押しボタンスイッチ(PBS)の選び方:色・形・接点の組み合わせ
押しボタンの選定で「色を間違えた」は現場でよくある
押しボタンスイッチ(PBS)の選定でよくある問題は、色と接点の選択ミスです。「起動は緑・停止は赤」という慣例は広く知られていますが、JIS規格の根拠と実際の盤設計での接点構成を整理できている人は意外に少いです。
この記事では色の選び方、接点の選び方、形状の選び方の3点を整理します。制御盤全体の操作表示系については制御盤の中に何が入っている?主要機器の役割と配置をざっくり整理を参照してください。
押しボタンの色とJIS規格
JIS C 0447(制御スイッチの色)では、押しボタンスイッチの色に対して以下の意味が対応しています。
- 赤:非常停止・停止・緊急操作
- 黄:異常時の処置・変則的な操作(通常と異なる操作)
- 緑:起動・運転開始
- 青:上記以外の特定の操作
- 白・黒・灰:起動・停止のどちらにも使えるが、赤と混同しないこと
現場の慣例として「起動=緑・停止=赤」は定着しています。ただし白や黒のボタンを起動・停止に使っている盤も多く、完全に統一されているわけではないです。
非常停止ボタンは赤・きのこ型(大型・突出型)が実質的に標準です。安全規格(ISO 13850等)でも赤・黄ベースの大型きのこ型が規定されています。
接点の種類と使い分け
押しボタンスイッチの接点構成を選ぶ際の基本です。
a接点(NO:ノーマルオープン)
ボタンを押していないとき開いており、押すと閉じます。起動ボタンに使います。ボタンを押すと信号が出るシンプルな用途です。
b接点(NC:ノーマルクローズ)
ボタンを押していないとき閉じており、押すと開きます。停止ボタンに使います。「常時閉じていてボタンを押すとコイル回路を切る」という使い方です。
停止ボタンをa接点(ノーマルオープン)で作ると、配線断線が起きたときに停止が機能しなくなります。停止・非常停止にb接点を使うのは安全上の理由があります。断線しても「開いた」状態になるため安全側に動作します。
c接点(切り換え接点)
a接点とb接点を組み合わせた接点です。ボタンを押すと一方が閉じてもう一方が開きます。1つのボタンで2つの回路を同時に切り替えたいときに使います。
自己保持との組み合わせ
通常の押しボタンは押している間だけ接点が動作します。「一度押したらその状態を維持する」のは押しボタン単体ではできません。MCの補助接点による自己保持回路と組み合わせて実現します。自己保持回路の作り方については電磁接触器の補助接点:自己保持回路と寸動回路の作り方を参照してください。
形状・サイズの選び方
取り付け穴径
日本でよく使われる取り付け穴径は22mm・25mm・30mm(大型)です。メーカーによって標準サイズが異なります。
- 22mm:パネル取り付けの標準サイズ。オムロンA22・ABB M22等
- 25mm:一部メーカー(富士電機ARシリーズ等)の標準
- 30mm以上:非常停止用きのこ型に多い
盤面に複数のボタンを並べる場合、メーカーを統一すると取り付け穴径・外観・入手性が揃って扱いやすいです。
操作部の形状
- フラット型:標準的な形状。誤操作のリスクが低い
- 突出型:操作しやすい。手袋をしていても押しやすい
- きのこ型(大型突出):非常停止専用。誤認しにくく、手のひらで押せる
- ガード付き:周囲にガードを設けて誤操作を防ぐ。起動ボタンに使うことがある
照光式
ボタンが内蔵LEDやランプで光るタイプです。「押された状態でボタンが光る」「特定の条件で点滅する」などの表示を兼ねます。パイロットランプとボタンを1つにまとめられるため、パネルスペースの節約になります。ただしボタン自体とランプの両方の電気仕様を確認する必要があります。
現場でよくある選定ミス
- 停止ボタンをa接点で作る:断線で停止不能になる。停止・非常停止はb接点を使う
- 非常停止を赤以外の色にする:慣例・規格に反する。保守者が混乱する
- 取り付け穴径を確認せずに発注:盤面に穴を開け直すことになる。購入前に必ず確認
- 照光式ボタンのランプ電圧を確認しない:DC24Vボタンにランプ用別電源が必要な機種がある
まとめ
押しボタンスイッチの選定のポイントです。
- 色:起動=緑、停止=赤、非常停止=赤きのこ型がJIS規格と現場の慣例
- 接点:起動=a接点、停止=b接点(安全上の理由)、切り替え=c接点
- 形状:取り付け穴径を最初に確認。非常停止には大型きのこ型
- 自己保持が必要な場合はMCの補助接点と組み合わせて回路を構成する
