【図解】ドライ接点・ウェット接点の違い|PLCセンサー配線の基本

はじめに|「この接点、ドライ?ウェット?」と聞かれて固まらないために

PLCにセンサーや外部機器をつなぐとき、必ずと言っていいほど出てくるのが「ドライ接点ですか?ウェット接点ですか?」という確認です。
用語だけ見ると難しそうですが、要は「その接点から電気が出ているか/いないか」という話だけです。

この記事では、FA現場でPLCにセンサーや補機を配線する若手エンジニア向けに、ドライ接点・ウェット接点の違いと配線の考え方を、語源イメージから現場での見分け方までまとめます。

ドライ接点(無電圧接点)とは?

ドライ接点は「電気が乗っていない、ただのスイッチ」のことを指します。
英語の dry(乾いた)=電気が流れていないというイメージで覚えると理解が早いです。

FA現場でドライ接点と言われたとき、最頻出のシーンはリレーの接点出力や温度調節器の警報接点出力です。接点そのものは電圧を持たず、受け側のPLCが用意した電源ループを、接点が開閉してON/OFFを伝える形で信号として使われます。

ドライ接点の特徴

  • 接点自体に電圧は出ていない(無電圧)
  • 受け側(PLCなど)が電源を用意して信号を読む
  • リレー接点出力・温度調節器の警報接点・押しボタン・リミットスイッチが代表例
  • 極性がないので配線方向を気にしなくて良い場面が多い

⚠ 「機械接点 = ドライ接点」ではない

機械的な接点だからドライ、と覚えがちですが、これは厳密には正しくありません。
同じリレー接点でも、接点の両端に外部から電圧を通電すればウェット接点として動作します。
ドライ/ウェットの判定基準は「接点の構造(機械か半導体か)」ではなく、「接点そのものに電源が乗っているか否か」です。

ウェット接点(有電圧接点)とは?

ウェット接点は「電気が乗った状態で出てくる信号」のことです。
wet(濡れた)=電圧で濡れているとイメージすると、ドライとの対比で覚えやすくなります。

代表例は、近接センサーや光電センサーの出力線です。センサー内部のトランジスタがONすると、信号線に+24Vまたは0Vが現れます。つまり接点自体が電源を持って出力しているイメージです。

ウェット接点の特徴

  • 接点(出力線)に電圧が乗って出てくる(有電圧)
  • センサー側に電源(DC24Vなど)を供給する必要がある
  • PNP出力/NPN出力のように極性の区別がある
  • 半導体出力(トランジスタ出力)が一般的

ここで重要なのが、ウェット接点では「出力が+側を出すのか、0V側を出すのか」で配線が変わる点です。これがいわゆるPNP/NPNの話につながります。

ドライ接点とウェット接点の違いを図と表で対比

両者の違いを1枚の図にまとめると、構造的な違いが直感的に掴めます。

ドライ接点とウェット接点の違いを比較した配線図。左はリレー接点を使ったドライ接点で電源はPLC側が用意する構造。右は近接センサーから電圧そのものが出てくるウェット接点で、センサー側にDC24V電源供給が必要。
図:ドライ接点(リレー出力)とウェット接点(センサー出力)の対比

さらに細かい違いを表で並べると、頭の整理がしやすくなります。

項目 ドライ接点(無電圧) ウェット接点(有電圧)
接点の電圧 なし あり(DC24Vなど)
電源の用意 受け側(PLC等)が用意 センサー側に供給が必要
極性 基本なし あり(PNP/NPN)
代表例 押しボタン・リレー接点・リミットスイッチ 近接センサー・光電センサー・トランジスタ出力
絶縁性 機械的に分離しやすい 電源系と共通になりやすい
誤配線時のリスク 動作しないだけのことが多い センサー破損につながることもある

ざっくり言えば、「ただのスイッチがドライ」「電気を出すスイッチがウェット」と覚えておけば、現場の会話で困る場面はかなり減ります。

PLCのCOM端子(シンク/ソース)との関係

ウェット接点を扱うときに必ず出てくるのが、PLC側のシンク入力/ソース入力という言葉です。
これは「PLCのCOM端子に+を入れるか、0Vを入れるか」を表していて、接続するセンサーがPNPかNPNかで決まります。

  • NPNセンサー(出力がONで0V側を出す) → PLCは+COM=シンク入力
  • PNPセンサー(出力がONで+24Vを出す) → PLCは−COM=ソース入力

ドライ接点を使う場合はPLC側がDC24Vを供給するだけなので、極性の話はそれほど深刻になりません。一方で、ウェット接点(センサー)を扱うようになるとCOMの組み方を間違えるとそもそも信号が読めない、あるいは常時ONのような誤動作になります。

また、センサー側に与えるDC24Vの電源(パワーサプライ)が安定していないと、ウェット接点の信号がチャタリングのように暴れることがあります。電源容量と二次側の使い方も合わせて押さえておきたいポイントです。

現場での見分け方・選び方

図面や仕様書がない状況で「これってどっち?」となった時の、現場目線でのチェック手順を整理します。

1. 端子台に電源線がきているか確認

そのスイッチ・センサーに対してDC24Vや100Vの電源が配線されていれば、ほぼウェット接点(有電圧出力)です。電源線がなく、信号線2本だけで完結していればドライ接点の可能性が高いです。

2. 機器の型式と仕様書を読む

メーカー仕様書には「無電圧接点出力」「トランジスタ出力(PNP/NPN)」のような記載があります。たとえば温度調節器の警報出力などは、機種によってドライとウェットの両方が存在します。

3. テスターで電圧を見る

動作中の機器であれば、信号線とコモン間の電圧をテスターで測るのが手っ取り早い方法です。OFF時にDC24V付近が出ているなら有電圧出力、0Vのままならドライ接点と判断できます(※活線測定は安全配慮のうえで実施)。

4. 用途で選ぶ

  • 非常停止・押しボタン・リミット系 → ドライ接点が使いやすい
  • 近接・光電・各種半導体センサー → ウェット接点が中心
  • 誘導負荷(リレー・ソレノイド等)を駆動する場合は、サージ対策も合わせて検討

最終的にどちらを採用するかは、相手機器の仕様と既設PLCの入力方式に合わせるのが基本です。新規で組む場合でも、社内標準やお客様仕様書がある場合はそちらが優先されます。

まとめ

  • ドライ接点=電気が乗っていない(無電圧)接点。受け側が電源を用意する
  • ウェット接点=電気が乗って出てくる(有電圧)出力。センサー側に電源供給が必要
  • ウェット接点にはPNP/NPNの極性があり、PLCのシンク/ソース入力と合わせる必要がある
  • 図面・仕様書・電源線の有無・テスター測定で見分けると確実
  • 迷ったら、相手機器の仕様書とPLCの入力方式を最優先で確認する