無効率とは?
電力の世界では、「力率(りきりつ)」という言葉がよく出てきます。
でも実は、力率の“相方”とも言える「無効率(むこうりつ)」という考え方もあるんです。
無効率とは、「皮相電力(S)」の中で、無効電力(Q)がどれだけの割合を占めているかを表す指標です。
基本の計算式
無効率の式はとってもシンプルです。
無効率(%)= 無効電力 ÷ 皮相電力 × 100
たとえば、
- 無効電力 Q = 300 var
- 皮相電力 S = 500 VA
の場合は、
無効率 = 300 ÷ 500 = 0.6(= 60%)
この場合、全体の60%が「仕事をしない電力」ということになります。
無効電力が分からないときの求め方
① 有効電力と皮相電力から求める(cosθを使う)
三平方の定理を使って、無効電力を以下のように求めることができます。
無効電力 = √(皮相電力² − 有効電力²)
この無効電力を使って、無効率も計算可能です。
② 力率が分かっている場合
力率が cosθで表される場合、無効率は次の式で求められます。
(sinθ)² + (cosθ)² = 1
例えば、力率が 0.8 の場合は以下のようになります:
- sinθ = √(1-(cosθ)²)
- sinθ = √(1-(0.8)²)
- sinθ = 0.6
③ 無効電力も力率も分からない場合
以下の情報が分かれば、無効率を求めることができます。
- 電圧と電流(皮相電力を算出)
- 有効電力(ワットメータなどで測定)
無効率と力率の関係
実は、無効率と力率には次のような関係があります:
無効率² + 力率² = 1
これは、有効電力・無効電力・皮相電力が直角三角形をつくっていること(電力三角形)からきています。
つまり、
- 力率が高くなると、無効率は低くなる。
- 力率が低いと、無効率が高くなる。
これは「効率のよい使い方=無駄が少ない」とも言えますね。
無効率はあまり使われない?
実を言うと、「無効率」という用語は現場や試験ではあまりメジャーではありません。
でも、力率の理解を深めるうえでの“裏側”の視点として、知っておくと役立ちます。
とくに、「電力三角形」や「P・Q・Sの関係性」を視覚的に理解したいときには、無効率も一緒に考えるとスッキリします。
まとめ:力率と無効率はセットで考えるとわかりやすい
無効率は、力率と合わせて「電力の使われ方」を見える化する便利な指標です。
- 力率が高ければ、電力は効率的に使われている
- 無効率が高ければ、無駄な電力が多く使われている
よくある質問(FAQ)
Q. 無効率って何ですか?
A. 無効率とは、皮相電力に対して無効電力が占める割合を示す指標で、仕事をしない電力の割合を数値化したものです。
Q. 無効率と力率の関係は?
A. 無効率²と力率²の和は1になります。これは電力三角形の関係から導かれます。
Q. 無効率はどのように計算しますか?
A. 無効電力 ÷ 皮相電力 × 100 で求められます。力率からも三角関数を使って計算可能です。