接地抵抗の測り方|精密測定(3極法)と簡易測定(2極法)の手順と判定の基準値
接地抵抗計は、通電中の電線(活線)につないで測る道具ではありません。活線での測定は感電の危険が大きいので行わないでください(出典: パナソニック TERASU)。また、測定の前には地電圧の確認が欠かせません。地電圧が高いと測定値に大きな誤差が出ることがあります(確認のしかたは精密測定の手順③で説明します)。
接地抵抗計(アーステスタ)を初めて渡されると、「補助接地棒はどこに打つのか」「棒を打てない屋内ではどうするのか」「読んだ値は合格なのか」で手が止まりがちです。この記事では、補助接地棒を打って測る精密測定(3極法)と、既設の接地を使う簡易測定(2極法)の手順、測れないときの対処、測った値の判定までを現場目線で整理します。
同じ測定シリーズの絶縁抵抗測定(メガー)のやり方と注意点が「絶縁が保たれているか」を見る測定だったのに対し、こちらは「接地がきちんと効いているか」を見る測定です。接地工事の種類ごとの値や接地線の太さそのものは別記事に任せ、ここではどう測るかに絞ります。
接地抵抗計(アーステスタ)の構成と2つの測り方
道具の構成と端子
接地抵抗計は、本体・補助接地棒2本・測定コード3本(緑・黄・赤)がひとそろいです。コードは10m以上あって長いので、リールがあると便利です(出典: パナソニック「TERASU 電気の用語辞典:接地抵抗計」)。
端子はE・P・Cの3つで、Eに緑、Pに黄、Cに赤のコードをつなぎます。ただし端子の表記はメーカーによって違い、日置のカタログではE・S(P)・H(C)と書かれています。表記が違っても役割は同じです。
| つなぐ先 | 共立 KEW 4105A・パナソニック解説 | 日置 FT6031-50 カタログ | コードの色 |
|---|---|---|---|
| 測りたい接地極 | E | E | 緑 |
| 補助接地棒 | P | S(P) | 黄 |
| 補助接地棒 | C | H(C) | 赤 |
自分の手元の機種がどの表記かは、本体の端子と取扱説明書で確認してください。
精密測定(3極法)と簡易測定(2極法)の使い分け
測り方は大きく2つあります。補助接地棒を地面に打ち込んで測るのが精密測定(3極法・3電極法)、補助接地棒を打てない屋内などで、既設の接地抵抗の低いものを補助極の代わりに使うのが簡易測定(2極法・2電極法)です(出典: パナソニック TERASU)。
| 項目 | 精密測定(3極法) | 簡易測定(2極法) |
|---|---|---|
| 補助接地棒 | 地面に2本打ち込む | 使わない(既設の接地を代わりに使う) |
| 向いている場面 | 補助接地棒を打てる場所 | 補助接地棒を打てない屋内など |
| 対応する種別(日置 FT6031-50 カタログの例) | A〜D種 | D種 |
| 読んだ値 | 測りたい接地極の値 | 既設接地側の抵抗を含んだ値 |
日置 FT6031-50 のカタログでは、2電極法はD種の測定に対応し、A〜C種は3電極法で測る扱いになっています。2極法でどの種別まで測れるかは機種によるので、手元の機種の取扱説明書で確かめてください。
精密測定(3極法)の手順|E・P・Cを一直線に並べる
補助接地棒を打てる場所なら、次の5ステップで進めます。
- ① 補助接地棒を打つ:測りたい接地極(E)・P・Cの3点を一直線上に、5m〜10m程度ずつ離して配置します。日置 FT6031-50 のカタログには「正確な測定には E-S(P)-H(C) の間隔を 5m〜10m 程度離して直線上に配置します」とあり、日置 3151 の取扱説明書も P・C・E を一直線に並べる配置です。
- ② コードをつなぐ:Eに緑、Pに黄、Cに赤のコードを接続します(出典: パナソニック TERASU)。
- ③ 地電圧を確認する:たとえば共立 KEW 4105A の取扱説明書では「3V以下であることを確認」とし、3Vを超えると接地抵抗の測定に大きな誤差が出ることがある、としています。地電圧が高い場合は、測定対象の機器の電源を切ってから測ります(出典: 共立 KEW 4105A 取扱説明書 6-2)。
- ④ 補助接地抵抗を確認する:補助接地棒と大地の間の抵抗が高すぎると、測定そのものができません。高いときの下げ方は次の項でまとめます。
- ⑤ 測定して値を読む:読んだ値を、後述の「測った値の判定」の基準値と照らし合わせます。
地電圧と補助接地抵抗の許容値は機種で違う
③と④でどこまで許されるかは、機種によって差があります。
| 機種 | 地電圧 | 補助接地抵抗 |
|---|---|---|
| 共立 KEW 4105A | 3V以下であることを確認(3V超で大きな誤差が出ることがある) | — |
| 共立 KEW 4105DL | — | 100kΩまで |
| 日置 FT6031-50 | 許容地電圧 25.0Vrms(地電圧チェックは自動・NGなら警告表示) | 50kΩ |
| 日置 3151 | 約10Vを超えると測定できない | — |
出典は各機種のカタログ・取扱説明書です。パナソニック TERASU も「地電圧が3V以上の場合は誤差が出る可能性」と書いています。このように値がそろっていないので、判断は自分の機種の取扱説明書の値で行ってください。
測れないとき|地電圧が高い・補助接地抵抗が高い
- 地電圧が高い:測定対象の機器の電源を切ってから測り直します(出典: 共立 KEW 4105A 取扱説明書 6-2)。
