中間リレーとは?PLC出力に直接負荷をつないではいけない理由
中間リレー(インターフェースリレー)とは:PLCと負荷の「間に入る」リレー
中間リレー(インターフェースリレー)は、PLCの出力信号と実際の負荷(電磁弁・ランプ・MCコイルなど)の間に入って、信号を「中継」するリレーです。PLCの出力はあくまで「指令を出す係」で、実際に負荷へ電流を流す仕事は中間リレーの接点が引き受けます。
制御盤の扉を開けると、PLCの出力ユニットのすぐ近くにソケット付きの小型リレーがずらっと並んでいるのを見たことがあると思います。あれが中間リレーです。「PLCから直接つなげばリレーなんて要らないのでは?」と最初は思うかもしれませんが、あの一列には明確な理由があります。この記事ではその理由と、選び方・配線の基本を整理します。
なぜPLC出力に負荷を直接つないではいけないのか
結論から言うと、PLCの出力は「信号を出す」ためのもので、「負荷を駆動する」ための容量を持っていないからです。理由を4つに分けて見ていきます。
理由1:トランジスタ出力の定格電流が小さい
PLCのトランジスタ出力は、1点あたり0.1〜0.5A程度と定格電流が小さいものが多いです。小型の表示灯程度なら駆動できても、電磁弁やMCコイルのようにそれなりの電流が流れる負荷をつなぐと定格を超えます。定格オーバーで即壊れなくても、出力素子が発熱して寿命を縮め、ある日突然「その出力だけONしなくなる」トラブルにつながります。
理由2:誘導負荷の突入電流と逆起電力で出力素子が壊れる
電磁弁やリレーコイルのようなコイル成分を持つ負荷(誘導負荷)は、OFFの瞬間にコイルに蓄えたエネルギーを逆起電力として吐き出します。このサージ電圧がPLCのトランジスタに直撃すると、半導体は一発で破損することがあります。抵抗負荷と誘導負荷で何が違うのかはリレーの誘導負荷と抵抗負荷の違いで詳しく解説していますが、「コイルものはOFF時に牙をむく」と覚えておいてください。
理由3:電圧レベルの橋渡しができる
PLCの出力は多くの盤でDC24Vですが、動かしたい負荷はAC100VのランプだったりAC200VのMCコイルだったりします。中間リレーを挟めば「コイル側はDC24V、接点側はAC200V」というように、電圧の異なる回路を電気的に切り離したまま橋渡しできます。PLC出力だけではこれはできません。
理由4:壊れたときの被害を最小限にできる
もし出力素子が壊れたら、直結の場合はPLCの出力ユニットごと交換です。ユニットは数万円クラスで、交換にはプログラムの停止・配線の付け替えも伴います。一方、中間リレーが壊れた場合はソケットからリレーを引き抜いて数百円〜千円程度のリレーを差し替えるだけです。中間リレーは「高価なPLCを守る身代わり」でもあります。
ちなみに「PLCを介してはいけない信号」というのも存在します。非常停止がその代表で、こちらは非常停止はなぜPLCを通してはいけないのかで解説しています。中間リレーの話とあわせて読むと、「PLC出力に何を任せて何を任せないか」の感覚がつながります。
中間リレーの選び方:確認するのは4つ
中間リレーの選定で確認するポイントは次の4つです。
- コイル電圧:PLC出力側の電圧に合わせます。DC24V出力のPLCならDC24Vコイル。ここを間違えると動かない、または焼けます。
- 接点容量:負荷に流れる電流が接点定格に収まるかを確認します。小型の中間リレーの接点容量は数A程度が目安なので、それを超える負荷はMCなど大容量の開閉器を接点の先に置きます。誘導負荷の場合は抵抗負荷より定格が下がる点にも注意です。
- 接点構成(a接点・b接点・c接点):単純なON/OFF中継ならa接点で足ります。c接点(切替接点)が2組入った「2c」タイプは応用が利くため、盤では定番です。
