【第二種電気工事士】電力・電力量・力率と無効率の計算|sinθ・cosθで求める有効・皮相・無効電力の関係

電力・電力量・力率はセットで出題される

「電力とワット数はわかるけど、力率って何?」——現場でもよく聞かれる疑問です。第二種電気工事士の学科試験では、電力(W)・電力量(Wh)・力率(cosθ)の3つはセットで出題されることが多く、それぞれの関係を整理しておくと計算問題をすっきり解けるようになります。

試験範囲全体の位置づけや出題傾向を確認したい方は、まず第二種電気工事士 学科試験とは?出題範囲・合格基準・試験時間まとめでハブ記事を一読しておくと、この計算分野がどの配点に当たるかが見えてきます。

電力(W)の計算

電力は1秒間に消費されるエネルギーの量です。単位はW(ワット)またはkW(キロワット)。

直流・単相交流では P = V × I で求められます。抵抗で消費される電力は P = I² × R または P = V² ÷ R でも求められます。試験では問題の与え方に合わせて式を選びます。

電力計算の例題:P=VI・P=I²R・P=V²/Rの3形式と数値代入例の一覧表
電力計算の3つの公式と代入例

電力量(Wh・kWh)の計算

電力量は電力を時間にわたって積算したものです。単位はWh(ワットアワー)またはkWh(キロワットアワー)。

電力量 = 電力(W) × 時間(h)

電気代の請求に使われる「使用量」がこれです。試験では「100Wの機器を5時間使ったときの電力量は何Whか」という形で出ます。

力率(cosθ)と3種類の電力

交流回路では、コイルやコンデンサの影響で電圧と電流の位相がずれることがあります。このずれの大きさを表すのが力率です。

力率が1(100%)のとき、供給した電力がすべて有効に使われています。力率が低いほど、見かけ上の電力(皮相電力)に対して実際に仕事をする電力(有効電力)の割合が小さくなります。

3種類の電力の関係

  • 有効電力(W):実際に仕事をする電力。P = V × I × cosθ
  • 皮相電力(VA):電圧×電流の積。S = V × I
  • 無効電力(var):コイル・コンデンサで消費される、仕事にならない電力

試験では「力率0.8の回路の有効電力は何Wか」という形で問われます。皮相電力に力率をかけると有効電力が出る、という計算の流れを押さえておきます。

電力三角形:有効電力P[W]・無効電力Q[var]・皮相電力S[VA]の関係、cosθ=P/S
電力の三角形(有効・無効・皮相の関係)

無効率(sinθ)の求め方と力率との関係

力率(cosθ)とセットで覚えておきたいのが無効率(sinθ)です。無効率とは、皮相電力に対する無効電力の割合のことで、sinθ = 無効電力Q ÷ 皮相電力Sで求められます。力率が「実際に使える電力の割合」なら、無効率は「仕事にならず行ったり来たりする電力の割合」というイメージです。

無効率の求め方は、試験では次の3パターンが使えます。

  1. 公式から直接:sinθ = Q ÷ S(無効電力と皮相電力が与えられているとき)
  2. 力率から逆算:sinθ = √(1 − cos²θ)(力率だけが与えられているとき)
  3. 電力三角形から:cos²θ + sin²θ = 1 の関係を使って残りの一辺を求める

試験でよく使うのは2番のsinθ = √(1 − cos²θ)です。たとえば力率cosθ=0.8の負荷なら、無効率は sinθ = √(1 − 0.8²) = √(1 − 0.64) = √0.36 = 0.6となります。

現場感覚で言えば、無効率が大きいほど実電力に対して余分な電流が流れている状態です。だからこそ進相コンデンサで力率を1に近づけて、無効率を小さくすることが省エネ・損失低減につながります。

現場感覚で力率を理解する

工場の動力設備(モーターなど)は力率が低くなりやすいです。力率が低いと、実際に使う電力より大きな電流が流れ、電線や変圧器に余分な負担がかかります。現場で「進相コンデンサ」を設置して力率を改善するのは、この無駄を減らすためです。

学科試験で問われるパターン(過去問例)

電力・電力量・力率の出題は、計算手順そのものはシンプルですが、単位の置き換え(W↔kW、Wh↔kWh)と公式の使い分けで取りこぼしやすい論点です。過去問でよく出る形式を2問見ておきます。

第1問:有効電力の計算

単相100Vの電源に、電流10A・力率0.8の負荷が接続されている。このときの有効電力〔W〕は次のうちどれか。

  • ア.500
  • イ.800
  • ウ.1000
  • エ.1250

解答:イ(800W)

有効電力 P = V × I × cosθ = 100 × 10 × 0.8 = 800〔W〕。皮相電力(V × I = 1000VA)に力率0.8をかけた値が有効電力になります。

第2問:電力量の計算

100Wの電球を5時間点灯したときの電力量〔kWh〕は次のうちどれか。

  • ア.0.05
  • イ.0.5
  • ウ.5
  • エ.50

解答:イ(0.5kWh)

電力量 W = P × t = 100〔W〕× 5〔h〕= 500〔Wh〕= 0.5〔kWh〕。WhとkWhの単位換算(1kWh = 1000Wh)を間違えないことがポイントです。

第3問:無効率と無効電力の計算

単相100Vの電源に、電流10A・力率0.8の負荷が接続されている。このときの無効電力〔var〕は次のうちどれか。

  • ア.200
  • イ.400
  • ウ.500
  • エ.600

解答:エ(600var)

まず無効率を求めます。sinθ = √(1 − cos²θ) = √(1 − 0.8²) = √0.36 = 0.6。次に無効電力 Q = V × I × sinθ = 100 × 10 × 0.6 = 600〔var〕。力率0.8 → 無効率0.6 はよく出る組み合わせなので、セットで覚えておくと計算が早くなります。

公式・関係式まとめ(暗記表)

本番で迷わないように、電力まわりの公式は1枚の表で頭に入れておきます。

種類公式単位備考
電力(直流・抵抗負荷)P = VI = I²R = V²/RW抵抗負荷では3形式すべて使える
電力量W = P × tWh1kWh = 1000Wh
有効電力P = VI cosθW実際に仕事をする電力
皮相電力S = VIVA見かけの電力
無効電力Q = VI sinθvar仕事をしない電力
力率cosθ = P / S1に近いほど効率が良い
無効率sinθ = Q / S = √(1 − cos²θ)力率の補完値(cos²θ + sin²θ = 1)

単相と三相で式が変わる点は要注意です。

  • 単相交流の有効電力:P = VI cosθ
  • 三相交流の有効電力:P = √3 × VI cosθ(線間電圧と線電流で計算)

三相側の詳しい扱いは【第二種電気工事士】三相交流の計算|線間電圧・相電圧・√3まとめで整理しています。

まとめ

  • 電力は P = VI、電力量は P × 時間
  • 力率は有効電力 ÷ 皮相電力で、1に近いほど効率がよい
  • 有効電力 = 皮相電力 × 力率(cosθ)
  • 単位(W / VA / var、Wh / kWh)の取り違えが失点の原因になりやすい

学科全体の位置づけと他分野とのつなぎは第二種電気工事士 学科試験とは?出題範囲・合格基準・試験時間まとめで確認できます。計算分野の関連記事は以下も合わせて読み込むと、出題パターンが立体的につながります。

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