サーマルリレーとは?仕組みと役割、選び方をやさしく解説!

1. サーマルリレーとは?

サーマルリレーは、電気機器や回路を過電流から保護するために使用される保護装置です。過電流や過熱による機器の故障を防ぎ、電気回路を安全に保つために重要な役割を果たします。

このリレーは、内部のバイメタル(異なる金属を接合したもの)を利用して過電流や過熱を検出し、回路を遮断します。特に、モーターや電気機器が長時間過負荷状態にあるときに、自動的に回路を切断して機器の損傷を防ぎます。

2. サーマルリレーの仕組み

サーマルリレーは、主にバイメタルと呼ばれる金属の異種材料を使用しています。バイメタルは、温度が上がると膨張の度合いが異なる2種類の金属を組み合わせたもので、過電流や過熱によって温度が上がると、バイメタルが変形して接点を開き、回路を遮断します。

2.1. 動作の流れ

サーマルリレーの動作は次のように進みます。

  • 過電流や過熱が発生し、バイメタルが加熱されます。
  • バイメタルが膨張し、変形して接点が開きます。
  • 接点が開くことで、回路が遮断され、電流の流れが停止します。
  • 過熱が収まると、バイメタルが元の状態に戻り、手動でリセットすることができます。

2.2. 特徴と利点

  • 過電流が発生すると即座に回路を遮断し、機器や配線の損傷を防ぎます。
  • 簡単な構造で、動作が直感的で信頼性が高いです。
  • 電気回路が復旧した後は、リセット操作で再び使用可能です。

3. サーマルリレーの使用例

サーマルリレーは、主にモーター発電機などの電気機器で広く使用されています。過電流や過熱が発生した場合に自動的に回路を遮断することで、機器の保護ができます。

3.1. モーターの保護

モーターは、負荷が過大になったり、異常が発生した場合に過電流が流れることがあります。サーマルリレーは、この過電流を検出して回路を切断し、モーターの焼損を防ぎます。

3.2. 発電機やポンプの保護

発電機やポンプなどの機械設備でも、過電流や過熱が発生すると故障の原因になります。サーマルリレーは、機器を保護するために必須の保護装置として使用されます。

3.3. 家庭用機器の保護

家庭用のエアコンや冷蔵庫、洗濯機などにもサーマルリレーが使用されており、機器の過電流や過熱から保護する役割を果たします。

4. サーマルリレーの選び方

サーマルリレーを選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です:

4.1. 定格電流

サーマルリレーは、使用する回路の定格電流に適したものを選ぶ必要があります。定格電流を超えると、リレーが過電流を遮断する役割を果たすことができません。

4.2. 保護する機器の種類

保護対象の機器(モーター、発電機、家電製品など)に適したサーマルリレーを選びましょう。例えば、モーターの場合、起動時の高い初期電流にも耐えられる仕様が必要です。

4.3. 使用環境

使用場所や環境(温度、湿度、振動など)に応じて、サーマルリレーの耐環境性を考慮することが重要です。過酷な環境下で使用する場合、より高い耐久性が求められます。

4.4. リセット機能

サーマルリレーには手動でリセットするタイプと、自動的にリセットされるタイプがあります。使用するシステムに合わせて、適切なタイプを選択しましょう。

5. サーマルリレーのメリットとデメリット

サーマルリレーには、いくつかのメリットとデメリットがあります。以下にそれぞれを紹介します。

5.1. メリット

  • 過電流や過熱から機器を効果的に保護します。
  • 構造がシンプルで、運用コストが低いです。
  • 機器の寿命を延ばし、故障を防ぐため、長期的なコスト削減に繋がります。

5.2. デメリット

  • 定期的なリセットや点検が必要です。
  • 高精度な過電流制御が求められる場合には、他の保護装置(例えば、電子式リレー)の方が適していることがあります。

6. まとめ

サーマルリレーは、過電流や過熱から機器を保護するために不可欠な保護装置です。特にモーターや発電機などの電気機器において、その重要性は高いです。適切なサーマルリレーを選び、定期的な点検やリセットを行うことで、機器の長寿命化と安全性の向上が実現できます。

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