セーフティリレーとセーフティコントローラの違い|いつ1台に集約すべきか【キーエンスGC-1000・オムロンG9SP】
※この記事は初心者に向けて書いています。
セーフティリレー「ユニット」とセーフティコントローラの違い
まずは前回のおさらいから。
セーフティリレーユニットは、「非常停止を受けて接触器を切る」といった1〜数機能を配線で固定して使う安全機器でした。基礎を確認したい方は、先にこちらを読んでおくと話が早いです。
→ セーフティリレーとは?仕組み・配線の基本と選び方(基礎はこちら)
これに対してセーフティコントローラは、専用ソフトで設定し、多数の安全機能を1台に集約できる上位機器です。
非常停止・ライトカーテン・複数の扉スイッチ…といった「止めろ信号」を1台にまとめて取り込み、論理をソフト(プログラム)で組んで下流の出力を制御します。
ざっくり対比すると、こんなイメージです。
- セーフティリレーユニット:1〜数機能を配線で固定。1機能=1台が基本で、機能が増えると台数が増える。
- セーフティコントローラ:多機能を1台に集約。設定はソフトで行い、変更もソフトで対応しやすい。
どちらが良い・悪いではなく、「束ねたい安全機能がいくつあるか」で立ち位置が変わる、と捉えてください。
なぜ「1台に集約」したくなるのか
安全機能が1つや2つのうちは、セーフティリレーユニットを並べるだけで間に合います。
ところが、非常停止に加えてライトカーテン、さらに安全柵の扉スイッチが複数…と機能が増えてくると、状況が変わってきます。
単機能のリレーユニットを何台も並べ、その間を渡り配線でつなぐ必要が出てくるのです。すると、
- 盤内の配線が複雑化し、追いかけるのが大変になる
- ユニットの台数が増えて盤スペースを圧迫する
- あとから「機能を1つ足したい/論理を変えたい」となると、配線のやり直しが発生して仕様変更が重くなる
ここで効いてくるのがコントローラです。
コントローラは入力をいったん取り込んで、論理をソフトで組むので、台数と配線が減り、変更もソフト側で対応しやすくなります。
※もちろん「集約すれば常に正解」ではありません。台数・配線が減るかわりに、ソフトで設定する手間とその妥当性確認が必要になります。判断の目安はこの記事の後半で整理します。
キーエンス GC-1000 とは
具体例として、まずキーエンスのGCシリーズを見てみます。
GC-1000は、その「メインコントローラ 標準タイプ」にあたるスタンドアロン型のプログラマブル セーフティコントローラです(以下はメーカー公式仕様)。
- 安全入力 16点/安全出力 6点(安全出力はPNP半導体出力)/補助出力 4点
- 電源:DC24V(Class2)
- 安全規格:ISO13849-1 Cat.4・PLe/IEC61508 SIL3/IEC62061 SIL CL3
- GC-Link(2ポート):キーエンス製セーフティ機器を専用ケーブルで接続し、配線を削減できる
- 組込ディスプレイ:本体に画面があり、状態・エラー・履歴を確認できる
- 上位通信:EtherNet/IP、PROFINET、Modbus/TCP、MCプロトコル、UDP に対応
設定は専用ソフトで行います。メーカーは「数分で設定」を謳っており、シリーズ全体では最大212の安全入力に対応するとされています。
(「数分で」はあくまでメーカーの謳い文句として紹介しているもので、現場での実作業時間を保証するものではありません。)
出力形態で迷ったときの選択ポイントとして、GC-1000R(リレー出力タイプ)も覚えておくとよいです。
GC-1000Rは安全入力14/安全出力4(PNP)に加えて、安全リレー出力を1点(3a接点)持ちます。
初心者向けにざっくり言うと、「半導体出力でよいか(GC-1000)」「リレー出力(無電圧の接点出力)が要るか(GC-1000R)」で選ぶ、というイメージです。
オムロン G9SP とは
同じクラスの比較相手として、オムロンのG9SPを見てみます。
G9SPはスタンドアロン型のプログラマブル セーフティコントローラで、小・中規模装置向けに位置づけられています(以下はメーカー公式仕様)。
- 型式は安全入出力点数の違いで複数あります。例:
- G9SP-N10S:安全入力10点/安全出力4点
- G9SP-N20S:安全入力20点/安全出力8点
- 安全出力はソース出力(PNP対応)の半導体
- 電源:DC24V
- 安全規格:ISO13849-1 PLe・カテゴリ4/IEC61508 SIL3
- 拡張性:標準制御用の拡張I/Oユニットを最大2台まで増設できる
設定は専用設定ソフトで行います。
点数の異なる型式が揃っているので、必要な入出力点数に合わせて型式を選ぶという考え方になります。
GC-1000 と G9SP を並べてみる(比較表)
両者を公平に並べてみます。
