光電センサーの種類と使い分け|透過形・回帰反射形・拡散反射形の違い

光電センサーは「光の経路」で3種類に分かれる

光電センサーは、光を使ってワークの有無を検出するセンサーです。近接センサーより遠くまで検出でき、金属以外のワーク(樹脂・紙・ガラス・液体など)も検出できるため、搬送ラインを中心にFAの現場では至るところで使われています。

ただし光電センサーには透過形・回帰反射形・拡散反射形の3方式があり、「光がどういう経路をたどるか」がまったく違います。ここを理解しないまま現場に出ると、「反射板ってどこに付けるの?」「なんで黒いワークだけ検出しないの?」と混乱します。この記事では3方式の光の経路の違いを言葉でイメージできるように整理します。

光電センサーとは:投光と受光で「光の変化」を見る

光電センサーの基本構造は投光部受光部です。投光部が出した光が「届いたか・遮られたか・反射して戻ってきたか」を受光部で判定し、出力をON/OFFします。3方式の違いは、この投光部と受光部の配置の違いそのものです。

近接センサーとの使い分けの目安は次のとおりです。

  • 光電センサーが有利:検出距離を長く取りたい・非金属のワークを検出したい
  • 近接センサーが有利:金属ワークを近距離で確実に検出したい・切粉や油ミストで汚れる環境

光電センサーは光を使う以上、レンズの汚れや外乱光の影響を受けます。金属を近距離で確実に検出したい場面では、汚れに強い近接センサーが定番です。近接センサーの種類(誘導形・静電容量形)は近接センサーの種類と使い分けで解説しているので、あわせて読むとセンサー選定の全体像がつかめます。

透過形:投光器と受光器が向かい合わせ

透過形は、投光器と受光器を別々の2台として向かい合わせに設置する方式です。普段は光が投光器から受光器へまっすぐ届いており、ワークが間を通ると光が遮られて検出します。「ビームセンサー」と呼ばれることもあります。

光の経路のイメージは「投光器 → (ワークが遮る) → 受光器」の一直線です。

メリット

  • 光を「遮ったかどうか」だけを見るため、3方式の中で検出が最も安定している
  • 検出距離を最も長く取れる(具体的な距離は機種によるためカタログで確認)
  • ワークの色や表面状態の影響をほとんど受けない

デメリット

  • 投光器と受光器の2台を取り付ける必要があり、両側に取付スペースが要る
  • 2台の光軸を一直線に合わせる光軸合わせの作業が必要
  • 配線も2台分(投光側・受光側の両方)必要になる

センサーの配線色や線の意味はセンサーの配線色の記事で整理しています。

回帰反射形:センサーと反射板が向かい合わせ

回帰反射形は、投光部と受光部が1台のセンサーに同居していて、向かい側に反射板(リフレクタ)を設置する方式です。普段はセンサーから出た光が反射板で折り返してセンサーに戻っており、ワークが間を通ると戻り光が遮られて検出します。

光の経路のイメージは「センサー → 反射板 → センサー」の往復です。透過形の受光器を反射板に置き換えた形と考えると分かりやすいです。

メリット

  • 電源・信号の配線が必要なのはセンサー側の1台だけ(反射板は配線不要)
  • 透過形より取付・光軸合わせの手間が少ない

デメリット:光沢ワークの誤検出

回帰反射形の弱点は光沢のあるワークです。鏡面に近い金属やフィルムが間を通ると、ワーク表面で反射した光を「反射板からの戻り光」とセンサーが勘違いし、ワークがあるのに検出しない誤動作が起きます。

この対策として、一般にMSR機能(偏光機能)付きの機種があります。反射板からの戻り光とワーク表面の反射光を区別する仕組みで、光沢ワークを扱うラインではこの機能の有無をカタログで確認しておくと安心です。

拡散反射形:ワーク自体の反射光を受ける

拡散反射形は、反射板を使わずワーク自体に当たって跳ね返ってきた光を受光する方式です。普段は光がどこへも戻ってこず、ワークが検出範囲に入ると反射光が戻ってきて検出します。透過形・回帰反射形とは検出のロジックが逆(光が戻ってきたらON)である点に注意してください。

