制御設計に資格は必要か。入口では問われなかったが、入ってから効いたこと

はじめに:1社の実例で答えると「入口では問われなかった」

「制御設計に資格は必要か」。自分も業界に入る前と転職する前の両方で、この疑問を調べた側でした。結論から書くと、自分が今いる会社では、入口で資格は問われませんでした。

自分は18歳からFA(ファクトリーオートメーション)の業界にいて、業界歴は7年です。前職はFAのソフト会社で、タッチパネル(GOT)の画面制作から入り、PLCのソフトも担当して4年。今は自動装置(自動機)のメーカーで3年目になります。未経験からの転職ではなく、同じ業界の中での転職です。

ただし、これは1人・1社の話です。資格の有無で採用を判断する会社もあると思うので、「制御設計に資格は要らない」という一般論として読まないでください。この記事では、自分の会社で何を見られたのか、入ってから何が効いたのか、入る前にやるなら何がいいのかを、自分が知っている範囲だけで書きます。

年収の推移や1日の働き方そのものは別の記事にまとめているので、そちらが知りたい方はFAエンジニアの年収は転職でどう変わったか。制御設計に移って3年の実例を読んでください。この記事は「資格と勉強」の話に絞ります。

採用で見られたのは人柄と若さだった

入社してから聞いた話ですが、採用基準は人柄だったそうです。理由として言われたのは「結局は人」。仕事を持ってくるのも、手配してくれるのも人だから、ということでした。あとは若さ。資格や電気の知識は、入口では問われませんでした。

この話を聞いたとき、自分は少し意外でした。電気を扱う仕事なので、面接で知識を試されるものだと思っていたからです。実際に自分が聞かれた内容も、技術の試験のようなものではありませんでした。

なぜ人柄なのか、自分の解釈

入って3年目の今は、この基準にも理屈があると思っています。装置の仕事は、見積からハード設計、手配、ソフト、配線工事、試運転・立ち上げまで、人の手を何度も渡って進みます。仕事を持ってきてくれる人、部材や盤組を手配してくれる人、現場で一緒に動く人。どこかで話が通らなくなると、そこで止まる仕事です。知識は入ってから足せますが、人と話が通るかどうかは入ってからでは変えにくい、という判断なのだと解釈しています。

繰り返しますが、これは自分がいる1社の採用方針で、自分の解釈です。同じ制御設計でも、資格を応募条件に書いている会社はあるはずなので、応募先の募集要項を見てください。

では何が要るのか:入ってから覚える順番が決まっている

「資格が問われなかった」と書くと、何も要らないように読めてしまうので、そこを補足します。要るものはあります。ただ、それを入る前に自分で揃えておく必要はなかった、というのが自分の実感です。

新人はまず盤組から

今の会社では、新人はまず盤組(制御盤の組立)を経験することになっています。自分も入社後しばらくは盤組を担当しました。理由は単純で、盤組を経験していないと、ハード設計で盤内の配置図が描けないからです。機器の大きさや配線を通すスペースを手で知らないまま図面を描くと、紙の上では収まっているのに実際には組めない配置になってしまう。

これも1社の例です。他社が何から始めさせるかは分かりません。ただ、「覚える順番が会社の側で決まっている」ということ自体は、入る前の不安を下げてくれる事実だと思っています。

盤組1ヶ月目に分からなかったこと(一部)

ソフト会社に4年いた自分でも、盤組の1ヶ月目はこの程度から分かっていませんでした。

  • Y端子と丸端子の使い分け
  • 24V(制御電源)という概念
  • 電線のサイズを何にするか(許容電流)
  • 機器の配線をどこに繋げばいいか
  • マークチューブ(線番)の読み上げの向き(会社ごとに作法が違う)

資格を持っているかどうかより、この手の一つひとつを先輩に聞いて潰していくほうが、最初の1ヶ月は効きました。逆に言えば、入る前に全部を知っておく必要はありません。

入る前にやるなら「資格の勉強」より「用語を知っておくこと」

それでも入る前に何かしておきたい、という人向けに書きますが、ここから先は会社から言われたことではなく、自分が振り返って思うことです。おすすめは資格の勉強よりも「用語を知っておくこと」です。

理由は、前の章に挙げた1ヶ月目に分からなかったことが、そのまま言葉の問題だったからです。24V、許容電流、端子、線番。先輩の指示が分からないのではなく、指示に出てくる単語が分からないので手が止まる、という詰まり方でした。単語の意味だけでも先に通っていれば、同じ説明がもっと短く済んだはずだと思っています。

