単相3線式と三相3線式の違いとは?

はじめに

電気の配線方式にはさまざまな種類がありますが、中でもよく耳にするのが「単相3線式」と「三相3線式」。どちらも“3本の線”を使う方式ですが、仕組みや用途、電圧の取り出し方が大きく異なります。この記事では、電気に詳しくない方にもわかりやすく、それぞれの違いを丁寧に解説していきます。

単相3線式とは?家庭に欠かせない電源方式

単相3線式は、主に日本の一般家庭で使われている電源方式です。3本の電線で構成されており、2本の「ライブ線(L1とL2)」と1本の「中性線(N)」から成ります。

この構成により、以下の2種類の電圧が取り出せます:

  • 100V: L1またはL2と中性線の間
  • 200V: L1とL2の間

家庭で使う照明や冷蔵庫、テレビなどの多くは100Vで動作します。一方、エアコンやIHクッキングヒーターなど、消費電力が大きい機器は200Vで使われています。単相3線式なら、1つの配電システムでこれら両方の機器を賄えるのが大きな利点です。

豆知識: 100Vと200Vの両方が使えるのは、L1とL2の交流電圧の位相が180度ずれているから。交流の合成により電位差が200Vになります。
※「180度の位相差」と表現されますが、あくまで1つの単相系統の中で電圧が逆方向になっているという意味で、三相交流とは異なります。

三相3線式とは?工場や施設に必須のパワフル電源

三相3線式は、主に工場や大型施設などで使われている配電方式です。3本の電線(R相、S相、T相)それぞれに、交流の電流が120度ずつの位相差で流れています。

この構造によって、回転力が安定し続けるため、モーターやポンプなどを効率よく運転できるというメリットがあります。三相3線式は「回転機器に最適な電源」として、産業用途で非常に重宝されています。

  • 代表的な電圧: 200V(各相間)
  • 主な用途: 三相モーター、業務用冷蔵庫、空調機器、エレベーターなど

豆知識: 三相電力は電力供給のムラが少なく、単相よりも効率的。電気エネルギーを連続的に供給することができます。
※三相3線式の相間電圧は一般的に200V(デルタ結線)ですが、工場などでは400V(スター結線)を使用するケースもあります。

配線方式の違いを比較してみよう

項目 単相3線式 三相3線式
電圧 100V / 200V 200V(または400V)
構成 L1、L2、中性線 R、S、T
位相差 180度(2相) 120度(3相)
主な使用場所 家庭、事務所 工場、商業施設
用途 家庭用電化製品 モーター、産業機器
コスト面 契約容量により料金変動 大容量でも割安なケースあり

電気料金にも影響するって本当?

意外かもしれませんが、三相電源は契約によっては単相よりも電気料金が割安になることがあります。これは、同じ電力量を供給するのに効率が良いため。電力会社も三相負荷の方が設備負担が少ないため、低料金設定がされている場合があります。

一方、単相3線式は住宅に向いた設計なので、大容量機器を多く使うと契約電力が上がり、結果的に料金が高くなりがちです。電気料金の観点でも、用途に応じた配線方式の選択は重要です。

※三相電源を導入すると「低圧動力契約(低圧三相200V)」などの契約になり、単価が安い一方、基本料金が高くなることもあります。

見分け方と導入例

単相3線式は、分電盤のブレーカーに「単3」や「100V/200V」と表示されていることが多く、コンセントも家庭用の平行型が基本です。

三相3線式は、特殊なコンセント(3本のピン)や工業用配電盤で見かけることが多く、電動工具や産業機械の現場で日常的に使われています。

まとめ:両者の違いを正しく理解しよう

  • 単相3線式は家庭用。100Vと200Vを1つの回路で使える便利な方式
  • 三相3線式は産業用。安定した回転力を得られる電源方式
  • 電気料金にも影響するため、目的に応じて選ぶことが大切
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