検相器(相回転計)の使い方|正相・逆相の見方と、接触式・非接触式の選び方

危ないのは「活線にクリップを付ける作業」と「ランプが点かない=電気が来ていない」という思い込み
検相器は、電気が来ている電線(活線)にクリップを付けて使う道具です。接触式はクリップを端子に直接つなぐので、クリップの接触による短絡事故に注意が要ります(出典: パナソニック TERASU)。非接触式でも、クリップのバリア(つば)より先を持たない、本体背面の磁石を裸の導体やブスバーに付けないことが取扱説明書で求められています(出典: 日置 取扱説明書)。
もう1つ、線間電圧ランプが点かなくても、その線が活線の可能性はあります(出典: 日置 取扱説明書)。ランプが点かないことを「電気が来ていない」証拠にしないでください。

三相のモーターや盤の電源工事の前後で「相順を見ておいて」と言われ、検相器を渡されて手が止まった経験はありませんか。クリップをどの線にどの順で付けるのか、ランプが回る向きをどう読むのか、接触式と非接触式のどちらを使えばいいのか。この記事では、正相・逆相・相順の意味から、接触式と非接触式の違い、使い方の手順と表示の読み方、そして安全上の注意までを現場目線で整理します。

測り方シリーズとしては、接地抵抗の測り方|精密測定(3極法)と簡易測定(2極法)の手順と判定の基準値に続く1本です。接地抵抗計が「接地が効いているか」を見る道具だったのに対し、検相器は電源の相の順番が正しいかを見る道具です。

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検相器(相回転計)とは|正相・逆相・相順の意味

三相の「相の順番」を確かめる道具

検相器は、三相3線式の配線の相の順番が正相かどうかを確かめる道具です。機種によっては欠相も確かめられます(出典: パナソニック DENZAI TERASU「相回転」)。呼び名は検相器のほかに相回転計とも言い、英語では Phase sequence indicator/Phase rotation indicator と呼ばれます(出典: パナソニック TERASU 辞書「検相器」)。

ここでいう相回転とは、三相電圧の位相の順序のことです。R相・S相・T相の3本の順番で変わり、「相順」とも言います(出典: パナソニック TERASU「相回転」)。

なぜモーターを動かす前に見るのか

TERASU の解説では、正相なら正回転、逆相なら逆回転で、三相交流を使う機器は基本的に正相で動くようにできている、とされています。三相のモーターは電源線のつなぎ方を誤ると反対方向に回るので、事故を防ぐためにモーターを動かす前に検相器で確かめる、というのが検相器の出番です(出典: パナソニック TERASU「相回転」・辞書「検相器」)。

ただし、検相器が見ているのはクリップした位置の相の順番です。モーター側の結線(盤の中の電磁接触器(MC)とは?仕組みとコイル電圧・主接点容量・補助接点の選び方などから先のつなぎ方)はこの記事の範囲外なので、機器の結線図・取扱説明書で確認してください。

いつ確かめるか|電源まわりを替えたとき・モーターを初めて回す前

  • 電源まわりを取り替えるとき:引き込みケーブル・変圧器・低圧ブレーカなどを取り替えるときは、事前に現場の相回転を確認しておきます(出典: パナソニック TERASU「相回転」)。取り替える前の相順が分かっていれば、工事のあとに同じかどうかを見比べられます。
  • モーターを初めて動かす前:上で書いたとおり、電源線のつなぎ方を誤ると反対方向に回るためです。

逆相で接続すると、機器が動かない・故障の原因になることがあります(出典: パナソニック TERASU「相回転」)。「動かしてから気づく」では遅いので、動かす前に見ておく、と覚えておくと迷いにくくなります。

接触式と非接触式の違い|機種の例で比べる

2つの方式

  • 接触式:クリップを端子に直接つなぎます。接触による短絡事故に注意が必要です(出典: パナソニック TERASU 辞書「検相器」)。
  • 非接触式:電線をクランプして測ります。取り付けが容易で、端子に触れないので安全性が高い方式です(出典: 同上)。

形はクリップタイプのほか、ペン型や、本体にマグネットが付いたタイプもあります。コンパクトなものは、ケーブルが太いと検相できないことがあります(出典: 同上)。

なお、非接触式の「クランプ」は各相の電線に1本ずつ付けるもので、負荷電流を測るクランプメーターの使い方|負荷電流と漏れ電流で挟み方が変わるのクランプとは見ているものが違います。

