セーフティドアスイッチとは|4つのタイプ・ロックの有無の選び方と、無効化させない付け方

※この記事は初心者に向けて書いています。

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セーフティドアスイッチとは|扉が開いたら機械を止めるインターロック装置

この記事で本当に危ないのは、次の4つです
  • ドアスイッチを無効化(バイパス)すること:センサを動かないようにしたり、扉を開けたまま機械が動くようにしたりする行為です。規格(ISO 14119)は、機械を作る側に無効化されにくくする対策を求めています(出典: キーエンス セーフティサポートガイドブック 247020)。
  • ロックなしのドアスイッチで、安全距離が足りないこと:扉を開けてから機械が止まるまでの間に、人の手が危険な所に届いてしまいます。
  • スプリングロック式は、電源が切れると扉がロックされたままになること:人が扉の内側に閉じ込められるおそれがあります(出典: GS(ロック)ユーザーズマニュアル 262015)。中から開けられる仕組み(エスケープリリース)を考えてください。
  • 接点式のドアスイッチを何台も直列につなぐこと:フォールトマスキングにより、カテゴリ4/PLe を保てないことがあります(出典: キーエンス セーフティサポートガイドブック 247020)。

安全柵や装置カバーの扉に、小さな箱と、扉側に付いた「舌」のような部品が付いているのを見たことはないでしょうか。
これがセーフティドアスイッチ(安全ドアスイッチ)です。
役割はシンプルで、扉が開いたことを検出して、機械を止めるための安全機器です。

規格の上では「ガードと共同するインターロック装置」と呼ばれ、ISO 14119(JIS B 9710)という規格で扱われています(出典: キーエンス セーフティサポートガイドブック 247020)。
機械側に付ける本体と、扉側に付けるアクチュエータの組み合わせで、扉が閉まっているかどうかを見ています。

「インターロック」は、条件がそろわないと機械を動かさない仕組みのことです。回路での考え方はインターロック回路とは?b接点を使った安全制御の基本パターンで整理しています。
ドアスイッチは、その「条件」のうち扉が閉まっていることを見張る役です。

ドアスイッチの信号はセーフティリレーやセーフティコントローラで受けて、そこから接触器などを切って機械を止める、という組み方が基本です。受ける側の仕組みはセーフティリレーとは?仕組み・配線の基本と選び方【初心者向け安全制御入門】を読んでください。

同じ「止めるための機器」の仲間に非常停止ボタンがあります。こちらは非常停止ボタンの選定と設置ルール|直接開路動作・色形状・配置の基準で取り上げています。
また、止めるための信号を一般のPLCのプログラムに任せない理由は、非常停止を例に非常停止はなぜPLCを通してはいけないのか|ハードワイヤ設計で装置を止める理由で解説しています。

※本記事は入門のための概説です。実際の選定・設計・施工は、機械のリスクアセスメント、使う機種の取扱説明書、該当する規格に従って行ってください。

4つのタイプ(ISO 14119)とコード化

ドアスイッチ(インターロック装置)は、ISO 14119 で4つのタイプに分けられています。
分け方の軸は2つです。機械的に作動するか、非接触か。そしてコード化があるか、ないかです。

タイプ 動作 コード化 例
タイプ1 機械的に作動 なし 回転カム・リニアカム・ヒンジ
タイプ2 機械的に作動 あり(低〜高) タン形状のアクチュエータ・トラップド・キー
タイプ3 非接触式 なし 近接スイッチ(誘導式・光学式など)
タイプ4 非接触式 あり(低〜高) コード化センサ(磁気式・光学式など)

出典: キーエンス セーフティサポートガイドブック(資料番号 247020)「参考:ドアセンサの種類(インターロック装置 タイプ1〜タイプ4)」

タイプ1・2は、扉側の部品(アクチュエータ)が本体を機械的に作動させるタイプです。
タイプ3・4は非接触式で、本体がアクチュエータに機械的に作動させられるのではなく、非接触で扉の開閉を検出します。

「コード化」とは

コード化とは、決まったアクチュエータ(扉側の部品)にしか反応しないようにする仕組みです。
コード化がないと、ありふれた物で本体を作動させられてしまうおそれがあります。コード化は、ありふれた物では作動させにくくする=無効化を防ぐ方策の一つとして規格の考え方に入っています(出典: キーエンス セーフティサポートガイドブック 247020)。

