SSR(ソリッドステートリレー)とは?有接点リレーとの違いと使い分け

SSRは「接点がないリレー」だが使い方を誤ると問題が出る

SSR(ソリッドステートリレー:Solid State Relay)は、機械的な接点を持たない半導体スイッチです。制御信号に応じてサイリスタやトライアックなどの半導体素子で負荷回路をON/OFFします。

接点がないため「接点消耗がない」「スイッチング音がない」「高頻度動作に強い」というメリットがあります。一方で発熱・価格・故障時の挙動など、有接点リレーとは異なる注意点もあります。

制御盤全体の機器構成については制御盤の中に何が入っている?主要機器の役割と配置をざっくり整理を参照してください。

SSRの仕組み

SSRの内部構造は大きく3つの部分です。

  • 入力回路:制御信号(DC4〜32V等)を受け付ける。フォトカプラで入力側と出力側を絶縁
  • 絶縁部(フォトカプラ):入力側と出力側を光で絶縁する。これにより制御回路と負荷回路が電気的に分離される
  • 出力スイッチング素子:トライアック(交流用)またはMOSFET・サイリスタ(直流用)で負荷をON/OFFする

入力信号を加えるとフォトカプラが光り、その光を受けて出力のスイッチング素子が導通します。機械的な動作がないため動作音がなく、スイッチング速度は有接点リレーより圧倒的に速いです。

有接点リレーとの比較

項目 有接点リレー SSR
接点消耗 ある(寿命が機械的に決まる) なし(半導体の寿命)
動作音 クリック音あり 無音
スイッチング速度 遅い(ms〜数十ms) 速い(μsオーダー可)
発熱 少ない 多い(大電流時は特に)
価格 安い 高い(同容量比)
故障モード 接点溶着・開放 オン固着(短絡故障)が多い
オフ時の漏れ電流 ほぼゼロ 微小な漏れ電流あり

リレーの接点と負荷の関係についてはリレーの誘導負荷と抵抗負荷の違いは?溶着を防ぐ選定のコツを解説も参考になります。

SSRを選ぶべき用途・選ばない方がいい用途

SSRが向いている用途

  • 高頻度スイッチング:ヒーター温調(SSR+温調器の組み合わせが定番)では1秒間に何度もON/OFFする。有接点では接点が数ヶ月で消耗する
  • 無音環境:食品工場・クリーンルーム等でリレー音が問題になる場面
  • 高速ON/OFF:数ms以下の制御が必要な場合
  • 小型化:基板上に直接実装できるタイプもある

SSRより有接点リレーの方が向いている用途

  • 安全回路・非常停止:SSRの故障はオン固着(切れなくなる)が多い。安全回路には機械的に切断できる有接点リレーが適する
  • 漏れ電流が問題になる回路:SSRは遮断時でも微小な漏れ電流がある。漏れ電流が許容できない回路には不向き
  • コスト優先:同じ電流容量で比べると有接点リレーの方が大幅に安い
  • 複数極の切り替え:SSRは基本的に1極。複数極を同時に切り替えるには複数のSSRが必要

発熱とヒートシンクの必要性

SSRは導通時にスイッチング素子で電圧降下が生じ、その分が発熱します。流れる電流が大きいほど発熱が増えます。SSRの許容電流を超えた状態や放熱が不十分な状態では、素子の温度が上昇して劣化・故障します。

目安として10A以上のSSRはヒートシンク(放熱板)への取り付けが必要です。カタログに「ヒートシンク使用時の定格電流」と「ヒートシンクなしの定格電流」が分けて記載されています。ヒートシンクなしの定格は大幅に低くなるため、必ず確認してください。

ヒートシンクの選び方

SSRメーカーが対応ヒートシンクを指定していることが多いです。盤内に取り付ける場合、ヒートシンクからの放熱が盤内の他の機器に影響しないレイアウトにします。大電流SSRを盤内に複数配置する場合は、盤全体の熱計算が必要になります。

現場でよくあるSSRのトラブル

オン固着(出力が切れない)

SSRの最も多い故障モードです。素子の過電流・過熱が原因で短絡故障し、制御信号を切っても負荷への通電が続きます。機器が止まらないため危険な状態になります。安全に関わる回路には使わない判断が基本です。

漏れ電流による誤動作

SSRがオフの状態でも微小電流が流れます。この電流でPLCの入力端子がオンと誤認識するケースがあります。入力インピーダンスの低い機器に接続するか、SSRと並列にブリーダ抵抗を入れて漏れ電流を吸収する対策が有効です。

まとめ

SSRの要点です。

  • 向いている用途:高頻度スイッチング(ヒーター温調等)・無音環境・高速制御
  • 向いていない用途:安全回路・漏れ電流が問題になる回路・コスト優先
  • 発熱対策:10A以上はヒートシンク必須。カタログの放熱条件を確認する
  • 故障モード:オン固着が多い。安全回路には有接点リレーを使う