機種の例で比べる

項目日置 PD3129(非接触)日置 PD3129-10(非接触)共立 KEW 8031(接触)
方式金属非接触・静電誘導式で電圧を検出同左クリップを端子につなぐ
電圧AC70〜600VAC70〜1000VAC110〜600V(500V超の連続使用は5分まで)
周波数45〜66Hz45〜66Hz50/60Hz
使える電線絶縁電線 外径φ2.4〜17mm(IV 2〜100mm²)外径φ7〜40mm(IV 14〜500mm²)—
相順の表示ランプ4灯が時計回り=正相(ブザー断続)/反時計回り=逆相(ブザー連続)同左回転円板:時計回り=正相/反時計回り=逆相
欠相の表示(記載なし)(記載なし)ランプ3灯で欠相を確認
リードケーブル約0.7m同左1.5m。R=赤・S=白・T=青
電源単3×2(連続約70時間)同左電池不要

出典:日置 3129/3129-10 取扱説明書・日置 検相器・検電器シリーズ カタログ(2022-03)/共立 KEW 8031/8031F リーフレット

このほか、電圧計つきで欠相の予測を表示する機種もあります(日置 PD3259-50:AC90.0〜520.0V・外径φ6〜30mm)(出典: 日置 カタログ)。また、PD3129 はシールド線には使えません(出典: 日置 取扱説明書)。

選ぶときに見るところ

  • 測る場所の電圧が範囲に入るか:同じ非接触式でも、PD3129 と PD3129-10 で上限が違います。
  • 非接触式なら、電線の外径が範囲に入るか:PD3129 は外径φ2.4〜17mm、PD3129-10 は外径φ7〜40mm と、使える太さが分かれています。
  • 欠相も見たいか:KEW 8031 はランプ3灯で欠相を確認できます。PD3129 のカタログ・取扱説明書には欠相表示の記載がありません。欠相も見たい場合は、欠相の表示がある機種かを仕様で確かめてください。
  • 端子に触れたくないか:端子に触れずに済む非接触式は安全性が高く、接触式は端子にクリップをつなぐぶん短絡に注意が要ります(出典: パナソニック TERASU 辞書「検相器」)。

表に載せていない機種の仕様は、メーカーのカタログ・取扱説明書で確認してください。

使い方の手順と表示の読み方|正相・逆相・欠相

非接触式の手順(日置 PD3129 の取扱説明書に沿って)

  1. ① 始業前点検:本体・クリップ・ケーブルに傷がないかを見ます(出典: 日置 取扱説明書)。
  2. ② 各相の電線にクリップする:各相の電線(AC70V以上の活線・単線)にクリップします(出典: 同上)。クリップの色の合わせ方は下の項で説明します。
  3. ③ 線間電圧ランプを見る:R-S・S-T のランプで線間電圧を表示します。ランプが点けば測れる状態、点かなければ測れません(出典: 同上)。点かないからといって電気が来ていないとは限らないので、線には触れないでください。
  4. ④ 相順ランプの回る向きで読む:時計回り=正相、反時計回り=逆相です(出典: 同上)。

接触式の手順(共立 KEW 8031 の場合)

R・S・T のクリップを端子につなぎ、ランプ3灯で欠相が無いかを見てから、円板の回る向きで相順を読みます(出典: 共立 KEW 8031/8031F リーフレット)。接触式はクリップを端子に直接つなぐので、接触による短絡事故に注意が必要です(出典: パナソニック TERASU 辞書「検相器」)。

クリップの色は本体の R・S・T 表示に合わせる

クリップの色はメーカーによって違います。

相TERASU 辞書の例共立 KEW 8031
R赤赤
S白白
T黒青

出典:パナソニック TERASU 辞書「検相器」/共立 KEW 8031/8031F リーフレット

TERASU の例では、R=赤、S=白、T=黒の順にクランプしてスイッチを入れ、時計回りなら正相、反時計回りなら逆相と読みます。T相のクリップは TERASU の例では黒、共立 KEW 8031 では青と違うので、色で覚えるのではなく、手元の本体に書かれた R・S・T の表示に合わせてつないでください。