表のとおり、コード化には「低〜高」の幅があります。
非接触式では、たとえばキーエンス GS シリーズがタイプ4で、コード化のレベルを低/高で切り換えられる機種です(出典: キーエンス セーフティサポートガイドブック 247020)。
どのタイプ・どのコード化レベルにするかで、次の章の「無効化させないための対策」の重さも変わります。

無効化(バイパス)させないために

ドアスイッチで起きてほしくないのは、故障だけではありません。人の手で無効化されることです。
無効化とは、ドアスイッチ(ドアセンサ)を動作できない状態にしたり、バイパスしたりする行為のことです(出典: キーエンス セーフティサポートガイドブック 247020)。
扉を開けたまま機械が動くようになれば、ドアスイッチは付いていないのと同じです。

ISO 14119 の考え方では、機械を作る側が「この装置は無効化されるかもしれない」という可能性を検討し、必要に応じて防止の方策を講じることが求められています(出典: 同ガイドブック)。
方策の例は次の3つです(出典: 同ガイドブック)。

  1. 近づけない:本体やアクチュエータを手の届かない所に付ける、物理的な遮蔽物で覆う。
  2. ありふれた物で作動できないようにする:アクチュエータのコード化。
  3. 外せないようにする:溶接・接着・ワンウェイネジなど、取り外しできない方法で固定する。

どこまでの対策が必要かは、ドアスイッチのタイプとコード化の高さによって違います。具体的な組み合わせは ISO 14119 やメーカーの資料で確認してください。

保全の立場で気をつけたいのは、「扉を閉めても機械が復帰しないから、とりあえずドアスイッチの端子をジャンパ(短絡)して動かす」という場面です。これは無効化そのものです。
復帰しない原因は、ジャンパで飛ばさずに順に切り分けます。安全回路の切り分けの考え方は非常停止が復帰しない時の切り分け手順|ボタン・配線・安全リレー・電源の順に見るが参考になります(非常停止の記事なので、ドアスイッチ側の表示灯やエラーの見方は各機種の取扱説明書で確認してください)。

黒板図:ドアスイッチを無効化させない方策は、手の届かない所に付ける・遮蔽物で覆う、コード化でありふれた物では作動させない、溶接・接着・ワンウェイネジで外せなくするの3つ。復帰しないからと端子をジャンパするのは無効化そのもので、原因は順に切り分ける。
近づけない・コード化・外せない、ジャンパはNG

ロックなし/ロックありの選び方|安全距離の考え方

ドアスイッチには、扉をロックしないタイプと、ロックできるタイプがあります。
どちらを選ぶかは、扉を開けてから機械が止まるまでに、人の手が危険な所へ届くかどうかで考えます。

ロックなし:安全距離が要る

ロックなしのドアスイッチは、装置の稼働中でも扉を開けられます。
そのため、扉が開いたことを検出してから危険源が止まるまでの時間に見合った安全距離が必要です(出典: キーエンス GS シリーズ カタログ 262006)。
扉から危険な所までの距離が足りないと、機械が止まりきる前に手が届いてしまいます。

ロックあり:稼働中に開けさせない

稼働中に扉を開けさせたくない場合は、ロック付きを選びます(出典: キーエンス GS シリーズ カタログ 262006)。
また、計算した安全距離が大きくなる場合は、施錠式(ロック付き)が推奨されています(出典: キーエンス セーフティサポートガイドブック 247020)。

安全距離の式と計算例

安全距離は、ISO 13855 に基づく次の式で考えます(出典: キーエンス セーフティサポートガイドブック 247020)。

S = K × T + C

  • S:安全距離(最小距離)
  • K:人体の接近速度に基づくパラメータ
  • T:検知の作動から、危険な機械機能が止まるまでの時間(総合システム停止性能)
  • C:侵入距離

同ガイドブックには、施錠なしのインターロックガード(上肢)の計算例が載っています。
この例では K=1600mm/秒、T=機械の最大停止時間+ガードの応答時間−上肢が通れる広さまでガードが開くのに要する時間、としています。

