【第二種電気工事士】進相コンデンサと高調波の覚え方|力率改善・直列リアクトルの役割【学科試験対策】

はじめに

「進相コンデンサ」と「高調波」は現場でも名前を聞く機会があります。学科試験では理論の深い計算は不要で、「何のためにあるか」「何が問題になるか」の概念レベルで問われます。この記事ではその部分に絞って整理します。

学科試験全体の出題範囲は、こちらのハブ記事で確認できます。

第二種電気工事士 学科試験の出題範囲と対策まとめ

進相コンデンサとは

進相コンデンサは、力率を改善するために設置する機器です。

工場のモーターや変圧器などの誘導性負荷(コイルを含む機器)は、電力を消費しながら同時に無効電力も発生させ、力率を低下させます。力率が低いと同じ仕事をするのに大きな電流が必要になり、電線・変圧器に余分な負担がかかります。

進相コンデンサをシステムに並列接続することで、コンデンサの進み電流がコイルの遅れ電流を打ち消し、力率が1に近づきます。

進相コンデンサを負荷に並列接続した回路図:遅れ電流をコンデンサの進み電流で補正し力率改善
進相コンデンサによる力率改善の仕組み

誘導性負荷の代表は、モーターと変圧器です。これらの機器が現場でなぜ無効電力を出すのかは、こちらで整理しています。

【第二種電気工事士】モーター・変圧器の覚え方|誘導電動機の同期速度・変圧器の巻数比【学科試験対策】

力率そのものの概念については、こちらで整理しています。

電力・電力量・力率:学科の計算を整理する

※ 第二種学科では「力率改善のために進相コンデンサを並列接続する」という役割を押さえれば十分です。改善容量Q=P(tanφ₁−tanφ₂)等の計算は第一種範囲なので、本記事では扱いません。

高調波とは

高調波は、電源周波数(50Hzまたは60Hz)の整数倍の周波数成分を持つ電圧・電流のことです。

インバータ・スイッチング電源・パソコンなどの機器は、電源から正弦波でない電流を引き込むため、高調波を発生させます。高調波が系統に混入すると、変圧器の過熱・コンデンサの故障・通信機器への干渉などの問題が起きます。

高調波の発生源と影響(整理表)

発生源と影響をセットで覚えると、選択肢問題で迷いません。

区分代表例覚え方のヒント
発生源(高調波を出す機器)インバータモーター速度制御で電流を切り刻む
スイッチング電源家電・電源装置のAC/DC変換部
パソコン・OA機器内部にスイッチング電源を持つ
影響(高調波で起きる問題)変圧器の過熱鉄損が増えて温度上昇
進相コンデンサの故障低インピーダンスで高調波電流が集中
通信機器への干渉ノイズが乗って誤動作

※ 第二種学科では「第3・第5・第7高調波」などの次数別の話までは深追いしません。「整数倍の周波数成分が混入する」という程度の理解で十分です。

進相コンデンサと高調波の関係(直列リアクトル)

進相コンデンサは高調波に対して低インピーダンスになりやすい特性があります。そのため、高調波電流が進相コンデンサに集中して流れ込み、コンデンサが過負荷になることがあります。

これを防ぐために、進相コンデンサと直列にリアクトル(コイル)を組み合わせます。これが「直列リアクトル」で、高調波電流の流入を抑え、コンデンサを保護する役割があります。

進相コンデンサと直列リアクトルの役割比較表

機器主な目的接続方法どんな問題に効く
進相コンデンサ力率改善負荷と並列誘導性負荷による力率低下
直列リアクトルコンデンサ保護進相コンデンサと直列高調波電流の流入による過負荷

第二種学科では「進相コンデンサに高調波の影響がある」「保護のために直列リアクトルを組み合わせる」という程度の認識で十分です。リアクトルの定格容量や電圧階級などの数値は問われません。

過去問でどう出るか(学科試験例題)

例題① 進相コンデンサの目的

:低圧進相コンデンサを電動機などの負荷と並列に接続する目的として、正しいものはどれか。

  1. 力率を改善する
  2. 電圧降下を防止する
  3. 短絡電流を制限する
  4. 漏電を検出する

答え:1(力率を改善する)

解説:進相コンデンサは誘導性負荷の遅れ無効電力を打ち消すために設置します。電圧降下防止は配線方式・電線太さ、短絡電流制限はリアクトル等、漏電検出は漏電遮断器の役割で、それぞれ別機器が担当します。

例題② 高調波の発生源

:高調波の主な発生源として、最も適切なものはどれか。

  1. 白熱電球
  2. 蛍光灯(インバータ式)・パソコンなどのスイッチング電源
  3. 抵抗加熱器
  4. 三相誘導電動機(直入れ運転)

答え:2(インバータ式蛍光灯・パソコンなどのスイッチング電源)

解説:高調波は、電流を高速にスイッチング(オン/オフ)する機器から発生します。白熱電球・抵抗加熱器は正弦波電流をそのまま消費するため高調波は出ません。直入れの誘導電動機も基本周波数の電流が中心です。

まとめ

  • 進相コンデンサ:力率改善のために設置。誘導性負荷の無効電力を補償する(負荷と並列接続)
  • 高調波:基本周波数の整数倍の成分。インバータ・スイッチング電源・PCが発生源
  • 高調波は変圧器の過熱・コンデンサの故障・通信機器干渉の原因になる
  • 直列リアクトル:進相コンデンサと直列に組み合わせ、高調波からコンデンサを保護する
  • 第二種学科では「名前・役割・問題点」の選択肢レベルで対応できる。計算式の深追いは不要

学科試験全体の対策は、こちらのハブ記事から各分野へ進めます。

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