例:許容電流とセンサーの出力方式

たとえば電線のサイズは、今ならKIV・IV電線の許容電流一覧|サイズ別の代表値まとめ【制御盤設計向け】のような表を見れば済む話です。でも当時の自分は「許容電流」という言葉の意味から分かっていませんでした。言葉を知っていれば表を引けますが、知らなければ表の存在にも気づけません。

センサーの配線も同じです。PNPとNPNという出力方式の違いは、現場では前提として会話に出てきます。この辺りはPNPとNPNの違いとは?初心者でも分かる配線とCOMの考え方にまとめているので、入る前に一度読んでおくと、COMという単語で手が止まらなくなると思います。

資格の勉強そのものを否定したいわけではありません。ただ、入口で問われなかった自分の経験からすると、「試験に受かるための勉強」と「現場の言葉が分かるようになること」は別物でした。入社までの時間が限られているなら、自分は後者を選びます。

自分が持っている資格のこと(第二種電気工事士)

自分は第二種電気工事士を持っています。ただ、これを採用のときに問われたわけではないので、「この資格があったから入れた」という話ではありません。

では無駄だったのかというと、そうは思っていません。今の担当は制御盤の設計とCAD製図、PLCとGOTのソフト、そして配線工事や試運転・立ち上げまでを一式持つ仕事です。電気を扱う前提の仕事なので、持っていて無駄になったとは感じていません。

難易度や勉強法、他の資格との比較については、自分が人に語れるだけの材料を持っていないので、この記事では書きません。資格そのものの情報は、試験を実施している団体の公式案内で確認してください。

この章で言いたいことは一つだけです。資格があれば採用される、という話ではなく、資格が無いから入れない、という話でもなかった。少なくとも自分の1社では、そういう入口でした。

よくある質問(FAQ)

Q1. 制御設計に資格は必要ですか?
A. 自分が入った会社では、入口で資格は問われませんでした。採用で見られたのは人柄と若さで、資格や電気の知識を確認されたという話は聞いていません。ただしこれは1社の例です。資格の有無で採用を判断する会社もあると思うので、応募先ごとに募集要項を確認してください。

Q2. 制御設計の採用では何を見られますか?
A. 自分の会社では採用基準は人柄だったと、入社してから聞きました。「結局は人」で、仕事を持ってくるのも手配してくれるのも人だから、という理由です。あとは若さを見ていたそうです。これも1社の例なので、他社がどこを見ているかは分かりません。

Q3. 制御設計の仕事に入る前に勉強しておくことはありますか?
A. 自分の感覚では、資格の勉強よりも現場で使う用語を先に知っておくほうが効きます。盤組の1ヶ月目に自分が分からなかったのは、24V(制御電源)という概念、電線サイズ(許容電流)、Y端子と丸端子の使い分けといった言葉でした。覚える順番は会社の側が決めてくれるので、入る前に全部を知っておく必要はありません。

Q4. 第二種電気工事士の資格は制御設計で役に立ちますか?
A. 自分は第二種電気工事士を持っていますが、採用のときにそれを問われたわけではありません。ただ、制御盤の設計から配線工事、試運転まで電気を扱う仕事なので、持っていて無駄になったとは感じていません。資格があれば採用されるという話ではない、という前提で読んでください。

まとめ

「制御設計に資格は必要か」への自分の答えは、1社の実例としてこうなります。

  • 入口では問われなかった。採用で見られたのは人柄と若さだった(入社後に聞いた話)
  • 要るものは入ってから覚える順番で決まっていた。自分の会社では新人はまず盤組から(盤組を知らないと配置図が描けない)
  • 入る前にやるなら用語。24V、許容電流、端子、線番など、1ヶ月目に詰まったのは言葉の問題だった
  • 第二種電気工事士は持っているが、問われたわけではない。それでも電気を扱う仕事なので無駄にはなっていない

資格の有無で採用が決まるかどうかは、会社によって違うはずです。この記事は1人・1社の例として受け取ってもらって、応募先の条件はその会社の募集要項で確かめてください。入口で問われなかった自分が言えるのは、「資格が無いという理由だけで諦める段階ではないかもしれない」ということくらいです。

仕事の中身そのものは制御設計とはどんな仕事か。装置1台ができるまでの7工程と、各工程で使う知識にまとめています。