項目 計算例の値
開口部 18mm(C=120mm)
機械の最大停止時間 100ms
ドアセンサの応答時間 20ms
上肢が通れる広さまでガードが開くのに要する時間 100ms

S = 1600 × (0.1 + 0.02 − 0.1) + 120 = 152mm
(出典: キーエンス セーフティサポートガイドブック 247020「計算例」)

式を見ると、止まるまでの時間(T=総合システム停止性能。機械の最大停止時間を含む)が長いほど、安全距離(S)は大きくなることが分かります。止まるのに時間がかかる機械ほど、扉を危険な所から離すか、ロック付きにして稼働中は開けさせない、という方向になります。
C は開口部の大きさなどで決まる値で、上の 120mm はあくまで計算例の値です。実際の値は規格・メーカー資料で確認してください。

上の数字は考え方を示すための計算例です。実際の設備では、使う国・地域の規格や法律で定められた安全距離を確保してください(出典: キーエンス セーフティサポートガイドブック 247020)。

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ロックの方式|スプリングロックとソレノイドロック

例としてキーエンスの GS シリーズでは、ロックの方式が2つあり、違いは電源が切れたときにロックが残るか、外れるかです(出典: キーエンス GS シリーズ カタログ 262006)。他社の方式は各社のカタログで確認してください。

方式 電源が切れたとき 向いている用途
スプリングロック ロックが保たれる(電源断時ロック維持) 惰性のある危険源での人体保護
ソレノイドロック ロックが解除される(電源断時ロック解除) 惰性のない危険源での製造プロセスの保護

出典: キーエンス GS シリーズ カタログ 262006

「惰性のある危険源」とは、電源を切ってもすぐには止まらず、しばらく動き続けるもののことです。
電源が切れた瞬間にロックが外れて扉を開けられるようになると、まだ動いている所に手が届きます。だから人を守る目的ではスプリングロックが向いている、という整理です。

スプリングロックの危険:中に閉じ込められる

スプリングロックには、裏返しの危険があります。
本体の電源が遮断されると扉がロックされるため、人が扉の内側に閉じ込められてしまう可能性があります(出典: GS(ロック)ユーザーズマニュアル 262015「危険」)。
人が柵の中に入って作業する設備では、停電や電源断のときに中からどうやって出るかを設計の段階で考えておく必要があります。

そのための仕組みとして、手でロックを外すマニュアルリリースや、内側から扉を開けるエスケープリリース(オプション)があります(出典: GS(ロック)ユーザーズマニュアル 262015)。
どの仕組みが使えるかは機種によって違うので、各社のカタログ・取扱説明書で確認してください。

ソレノイドロックの注意:急に止まれる機械にしか使わない

ソレノイドロックは電源が切れるとロックが外れます。
そのため、ソレノイドロックを付ける機械は、動作周期のどの点でも急停止できなければなりません。停止時間が不規則な機械には使わないこと、と GS シリーズのマニュアルは「危険」表示で定めています(出典: GS(ロック)ユーザーズマニュアル 262015)。

何台もつなぐとき|直列とフォールトマスキング

安全柵に扉が何枚もある設備では、ドアスイッチを何台もつなぎたくなります。
ここに落とし穴があります。接点タイプのドアスイッチを複数台直列につなぐと、カテゴリ4/PLe を維持できない場合があります(出典: キーエンス セーフティサポートガイドブック 247020)。

理由はフォールトマスキングです。直列につないだ複数のスイッチのうち1台が故障していても、別の扉の開け閉めに隠れて(マスクされて)故障を見つけられなくなることがあります。
ISO/TR 24119 では、同時に複数のガードが開かれるなど、フォールトマスキングの発生が予見できる場合、診断範囲(DC)は「なし」に制限されるとされています(出典: 同ガイドブック)。

直列でもカテゴリ/PL を保つ方法の一つが、内部に診断機能と監視された出力(OSSD)を持つタイプのインターロック装置を使うことです(出典: 同ガイドブック)。
例として、キーエンス GS シリーズは直列でもカテゴリ4/PLe を維持でき、非接触タイプは30台、ロックタイプは25台まで直列にできるとされています(出典: 同ガイドブック)。1台では PLe・Category4・SIL3 です(出典: キーエンス GS シリーズ カタログ 262006)。
他社の機種で直列にできる台数や条件は、各社のカタログ・取扱説明書で確認してください。

