「制御設計はやめとけ」と言われる理由を、3年目が実際のきつさから書く

はじめに:「やめとけ」と調べた人に、1社の3年目が実際のところを書く

「制御設計 やめとけ」「制御設計 つらい」で検索してここに来た人に向けて書いています。自分は18歳からFA(ファクトリーオートメーション)の業界にいて、業界歴は7年です。前職はFAのソフト会社で、タッチパネル(GOT)の画面制作から入りPLCのソフトも担当して4年。今は自動装置(自動機)のメーカーで3年目、制御盤設計・CAD製図・PLCソフト・GOTソフト・配線工事・試運転・立ち上げまでを一式持っています。なお自分は未経験からの転職ではなく、同じ業界の中での転職です。

先に立場をはっきりさせておきます。この記事は「やめとけ」という声に反論するために書くものではありません。自分は続けていますが、きつい部分は実際にきついので、そこを薄めずに書きます。読んだ結果「自分には向いていない」と思うなら、それは正しい判断だと思います。判断材料を出すところまでが自分の役目で、結論は読む側に渡します。

それから、ここに書くのは1人・1社の例です。同じ制御設計でも会社が変われば働き方も待遇も変わるので、「こういう会社がある」という1件として読んでください。年収の推移そのものと、転職して何が変わったかはFAエンジニアの年収は転職でどう変わったか。制御設計に移って3年の実例に分けて書いているので、お金の話を知りたい人はそちらを見てください。この記事は「きつさ」の話に絞ります。

実際にきついと感じているところ

隠しても検索した意味がなくなるので、自分がきついと感じている部分から書きます。

時間:出勤9:00、退勤は平均21:00

出勤は9:00で、退勤は平均すると21:00くらいです。忙しくない時期は18:00に帰れる日もありますが、それが続くことはあまりなく、基本的には忙しい状態だと思っていたほうが近いです。

「残業が多い月もある」という書き方ではごまかしになるので、平均で21:00と書いておきます。これが受け入れられない生活なら、自分の会社のような働き方は合わないと思います。

複数案件の同時進行

案件を1件ずつ片付けていく形ではなく、複数の案件を同時に進めています。ひとつが落ち着いても次が待っているので、「終わった」という区切りの感覚があまり来ません。

頭の切り替えも要ります。この装置のソフトを書いていたと思ったら、別の装置の部材の手配を確認して、また別の案件の図面に戻る。きつさの中身は作業の難しさよりも、同時に抱えている件数のほうだと感じています。

出張・夜勤・休日出勤の実態

ここは誇張されやすいところなので、自分の範囲で正確に書きます。

  • 出張:月5日ほど。日帰りが多いです
  • 夜勤:自社では無いです。客先の夜勤立ち会いがたまにあります
  • 休日出勤:月2回ほど。代休は取れる形になっています

実態としては社内での設計がメインで、現場を飛び回り続ける働き方ではありません。出張が月の半分を占めるような話でもないし、夜勤が常態化しているわけでもない。ただ、客先の立ち会いで夜に入る日がゼロではないのと、休日の予定を先に決めにくいのは事実です。「どこまでがきついか」の線は人によって違うので、数字をそのまま置いておきます。

自分が後悔していること:家族との時間

この記事で特に正直に書きたいのはここです。自分が後悔しているのは、忙しくて帰りが遅く、家族との時間があまり作れていないことです。

転職して年収を上げたかったのは家族のためでした。その目的は果たせているのに、肝心の家族と過ごす時間が削れている。自分でも矛盾していると思っています。きつさの正体は、作業量そのものより、この矛盾を毎日抱えていることのほうかもしれません。

「やめとけ」と言う人の中には、ここを見て言っている人もいると思います。その指摘に対して、自分は反論できません。

今やっているのは、作業効率を上げて早く帰れるようにする試行錯誤です。資料の作り方や流用できるものの整理、手戻りの減らし方を変えてみています。解決したとは書けません。まだ試行錯誤の途中です。この記事を読んでいる人が同じ業界に入るなら、「忙しさは自分の工夫で縮められる部分と、縮められない部分がある」というところまでは先に知っておいたほうがいいと思います。

それでも続けている理由

ここまで書いた上で、自分は続けています。理由は3つです。

年収が上がり、家族を養えている

年収が上がって生活水準が上がり、家族を養えています。転職の目的がここだったので、目的自体は達成できました。金額の推移はFAエンジニアの年収は転職でどう変わったか。制御設計に移って3年の実例のほうに書いています。

会社の人が優しく手を差し伸べてくれる

分からないことを聞ける空気があり、困っているときに手を差し伸べてくれる人がいます。これは運の要素も大きいと思いますが、社長が面接で人柄を見ているからだと自分は思っています。自分もそうやって採られた側なので、周りに同じような人が集まっているのは納得がいきます。

逆に言うと、ここが違う会社だったら自分は続けられていないと思います。「制御設計がきついかどうか」と「その会社でやっていけるかどうか」は別の話で、後者のほうが効いている気がしています。

盤組から設計まで一式を担当できる

入社後しばらくは盤組(制御盤の組立)を担当し、今は制御盤設計、CAD製図、PLCソフト、GOTソフト、配線工事、試運転、立ち上げまでを持っています。盤組は今は外注に出していますが、自分で組んだ経験があるかどうかで図面の描き方が変わります。

装置が動くところまで自分の手で通せるのは、前職でソフトだけを担当していたときには無かった感覚です。これを面白いと思えるかどうかは人によると思いますが、自分にとっては続けている理由のひとつになっています。