結論を先に言うと、どちらが優れている/劣っているという話ではありません。両方とも「スタンドアロン・Cat.4/PLe・SIL3・PNP半導体出力」という同じ土俵に立っており、違いはそれぞれの特徴的な機能にあります。
| 項目 | キーエンス GC-1000 | オムロン G9SP(N20S例) |
|---|---|---|
| タイプ | スタンドアロン型 プログラマブル セーフティコントローラ | スタンドアロン型 プログラマブル セーフティコントローラ |
| 安全入力 | 16点 | 20点(N20S)/10点(N10S) |
| 安全出力(出力形態) | 6点(PNP半導体) | 8点(N20S・PNP半導体)/4点(N10S) |
| 補助・標準出力 | 補助出力 4点 | —(メーカー資料参照) |
| 電源 | DC24V(Class2) | DC24V |
| 安全規格 | ISO13849-1 Cat.4・PLe/IEC61508 SIL3/IEC62061 SIL CL3 | ISO13849-1 PLe・カテゴリ4/IEC61508 SIL3 |
| 設定方法 | 専用ソフト | 専用設定ソフト |
| 特徴的な機能 | GC-Link(2ポート)で配線削減・組込ディスプレイ・フィールドバス通信(EtherNet/IP・PROFINET・Modbus/TCP 等) | 標準制御用の拡張I/Oユニットを最大2台まで増設可能・点数違いの定番ラインナップ |
※「—」の欄は本記事で確認できた範囲に含まれないため、無理に埋めていません。正確な仕様は各メーカーの公式資料で型式から確認してください。
さらに上位・大規模なら、オムロンのNX-SL(NXシリーズのセーフティCPUと分散セーフティI/Oを Sysmac/NX プラットフォームでネットワーク化する統合型)という選択肢もあります。GC-1000やG9SPより上位で、大規模・将来拡張を見込む構成に向きます。
また、他社にもPilz PNOZmulti など、代表的なプログラマブル セーフティコントローラがあります(ここでは位置づけ・名前のみ。具体スペックは各社資料を参照してください)。
いつコントローラに上げるべきか(判断の目安)
ここからはあくまで目安です。断定ではありませんので、最後はかならず個別に判断してください。
- 安全機能が1〜2個のうちは、セーフティリレーユニットで十分なことが多いです。
- 非常停止+ライトカーテン+複数の扉…と機能が増えてきて、リレーの台数・渡り配線がふくらんできたら、コントローラへの集約を検討する段階です。
- 将来の機能追加・仕様変更が見込まれるなら、配線をやり直さずソフトで変更できるコントローラが有利になりやすいです。
繰り返しになりますが、これらは目安にすぎません。
最終的な判断は、必要な安全水準(PL/SIL)・コスト・メンテナンス性・社内の標準などを総合して行ってください。台数が少なくてもコントローラを社内標準にしている現場もありますし、逆もまた然りです。
初めて導入するときの注意点
ここはとても大事な部分なので、はっきり書きます。
セーフティコントローラは人命に直結する安全機器です。必ず有資格者が、メーカーの取扱説明書および該当する安全規格に従って、設計・施工・確認を行ってください。
本記事は入門のための概説であり、具体的な設計・施工・規格適合の判断を行うものではありません。
特にコントローラはソフトで設定するため、設定内容そのものが安全機能の一部になります。
つまり、設定して終わりではなく、設定後の妥当性確認(バリデーション)が必須です。
「非常停止を押したら確実に止まるか」「扉を開けたら止まるか」を実際にテストし、意図どおりに安全機能が働くことを確認して初めて完成です。
一般論として、初めて導入するときは、メーカーの技術サポート・サンプル回路・スタートアップガイドを活用すると、安全かつ確実に立ち上げやすくなります。
分からないまま自己流で組まず、公式の資料とサポートを頼るのが結局は近道です。
まとめ
- セーフティリレーユニットは単機能を配線で固定して使う機器、セーフティコントローラは多機能をソフト設定で1台に集約できる上位機器。
- 安全機能が増えてリレーの台数・渡り配線が複雑になると、コントローラへの集約が選択肢に上がる。
- GC-1000とG9SPはスタンドアロン・Cat.4/PLe・SIL3・PNP半導体出力という同じ土俵にあり、違いは特徴的な機能(GC-Link・組込ディスプレイ・通信/拡張I/Oユニット等)にある。優劣ではなく特徴で捉える。
- 集約するかはあくまで目安で判断。最終的には安全水準(PL/SIL)・コスト・メンテ性・社内標準で決め、設定後の妥当性確認まで必ず行う。
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