なお、どの安全カテゴリ・PLが必要かは、その機械のリスクアセスメントで決まります。
ドアスイッチの台数が増えてきたら、受ける側をセーフティリレーで足りるか、セーフティコントローラにまとめるかも考えどころです。判断の目安はセーフティリレーとセーフティコントローラの違い|いつ1台に集約すべきか【キーエンスGC-1000・オムロンG9SP】で解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. セーフティドアスイッチとは何ですか?
A. 安全柵や装置カバーの扉に付けて、扉が開いたことを検出し、機械を止めるためのインターロック装置です。規格(ISO 14119)では、機械的に作動するか非接触か、コード化があるかないかで、タイプ1〜タイプ4の4つに分けられています。ドアスイッチの信号はセーフティリレーやセーフティコントローラで受けて、機械を止めます。

Q2. 電磁ロック付きのセーフティドアスイッチとは何ですか?
A. 扉をロックできるタイプのドアスイッチです。ロックなしのドアスイッチは装置の稼働中でも扉を開けられますが、ロック付きは稼働中に扉を開けさせないようにできます。ロックの方式は機種で違い、例えばキーエンスの GS シリーズには、電源が切れてもロックが保たれるスプリングロックと、電源が切れるとロックが外れるソレノイドロックがあります。スプリングロックは電源が切れると人が扉の内側に閉じ込められるおそれがあるため、内側から開けるエスケープリリースなどの仕組みを考えておきます。

Q3. 非接触式のセーフティドアスイッチとは何ですか?
A. 本体が扉側の部品(アクチュエータ)に機械的に作動させられるのではなく、非接触で扉の開閉を検出するタイプです。ISO 14119では、コード化のない非接触式がタイプ3(近接スイッチなど)、コード化のある非接触式がタイプ4(磁気式・光学式などのコード化センサ)に分けられます。コード化があると決まったアクチュエータにしか反応しないため、ありふれた物で作動させにくくなります。

Q4. ドアスイッチの安全カテゴリはどう考えればよいですか?
A. どの安全カテゴリ・PLが必要かは、その機械のリスクアセスメントで決まります。機種の仕様の例としては、キーエンス GS シリーズは1台で PLe・Category4・SIL3 とされています。ただし接点式のドアスイッチを何台も直列につなぐと、フォールトマスキングのためにカテゴリ4/PLe を保てないことがあるので、台数が多いときはつなぎ方まで含めて確認します。

Q5. セーフティドアスイッチは直列につないでもよいですか?
A. 接点タイプのドアスイッチを複数台直列につなぐと、カテゴリ4/PLe を維持できない場合があります。ISO/TR 24119 では、同時に複数のガードが開かれるなどフォールトマスキングの発生が予見できる場合、診断範囲(DC)は「なし」に制限されます。直列でもカテゴリ/PL を保つ方法の一つは、内部に診断機能と監視された出力(OSSD)を持つタイプのインターロック装置を使うことです。

まとめ

  • セーフティドアスイッチは、扉が開いたことを検出して機械を止めるインターロック装置。信号はセーフティリレーやセーフティコントローラで受ける。
  • ISO 14119 では、機械的に作動か非接触か × コード化の有無でタイプ1〜4に分かれる。コード化は、ありふれた物で作動させにくくする方策の一つ。
  • 無効化(バイパス)は厳禁。機械を作る側は、近づけない・コード化・外せない固定などで無効化されにくくする。必要な対策はタイプとコード化の高さで違う。
  • ロックなしは稼働中に扉を開けられるので安全距離(S=K×T+C)が要る。稼働中に開けさせたくない・安全距離が大きくなるならロック付き。実際の設備では、使う国・地域の規格や法律で定められた安全距離を確保する。
  • スプリングロックは電源が切れてもロックが残るので、中に閉じ込められる危険がある。マニュアルリリースやエスケープリリースで出口を考えておく。
  • 接点式を何台も直列につなぐと、フォールトマスキングでカテゴリ4/PLe を保てないことがある。直列にするなら診断機能とOSSD出力を持つタイプかどうかを確認する。

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