きつさの性質:覚えることは多い。ただし聞ける環境なら越えられる

「きつい」の中には「覚えることが多くて追いつかない」も含まれます。自分はソフト会社に4年いた状態で今の会社に入りましたが、盤組を担当した1ヶ月目は分からないことだらけでした。例を3つだけ挙げます。

  • 24V(制御電源)という概念:そもそも何のための電源なのかが分かっていませんでした
  • Y端子と丸端子の使い分け:形が違うことは見れば分かりますが、どちらを使うのかの基準を知りませんでした
  • 電線のサイズを何にするか:許容電流という言葉の意味から分かっていませんでした

この手の「分からなかったこと」は、書き出すと10項目を超えました。一覧と、感電や工具の失敗まで含めた話は年収と転職の記事のほうに書いています。

ここで言いたいのは、覚えることの量そのものは、聞ける環境なら越えられる種類のきつさだということです。自分は先輩に聞きながら覚えましたし、失敗して覚えたこともあります。前職のソフト会社に入った1ヶ月目も同じで、GT Designer3 の使い方が分からず、「デバイスはこれにして」と資料だけ渡されても資料の読み方が分からない状態から、基礎を教わってマニュアルを見ながら作っていました。

逆に、聞けない環境だと同じ量が越えられないきつさに変わると思います。会社を選ぶときに見るべきなのは仕事の難易度よりそこかもしれない、というのが3年やった今の感覚です。

工具については、自分の会社ではすべて会社支給で、入社前に買うものはありませんでした。これも会社によると思うので、気になる人は面接で聞いてください。

向いていないかもしれない人/向いているかもしれない人

ここからは自分の感覚で、しかも1社の範囲で見える話です。統計ではありません。

向いていないかもしれない人

  • 帰りが遅い生活を受け入れられない人。自分の会社では平均21:00なので、ここが折り合わないと長くは続かないと思います
  • 自分のやり方を変えにくい人。固定観念があると、教わったことを素直に取り込むのに時間がかかると感じます
  • 休日の予定を早くから固めたい人。休日出勤が月2回ほどあり、代休はあるものの日取りは動きます

向いているかもしれない人

  • 人の言葉を素直に聞ける人。覚えることが多い時期を越えるのは、だいたいこの部分だと思っています
  • 若いうちに入れる人。周りで業界に入った人は20代ばかりで、30代はあまり見ません。若いうちに入るほど覚えが早いと感じます
  • 経験を積み上げる前提で働ける人。できる人は20代からこの仕事をやっている人が多く、結局は経験がものを言う仕事だと思っています

未経験から入るなら40代までが限度ではないか、というのも自分の感覚です。根拠は周りで入った人の年齢しかありません。ただ、同じ会社には無職や派遣社員から20代で入って、今は自分より技術力も年収も上の人がいます。入口の経歴より、入ってからどう覚えたかのほうが効いているように見えます。

なお、適性の話は職種ごとに中身が変わります。制御設計ではなく電気工事の側で迷っている人は、職種が別なので電気工事士に向いている人・向いていない人の特徴を徹底解説のほうが近いと思います。

よくある質問(FAQ)

Q1. 制御設計の残業は多いですか?
A. 自分の場合は出勤が9:00で、退勤は平均すると21:00くらいです。忙しくない時期は18:00に帰れる日もありますが、基本的には忙しい状態が続きます。複数の案件を同時に進めているので、ひとつ落ち着いても次が待っている形です。これは1社の例なので、会社が変われば事情も変わると思います。

Q2. 出張や夜勤はありますか?
A. 出張は月5日ほどで、日帰りが多いです。夜勤は自社では無く、客先の夜勤立ち会いがたまにあります。実態としては社内での設計がメインで、現場に出続ける働き方ではありません。

Q3. 休日出勤はありますか?
A. 自分の場合は月2回ほどあります。代休は取れる形になっているので、休みがそのまま消えるわけではありません。ただ、休日の予定を先に決めにくいのは事実です。

Q4. それでも続ける価値はありますか?
A. 自分は続けていますが、価値があるかどうかは人によって変わると思います。自分の場合は、年収が上がって生活水準が上がり家族を養えていること、会社の人が手を差し伸べてくれること、盤組から設計まで一式を担当できることが続けている理由です。一方で家族との時間が作れていないという後悔もあるので、どちらを重く見るかで答えは変わります。

まとめ:判断は読む側に渡します

自分の範囲で書けることを並べ直します。

  • 時間:出勤9:00・退勤は平均21:00。忙しくない時期は18:00もあるが、基本的に忙しい
  • 案件:複数を同時進行。区切りの感覚が来にくい
  • 出張・夜勤・休日出勤:出張は月5日ほどで日帰りが多い/夜勤は自社では無く客先の立ち会いがたまに/休日出勤は月2回ほどで代休あり
  • 後悔:家族との時間が作れていない。年収を上げた目的と矛盾している。効率化は試行錯誤の途中
  • 続けている理由:年収と生活水準/会社の人/盤組から設計まで一式を担当できること

「やめとけ」と言われる理由は、たぶんこの記事の2章と3章に書いたあたりです。それを読んで無理だと思うなら入らない、それでも年収や仕事の中身に魅力を感じるなら考えてみる、という順番でいいと思います。自分は後者でしたが、同じ条件で前者の判断をする人がいるのは当然だと思っています。

繰り返しますが、これは1人・1社の例です。応募を考えている会社の労働時間や出張の頻度は、面接で直接聞いて確かめてください。自分の数字と違っていても不思議ではありません。

仕事の中身そのものは制御設計とはどんな仕事か。装置1台ができるまでの7工程と、各工程で使う知識にまとめています。