光の経路のイメージは「センサー → ワーク → センサー」です。

メリット

  • センサー1台で完結し、反射板も不要。取付が最も楽
  • ワークの背面(向かい側)に何も設置できない場所でも使える

デメリット:ワーク次第で検出距離が大きく変わる

ワークからの反射光に頼る方式なので、ワークの色・表面状態で検出距離が大きく変わります

  • 黒いワーク:光を吸収してしまい、反射光が弱く検出しづらい
  • 光沢面のワーク:光が正反射してあらぬ方向へ飛び、センサーに戻らないことがある
  • 背景の映り込み:ワークの奥にある壁や機械を検出してしまうことがある

カタログの検出距離は「白色紙」など基準ワークでの値で書かれているのが一般的です。現場の実ワークではそこまで届かないことが多いため、実機での確認が前提と考えてください。

どれを選ぶ?3方式の使い分けの目安

選定の考え方をひとことで言うと次のとおりです。

  • 検出の確実性を最優先したい → 透過形(2台の取付と光軸合わせのコストを払う価値がある)
  • 取付スペースと配線を減らしたい → 回帰反射形(反射板は置けるが配線は片側だけにしたい場合)
  • ワークの背面に何も置けない → 拡散反射形(1台完結。ただしワークの色・表面に注意)

検出の確実性は、一般に透過形 > 回帰反射形 > 拡散反射形の順です。取付の楽さはその逆になります。「確実性を取るか、施工の手軽さを取るか」のトレードオフと覚えておくと、選定の場面で迷いにくいです。

なお出力形式にはNPN/PNPの区別があり、PLCの入力ユニットとの相性を間違えると入力が入りません。詳しくはNPN・PNP変換はリレーで解決!MY2Nを使った配線図と現場の救済術を参照してください。

現場でハマるポイント

光軸ズレ:振動で徐々にズレる

透過形・回帰反射形で最も多いトラブルが光軸ズレです。設置直後は問題なくても、設備の振動でブラケットが少しずつ動き、ある日突然「検出しなくなった」となります。動作表示灯(安定検出の表示)を確認しながら、余裕を持った光軸合わせをしておくのが予防策です。

レンズの汚れ

切粉・油ミスト・粉塵がレンズに付くと受光量が落ちます。光電センサーは光を使う以上、汚れとの戦いは避けられません。定期清掃で解決しますが、汚れが激しい環境ならそもそも近接センサーなど別方式を検討するのも手です。

外乱光

直射日光や照明、他の設備の光がセンサーの受光部に入ると誤動作の原因になります。受光部が窓や照明の方向を向かない取付にするのが基本です。

相互干渉

同じ種類の光電センサーを近くに並べると、隣のセンサーの光を受けて誤動作することがあります。取付間隔を空ける・投光と受光の向きを互い違いにするなどの対策が一般的です(干渉防止機能の有無は機種によるためカタログで確認してください)。

背景の映り込み(拡散反射形)

拡散反射形は、ワークの奥にある背景(コンベアのフレームや壁)を検出してしまうことがあります。感度を下げる・取付角度を変えるなどで対処しますが、背景との距離が近い場合は方式自体の見直しも検討します。

「センサーが原因かどうか分からない誤動作」に遭遇したら、センサー誤動作の切り分けの手順で原因を絞り込んでください。センサーは反応しているのにPLCに入力が入らない場合はPLCの入力がONしない時の切り分けが役立ちます。

まとめ

光電センサー3方式のポイントです。

  • 透過形:投光器と受光器が向かい合わせ。検出は最も安定するが、2台の取付・光軸合わせ・配線2本が必要
  • 回帰反射形:センサーと反射板が向かい合わせ。配線は片側だけで済むが、光沢ワークの誤検出に注意(MSR機能を確認)
  • 拡散反射形:ワーク自体の反射光を受ける。1台で完結して取付が楽だが、ワークの色・表面状態で検出距離が大きく変わる
  • 検出の確実性は一般に「透過形 > 回帰反射形 > 拡散反射形」。施工の楽さはその逆

「光がどこからどこへ飛んで、何で判定しているか」をイメージできれば、方式の選定もトラブルの切り分けも一気に速くなります。金属を近距離で確実に検出したい場面では光電センサーではなく近接センサーが定番です。近接センサーの種類と使い分けもあわせて読んで、センサー選定の引き出しを増やしてください。