥、向きが逆なら欠陥。現場では気にもしなかった部分が、採点の対象になる。この記事では、試験で確実に点を取れるよう、渡り線の「作り方・色の使い方・向き」を整理する。
渡り線とは何か:複線図のどこに対応するか
渡り線とは、同一の連用取付枠に並んだスイッチやコンセントの器具間を接続する短い電線のことだ。同じ電位点(電圧側または接地側)をまとめて渡すために使う。
複線図では、同電位の端子同士を結ぶ線として現れる。単純な1路スイッチ2個の並列なら「接地側どうしを渡す」「非接地側から2つのスイッチ端子に渡す」という形になる。
複線図の書き方:第二種技能試験の基本パターンを整理で複線図全体の描き方を確認しておくと、渡り線がどの線に対応するかが視覚的につかみやすくなる。
器具ごとの渡り線の位置
- スイッチ:電源非接地側(黒)を入力端子から渡す。スイッチごとに独立した回路なので、渡るのは電源側の端子のみ
- コンセント:接地側(白)と非接地側(黒)の両方を渡す。極性があるため、W刻印(接地側)は白、W刻印なし(非接地側)は黒を使う
- スイッチとコンセントの混在:接地側はコンセントのW端子に白で渡し、非接地側はスイッチ入力とコンセントの両方に黒で渡す
渡り線の長さの目安:採点基準を意識した寸法
技能試験の欠陥判定では、器具に接続した電線の長さが「絶縁被覆を器具内に噛み込んでいる」または「心線の露出が過大」な場合に欠陥となる。渡り線が極端に短いと被覆の噛み込みリスクが上がり、長すぎると試験後の引き出し量が規定を外れることがある。
現場の感覚で言えば「器具の幅より少し長め」を目安にすると安定する。連用スイッチの幅は約55mm。渡り線は両端の剥き代(約10〜12mm)を含めて、仕上がりで器具から器具の端子間が収まる長さにする。
- 器具1個分(同一取付枠内の隣):100mm前後を目安に切る
- 被覆の剥き代:両端とも10〜12mm。心線が見えすぎず、端子に確実に差し込める長さ
- ループしない:短く切って直線的につなぐ。余った線をUターンさせるのは試験では不利になることがある
繰り返し練習で自分の手が「渡り線はこの長さ」と覚えるまで、最初は定規で測って確認するのが確実だ。
3路・4路スイッチの渡り線:複線図が複雑になる理由
1路スイッチの渡り線は「黒を渡すだけ」と単純だが、3路スイッチが絡むと複線図が一気に難しくなる。ここが技能試験での最大の引っかかりポイントだ。
3路スイッチの端子構成と渡り線
3路スイッチには「0端子(共通)」と「1端子・3端子(切替)」がある。渡り線を使う場面は、3路スイッチが2個以上同一取付枠に収まる構成の候補問題に限られるが、端子の番号と線色の対応を間違えると欠陥になる。
- 0端子:電源側(黒)または負荷側(黒)が接続される共通端子
- 1・3端子:スイッチャー線(赤・黒)が接続される端子
- 渡り線に使う色は接続する端子の電位に合わせる。スイッチャー線の色(赤・黒)が混在することがある点が1路より複雑
4路スイッチが入ると線色の整理が必要
4路スイッチは1・2端子と3・4端子の組み合わせを切り替える構造だ。3路→4路→3路という接続順になる候補問題では、4路スイッチへの接続線(スイッチャー線)の色が何色になるかを複線図で確認してから施工しないと、渡り線の色を誤りやすい。
試験本番での対策としては、3路・4路が絡む複線図は必ず紙に描いてから施工に入ること。頭の中だけで処理しようとすると、端子番号と線色の対応がブレる。
複線図の描き方と線色の基本ルールは複線図の書き方:第二種技能試験の基本パターンを整理で確認できる。
渡り線の色の使い方:試験で守るべきルール
渡り線の色は、使う電線の電位に合わせるのが基本だ。試験で問われる色のルールを整理する。
| 接続箇所 | 使う色 | 理由 |
|---|---|---|
| 接地側(スイッチ・コンセント) | 白 | 接地側電線は白が原則 |
| 非接地側(スイッチ入力・コンセント) | 黒 | 電源側(非接地)は黒が原則 |
| スイッチャー線(3路・4路) | 赤または黒 | 白以外を使う。複線図で確認して決める |
コンセントの接地側端子(W刻印)に黒を差すと極性違いで欠陥になる。スイッチは極性がないが、試験の採点では線色が配線規則に合っているかを見られることがある。迷ったら複線図の色分けに従うのが最も確実だ。
リングスリーブで接続するときの電線本数と刻印の組み合わせは電線の被覆剥きとリングスリーブの組み合わせ:一覧まとめに整理してある。渡り線を含めた電線の本数を数え間違えないよう、スリーブ選定と合わせて確認しておくといい。
施工の向き・差し込む方向:試験で確認するポイント
渡り線の「向き」というのは、器具のどの端子からどの端子に向けて差すか、という話だ。現場では「ぱっと見てわかれば問題ない」感覚で済ませることが多いが、試験では器具の取り付け方向(上下)と端子の位置関係が決まっているため、誤配線の判定を受けないよう注意が必要だ。
- 差し込みは確実に:心線が端子の奥まで入っているか確認する。浅いと試験官が引き抜きテストで抜けてしまう
- 器具の向きを先に決める:連用取付枠にスイッチを取り付ける方向(上下)を決めてから渡り線を作ると、端子の位置がずれない
- 渡り線は一直線に:被覆を長く剥いて両端で届くように作るのではなく、適切な長さで作って器具間をきれいに接続する
まとめ
現場では「渡り線はただの橋渡し」として意識されないことが多い。しかし試験では長さ・色・差し込み深さが採点対象になる。「現場感覚のまま作る」と落とし穴にはまりやすい部分だ。
- 渡り線の長さは100mm前後を目安に、両端10〜12mmの剥き代を確保する
- 色は接続する電位に合わせる:接地側は白、非接地側は黒、スイッチャー線は赤または黒
- 3路・4路スイッチが絡む場合は、必ず複線図を描いてから端子番号と色を確認する
- 差し込みは確実に奥まで入れ、施工後に軽く引いて確認する習慣をつける
練習中は「渡り線を作る工程」だけ切り出して繰り返すのも効果的だ。本番では時間が足りなくなりがちなので、手が自然に動くレベルまで仕上げておきたい。
