【第二種電気工事士】モーター・変圧器の覚え方|誘導電動機の同期速度・変圧器の巻数比【学科試験対策】

はじめに:学科で止める範囲を決める

モーターや変圧器は現場でよく扱う機器ですが、第二種電気工事士の学科で問われる深さは限られています。この記事では「学科で止める範囲」に絞って、誘導電動機の同期速度・変圧器の巻数比・鉄損銅損の3点を、暗記表と過去問例つきで整理します。詳細な設計計算は第一種以上の範囲なので、ここでは触れません。

学科試験の全体像から押さえたい場合は、まず 第二種電気工事士の学科試験ハブ記事 で7科目の出題比率を確認すると、この記事の位置づけがつかみやすくなります。

誘導電動機とは(同期速度・滑り・始動電流)

工場・現場で使うモーターの多くは三相誘導電動機です。学科で問われやすい点は次の3つに絞れます。

同期速度Ns=120f÷p

誘導電動機の回転速度は電源の周波数と極数で決まります。

同期速度(Ns)= 120 × f ÷ p(f:周波数[Hz]、p:極数)

試験では「周波数が50Hzと60Hzで速度が変わる」点や、極数を変えると速度が反比例で変わる点が問われます。下の早見表を暗記してしまえば計算ミスを防げます。

同期速度の早見表(極数×周波数)

極数 p50Hz [rpm]60Hz [rpm]
2極30003600
4極15001800
6極10001200

覚え方:60Hzは50Hzの1.2倍(60/50=1.2)。50Hz側だけ覚えれば60Hz側は×1.2で出せます。

滑り(すべり)

実際の回転速度は同期速度より少し遅く、その差を「滑り」と呼びます。滑りs[%]はs = (Ns − N) ÷ Ns × 100で表され、定格運転時で2〜5%程度が一般的です。試験では「実速度は同期速度より遅い」「無負荷では滑りはほぼゼロに近い」という性質で問われます。

始動電流

誘導電動機は起動時に定格電流の数倍(5〜7倍程度)の突入電流が流れます。この始動電流を抑えるためにスターデルタ始動などの方法が使われます。試験では「始動電流が大きい」「スターデルタで電流を約1/3に抑える」という特性として覚えておきます。

変圧器とは(巻数比・損失)

変圧器は交流電圧を変換する機器です。配電では6600Vを200Vや100Vに降圧するために使われます。

巻数比と電圧・電流の関係

変圧器の1次側と2次側の電圧・電流は巻数比で決まります。

V1 / V2 = N1 / N2 = I2 / I1(V:電圧、N:巻数、I:電流)

電圧比と電流比は逆の関係になります(電圧が上がれば電流は下がる)。試験では「巻数比に応じて2次側電圧を求める」計算が定番です。

変圧器の1次・2次巻線回路図:巻数比 n1/n2=V1/V2 の関係を図示
変圧器の1次・2次巻線と巻数比の関係

鉄損と銅損の比較表

変圧器の損失は「鉄損」と「銅損」の2つに分けて覚えます。学科ではどちらが負荷に依存するかが頻出です。

損失発生箇所負荷依存性主な原因
鉄損鉄心(コア)負荷に関わらず一定ヒステリシス損+渦電流損
銅損巻線(コイル)負荷電流の2乗に比例巻線抵抗による発熱(I²R)

覚え方:鉄=固定(励磁してれば常に発生)、銅=電流次第(負荷が増えると一気に増える)。最大効率は鉄損=銅損のときで、これも学科でたまに問われます。

変圧器の巻数比計算例:n1:n2=10:1でV1=6600VのときV2=660Vを示す表
巻数比と電圧の計算例

過去問でどう出るか(学科試験例題)

実際の出題形式に近い4択問題を2問用意しました。手で解いてから解答を見るのがおすすめです。

例題①:誘導電動機の同期速度

問題:周波数60Hz・極数4極の三相誘導電動機の同期速度[min⁻¹]はいくらか。

  • ア. 1200
  • イ. 1500
  • ウ. 1800
  • エ. 3600

解答:ウ(1800)

解説:Ns = 120 × f ÷ p = 120 × 60 ÷ 4 = 1800 [min⁻¹]。早見表の4極60Hzと一致します。アは6極60Hz、イは4極50Hz、エは2極60Hzと、いずれも他の組合せに該当する数字なので誤答肢として出やすい配置です。

例題②:変圧器の巻数比

問題:1次巻数N1=3000、2次巻数N2=50の変圧器の1次側に6600Vを加えたとき、2次側電圧V2[V]はいくらか。

  • ア. 55
  • イ. 100
  • ウ. 110
  • エ. 220

解答:ウ(110)

解説:V1/V2 = N1/N2 より、V2 = V1 × N2/N1 = 6600 × 50/3000 = 110 [V]。配電の6600V→100V系の代表例で、巻数比60:1の関係になっています。計算自体は割り算1回なので、巻数比の式さえ覚えていれば落とせません。

計算のセオリーを固めたい場合は オームの法則と計算問題の解き方 を併読すると、電圧・電流・抵抗の比例関係を一気に整理できます。

まとめ:暗記する5つだけ

  • 同期速度は Ns = 120f ÷ p(4極60Hzで1800rpmが基準)
  • 実速度は同期速度より少し遅い(差が「滑り」)
  • 始動時は定格の 5〜7倍 の始動電流が流れる
  • 変圧器は 電圧比=巻数比、電流比=巻数比の逆
  • 鉄損は負荷によらず一定、銅損は負荷電流の 2乗に比例

この5点を押さえれば、モーター・変圧器分野の学科出題はほぼカバーできます。学科全体の進め方は 第二種電気工事士の学科試験ハブ記事 で確認できます。

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