電磁接触器の補助接点:自己保持回路と寸動回路の作り方
補助接点はMCの「記憶」と「インターロック」を担う
電磁接触器(MC)の補助接点は、主回路とは別に制御回路で使う小容量の接点です。補助接点を使いこなすと、自己保持・インターロック・寸動という基本的なシーケンス制御が作れます。
MCの仕組みと主接点の選び方については電磁接触器(MC)とは?仕組みと選び方の基準を現場目線で整理を確認してください。この記事では補助接点の具体的な使い方に絞って解説します。
補助接点の基本:a接点とb接点
補助接点には2種類あります。
- a接点(NO:ノーマルオープン):コイルがOFFのとき開いており、コイルがONになると閉じる
- b接点(NC:ノーマルクローズ):コイルがOFFのとき閉じており、コイルがONになると開く
「a接点はコイルと同じ動き、b接点はコイルと逆の動き」と覚えると混乱しないです。
標準的なMCには1a1b程度の補助接点が付属しています。回路で複数の補助接点を使うときは、オプションの補助接点ブロックを追加するか、補助接点数の多いタイプを選びます。
自己保持回路:起動ボタンを放しても動き続ける
起動ボタンを押すとMCが入り、ボタンを放してもMCが入ったままになる回路です。シーケンス制御の基本中の基本です。
回路の考え方:
- 起動ボタン(a接点)を押す → MCコイルに通電
- MCが入る → MCの補助a接点が閉じる
- 補助a接点が起動ボタンと並列に接続されているため、ボタンを放しても通電が維持される
- 停止ボタン(b接点)を押す → コイル回路が切れる → MCが切れる → 補助a接点も開く
ポイントはMCの補助a接点を起動ボタンと並列につなぐことです。この並列接続が「記憶」の役割を果たします。
現場での配線ミス
自己保持の補助a接点を起動ボタンと直列につなぐミスが時々あります。この場合、ボタンを押した瞬間だけMCが入り、離すと切れます(寸動と同じ動作になる)。「ボタンを離すとMCが切れる」現象が起きたら、補助接点の接続位置を確認してください。
インターロック回路:2つのMCが同時に入らないようにする
正転・逆転の2つのMCを使うとき、両方が同時に入ると主回路が短絡します。これを防ぐための回路がインターロックです。
回路の考え方:
- 正転MC(MC-F)のコイル回路に、逆転MC(MC-R)の補助b接点を直列に入れる
- 逆転MC(MC-R)のコイル回路に、正転MC(MC-F)の補助b接点を直列に入れる
MC-Fが入っているとき → MC-Fの補助b接点が開く → MC-Rのコイル回路が切れた状態 → MC-Rは入れない、という構造です。
PLCで正転・逆転を制御する場合でも、ハードウェアのインターロックは残すのが基本です。PLC側のプログラムミスでも主回路短絡を防ぐためです。「ソフトでインターロックしているからハードは不要」は制御盤設計のNGパターンです。
寸動回路:ボタンを押している間だけ動く
「インチング」とも呼ばれます。ボタンを押している間だけMCが入り、離すと切れる回路です。位置合わせや手動調整に使います。
回路の作り方:
- 起動ボタンを押すとMCコイルに通電
- 自己保持の補助接点を入れない(または入れても寸動ボタンがb接点でその回路を切る構成にする)
- ボタンを離すとコイルへの通電が切れてMCが切れる
既存の自己保持回路に寸動機能を追加したい場合は、寸動スイッチのb接点を補助a接点(自己保持接点)と直列に入れます。寸動スイッチを押すと補助a接点の保持ルートが切れるため、自己保持が成立しません。
補助リレーとの組み合わせ
MCの補助接点が不足するとき、または信号レベルの変換が必要なとき、補助リレーを使います。補助リレーの活用(NPN/PNP変換を含む)についてはNPN・PNP変換はリレーで解決!MY2Nを使った配線図と現場の救済術を参照してください。
現場でよくある配線ミスまとめ
- 補助a接点の並列位置を間違える → ボタンを離すとMCが落ちる(自己保持にならない)
- インターロックに使うb接点の結線漏れ → 正転・逆転の同時投入が可能な状態になる
- 補助接点のa/b種別を誤る → 回路が意図と逆の動作をする
- 補助接点を使いすぎてAUXブロックを追加しないと端子が足りなくなる
配線作業の前に展開接続図(回路図)を確認し、補助接点のa/bと結線先の端子番号を照合するのが確認の基本です。
まとめ
MCの補助接点を使った基本回路のポイントです。
- 自己保持:補助a接点を起動ボタンと並列に接続する
- インターロック:相手MCの補助b接点を自分のコイル回路に直列に入れる
- 寸動:自己保持接点を設けない、またはb接点で保持回路を切る
これら3つの回路パターンは、制御盤のシーケンス設計の基礎です。展開接続図を読めれば現場のトラブルシュートも速くなります。