- ソケット・取付方法:中間リレーはソケットに差し込んでDINレールに取り付けるのが基本です。ソケット式なら故障時にリレー本体だけ交換でき、配線を触らずに済みます。
迷ったら「盤の制御電圧に合ったコイル・2c接点・ソケット式」を基準に考えると外しにくいです。
配線の基本:PLC出力→コイル、接点→負荷
中間リレーの配線は、回路を2つに分けて考えるとシンプルです。
- コイル側(一次側):PLC出力 → リレーコイル → 電源コモン。PLCが駆動するのはリレーのコイルだけです。
- 接点側(二次側):負荷用電源 → リレー接点 → 負荷。負荷電流はこちらのループだけを流れ、PLCには一切流れません。
PLCがONすると数十mA程度のコイル電流でリレーが動作し、接点側で負荷電流をまかなう。これが「小さい電流で大きい電流をコントロールする」中間リレーの基本形です。
もう一つ忘れてはいけないのがサージ対策です。リレーコイル自体も誘導負荷なので、OFF時に逆起電力を出します。DC回路ならダイオード、AC回路ならバリスタやCR回路をコイルに並列に入れるのが定石です。市販の中間リレーにはサージ吸収素子(ダイオードやCR)を内蔵したタイプがあり、オムロンのMYシリーズなら型式末尾に -D2(ダイオード内蔵)や -CR といった記号が付きます(MY2Nの「N」は動作表示灯付きを表す記号で、サージ吸収とは別物です)。PLCの出力につなぐリレーはこうしたサージ吸収付きタイプを選んでおくと配線がすっきりします。同様に、リレー接点の先につなぐ負荷が電磁弁などの誘導負荷なら、負荷側にもサージ対策を検討します。
現場での使いどころ
中間リレーが活躍する典型的な場面を挙げます。
- 電磁弁・ソレノイドの駆動:エアシリンダを動かす電磁弁はコイル負荷の代表格。PLC出力→中間リレー→電磁弁が定番の構成です。
- ランプ・ブザーなどAC負荷の駆動:DC24V指令でAC100V/200Vの表示灯や警報器を鳴らす電圧の橋渡しに使います。
- MCコイルの駆動:モーターを動かすときは、中間リレーの接点でMCのコイルを叩き、MCの主接点でモーター電流を流す二段構えにします。
- 信号レベルの変換:センサーとPLCの入力仕様が合わないときの変換にもリレーは使えます。NPN・PNP変換はリレーで解決!MY2Nを使った配線図と現場の救済術では、定番のMY2Nを使った実際の配線例を紹介しています。
形式としてはオムロンのMYシリーズ(MY2Nなど)やLYシリーズ、各社の同クラス品が「盤の中の定番」としてよく使われています。どの現場に行っても見かけるので、若手のうちに一度ソケットから抜いて構造を眺めておくと理解が早いです。
なお、ON/OFFの頻度が非常に高い用途や、接点の摩耗を避けたい用途では、機械接点を持たないSSR(ソリッドステートリレー)という選択肢もあります。詳しくはSSRとは?を参照してください。
まとめ
- 中間リレーはPLC出力と負荷の間に入り、信号を中継するリレー
- PLCのトランジスタ出力は定格電流が小さく、負荷の直結は素子の破損・寿命低下につながる
- 誘導負荷のOFF時に発生する逆起電力はPLC出力の大敵。リレーで切り離して守る
- DC24V指令→AC200V負荷のような電圧の橋渡しができるのもリレーの強み
- 故障時はリレーだけ差し替えれば済み、高価なPLCユニットを守れる
- 選定はコイル電圧・接点容量・接点構成・ソケット式の4点。サージ吸収素子内蔵タイプが実用的
「PLCは指令係、電流を流すのはリレーの仕事」。この役割分担が腹に落ちれば、盤の中のリレーの列が意味を持って見えてくるはずです。