表示の読み方|正相・逆相・欠相

表示日置 PD3129(非接触)共立 KEW 8031(接触)
正相ランプ4灯が時計回り(ブザー断続)回転円板が時計回り
逆相ランプ4灯が反時計回り(ブザー連続)回転円板が反時計回り
欠相カタログ・取扱説明書に記載なしランプ3灯で確認

出典:日置 3129/3129-10 取扱説明書・日置 検相器・検電器シリーズ カタログ(2022-03)/共立 KEW 8031/8031F リーフレット

欠相の表示は機種によって違います。手元の機種で欠相が分かるかどうかは、取扱説明書で確かめてください。逆相と出たときは、そのまま機器を動かさず、配線の担当者と一緒に確認するのが安心です。

検相器のランプは「測れる状態か」「相の順番はどうか」を見るためのもので、電圧の値そのものを読みたいときはテスターの使い方【制御盤編】|電圧測定と導通チェックを盤の中でどう当てるかの要領でテスターを当てます。

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安全上の注意|クリップを付ける作業そのものが危ない

検相器で気をつけたいのは、活線にクリップを付ける作業そのものです。次の点は、手順を覚えるより先に押さえておいてください(出典: 日置 取扱説明書・カタログ/接触式の短絡はパナソニック TERASU)。

  • クリップのバリア(つば)より先を持たない。
  • 接触式はクリップの接触による短絡に注意:クリップを端子に直接つなぐ方式なので、接触による短絡事故が起こりえます(出典: パナソニック TERASU 辞書「検相器」)。
  • 背面の磁石を裸の導体やブスバーに付けない:短絡防止のためです。本体を盤に貼り付けるときは、付ける場所を確かめます。
  • 線間電圧ランプが点かなくても活線の可能性がある:ランプが消えていても線には触れません。検相器のランプは「電気が来ていない」ことの証明になりません。なお検電器も「電気がある」ことしか示せないので、無電圧の確かめ方は検電器の使い方と活線確認の基本|「電気が来ていない」ことの確かめ方にまとめています。
  • 対地間の最大定格電圧(測定カテゴリ)を超える場所で使わない:カテゴリの小さい測定器で、数値の大きい箇所を測らないようにします。
  • ぬれた手で使わない。
  • 始業前点検をする:本体・クリップ・ケーブルに傷があるまま使いません。

機種ごとの注意事項や使える範囲は、それぞれの取扱説明書で確認してください。

黒板図:検相器はクリップのバリアより先を持たない、接触式は短絡に注意、背面の磁石を裸の導体やブスバーに付けない、線間電圧ランプが点かなくても活線の可能性がある。測定カテゴリを超える場所やぬれた手では使わず、始業前点検をする。
活線にクリップを付ける前に押さえる注意

この記事で例に挙げた機種(PR)

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比較表で例に挙げた機種は、楽天市場でも扱いがあります。

使える電線の太さ・電圧の範囲・欠相表示の有無は機種で違います。販売ページとメーカーの取扱説明書で確認してください。

まとめ:相順はモーターを動かす前に、クリップは本体の表示どおりに

検相器(相回転計)は、三相3線式の配線の相の順番が正相かどうかを確かめる道具です。三相のモーターは電源線のつなぎ方を誤ると反対方向に回るので、電源まわりを替えるときやモーターを動かす前に相順を見ておきます。接触式は端子にクリップをつなぐぶん短絡に注意、非接触式は端子に触れずに済む一方で、使える電線の太さと電圧の範囲を機種ごとに確かめます。

  • 読み方:時計回り=正相、反時計回り=逆相。欠相の表示は機種による
  • つなぎ方:クリップの色はメーカーで違うので、本体の R・S・T 表示に合わせる
  • 安全:バリアより先を持たない・磁石を裸の導体に付けない・ランプが点かなくても活線の可能性がある

参考資料

  • パナソニック DENZAI TERASU「相回転」
  • パナソニック TERASU 電気の用語辞典「検相器」
  • 日置電機 3129/3129-10 取扱説明書
  • 日置電機 検相器・検電器シリーズ カタログ(2022-03)
  • 共立電気計器 KEW 8031/8031F リーフレット

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