- 補助接地抵抗が高い:補助接地棒をもっと深く打つ、打つ場所を変える、棒のまわりの地面に水をまいて湿らせる、のいずれかで下げます(出典: 共立 KEW 4105A 取扱説明書 10章、日置 3151 取扱説明書)。日置 3151 の取扱説明書は、アスファルトや硬い地面を避けて湿った場所を選ぶようにも書いています。
簡易測定(2極法)の手順|読んだ値には既設接地の抵抗が含まれる
屋内などで補助接地棒を打てないときは、既設の接地を補助極の代わりに使います。
- ① PとCを短絡する:本体のP端子とC端子をつないで1つにします(出典: パナソニック TERASU)。
- ② 既設の接地と測りたい接地極につなぐ:短絡したP側を既設の接地へ、Eを測りたい接地極へつなぎます(出典: パナソニック TERASU)。
- ③ 測定して値を読む:ただし、この値は測りたい接地極だけの値ではありません(読み方は下の項で説明します)。

既設の接地として使えるもの
- 金属製の水道管、商用電源の共通接地(出典: 共立 KEW 4105A 取扱説明書 10章)
- ACコンセントの接地側、B種接地(出典: 日置 3151 取扱説明書)
- 金属製の埋設物、避雷針など(出典: パナソニック TERASU)
日置 FT6031-50 のカタログにも「柱上トランスの B 種接地工事を利用し、D 種接地工事の測定が可能」とあります。
コンセントの接地側を使うときは、検電器でどちらが接地側かを確かめてからつないでください(出典: 日置 3151 取扱説明書)。検電器の当て方は検電器の使い方と活線確認の基本にまとめています。
読んだ値の意味(Rx=Re−re)
2極法で読んだ値(Re)には、測りたい接地極の抵抗(Rx)に加えて、補助極の代わりにした既設接地側の抵抗(re)が含まれます。式で書くと Re=Rx+re なので、reが分かっていれば Rx=Re−re で測りたい接地極の値を求められます(出典: 共立 KEW 4105A 取扱説明書 6-3)。
reが分からないときも、この式から言えることがあります。読んだ値は実際の値より大きめに出るので、D種の100Ωを満たすかを見る場面なら、読んだ値で100Ω以下に収まっていれば安全側の判定として読めます。逆に100Ωを超えたときは、既設接地側の分を含んだ値なので、それだけで不合格とは言い切れません。reが分かれば、Rx=Re−re で既設接地側の分を差し引けます。
測った値の判定|A〜D種の接地抵抗値
読んだ値は、電気設備の技術基準の解釈 第17条に定められた接地工事の種類ごとの値と照らします。
| 種別 | 対象 | 接地抵抗値 |
|---|---|---|
| A種 | 高圧・特別高圧の機器等 | 10Ω 以下 |
| B種 | 変圧器の混触防止(中性点等) | 17-1表による計算値 |
| C種 | 300Vを超える低圧の機器等 | 10Ω 以下(0.5秒以内に自動遮断する装置を施設するときは500Ω以下) |
| D種 | 300V以下の低圧の機器等 | 100Ω 以下(0.5秒以内に自動遮断する装置を施設するときは500Ω以下) |
取り違えやすいのがC種です。D種と同じ100Ωと覚えてしまいがちですが、C種は10Ω以下です。
盤や機器の多くは200V以下なので、日常の判定はD種の100Ωになることが多いはずです。一方、400V級の盤は300Vを超える低圧にあたるため、C種の10Ωで見ます。使用電圧が300V以下か、300Vを超えるかで区分が変わると押さえておいてください。
種類ごとの施工箇所や値の覚え方は【第二種電気工事士】接地工事の種類A〜D種で詳しく整理しています。
この記事で例に挙げた機種(PR)
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本文の手順や許容値で例に挙げた日置 FT6031-50 は、楽天市場でも扱いがあります:日置電機 接地抵抗計 FT6031-50
付属品の構成・価格・在庫は販売ページで、測れる範囲や許容値はメーカーの取扱説明書で確認してください。
まとめ:基本は3極法、打てないときの2極法は値の読み方に注意
接地抵抗の測り方には、補助接地棒をE・P・Cの一直線上に離して打つ精密測定(3極法)があります(間隔は日置 FT6031-50 のカタログで5m〜10m程度)。測る前には地電圧と補助接地抵抗を確認し、許容値は機種ごとに違うので手元の機種の取扱説明書で判断します。補助接地棒を打てない屋内では、PとCを短絡して既設の接地を使う簡易測定(2極法)がありますが、読んだ値には既設接地側の抵抗が含まれるため、実際より大きめに出ると理解して読みましょう。
- 3極法:E・P・Cを一直線に並べ、地電圧→補助接地抵抗の順に確認してから測る
- 2極法:読んだ値=測りたい接地極+既設接地側。D種100Ω以下に収まれば安全側の判定
- 判定:D種100Ω以下・C種10Ω以下(どちらも0.5秒以内の自動遮断装置があれば500Ω以下)
参考資料
- 日置電機 接地抵抗計 FT6031-50 カタログ(2020-07-06 現在)
- 共立電気計器 KEW 4105A 取扱説明書
- 共立電気計器 KEW 4105DL カタログ
- 日置電機 3151 接地抵抗計 取扱説明書
- パナソニック TERASU 電気の用語辞典「接地抵抗計」
- 電気設備の技術基準の解釈 第17条
