第二種技能 候補問題No.1の複線図と施工手順【令和8年度版】

候補問題No.1の全体像

候補問題は毎年1月に公表される。本記事は令和8年度の公表内容に基づく。回路の構成が変更になった場合は最新の公式情報を確認してほしい。

No.1は、電源から接続箱を経由してスイッチ3個と照明器具3個を結ぶ回路だ。3路スイッチなし・コンセントなしのシンプルな構成で、技能試験の中では比較的取り組みやすい問題に位置する。ただし「位置表示灯内蔵スイッチ」と「EM-EEFケーブル(エコケーブル)」という少し慣れが必要な部材が含まれるため、初見で焦らないように事前に把握しておくことが重要だ。

第二種電気工事士の技能試験の全体像をまだ確認していない場合は、先にそちらで候補問題の構造・試験時間・欠陥判定の仕組みを整理しておくと理解が早い。

器具・スイッチの構成

回路に登場する器具とスイッチの対応関係を整理する。

記号 スイッチ種別 対応する器具
単極スイッチ(埋込形) ランプレセプタクル
単極スイッチ(埋込形) 引掛シーリング(角形)
位置表示灯内蔵スイッチ 蛍光灯(施工省略)

スイッチ3個(イ・ロ・ハ)は埋込連用取付枠に3連で取り付ける。それぞれが独立した回路を持ち、3路スイッチは含まれない。

使用する電線・器具の一覧

材料 数量・サイズ
VVF 1.6mm×2芯 900mm×2本
VVF 1.6mm×3芯 350mm×1本
EM-EEF 2.0mm×2芯 250mm×1本
ランプレセプタクル 1個
引掛シーリング(角形) 1個
埋込連用取付枠 1枚
単極スイッチ(埋込形) 2個
位置表示灯内蔵スイッチ 1個
リングスリーブ(小) 5個
差込形コネクタ 複数

EM-EEFはエコケーブルとも呼ばれ、外装が緑がかった白色をしている。外見がVVFと違うため初見では戸惑うこともあるが、剥き方・極性の判断方法はVVFと同じだ。

複線図の書き方:手順を追って整理する

複線図を書く前に、基本ルールを確認しておく。「複線図の書き方:第二種技能試験の基本パターンを整理」で詳しく解説しているが、要点は次の2点だ。

  • 白線(接地側)はスイッチを経由せず負荷の接地側端子に直結する
  • 黒線(非接地側)はスイッチの電源側に入れる

この2点を押さえた上で、No.1の複線図を展開する手順は以下の通りだ。

  1. 電源の接地側(白)を全負荷の接地側端子につなぐ: 電源の白線を、ランプレセプタクル・引掛シーリング・蛍光灯(ハ)のそれぞれの接地側端子に引く。スイッチは経由しない。接続箇所(ジョイント部分)を丸でマークしておくと後から確認しやすい。
  2. 電源の非接地側(黒)をスイッチ3個の電源側につなぐ: 黒線をスイッチ(イ)の電源側端子に接続し、そこから渡り線でスイッチ(ロ)・スイッチ(ハ)の電源側端子へ共通化する。渡り線の色は黒を使う(後述)。
  3. 各スイッチの出力側から対応する負荷への配線を引く: スイッチ(イ)の出力からランプレセプタクルの非接地側へ、スイッチ(ロ)の出力から引掛シーリングの非接地側へ、スイッチ(ハ)の出力から蛍光灯の非接地側へ線を引く。これらは「スイッチ帰り線」と呼ばれる。色は残りの色(VVFの3芯なら赤も使用)を使う。
  4. 接続箇所にリングスリーブまたは差込コネクタを記入する: ジョイント部分のマークに線の本数を記入し、リングスリーブのサイズ選択の根拠を確認する。

複線図は試験開始直後に書くことが多い。2〜3分で仕上げられる状態にしておくと、配線作業に十分な時間が確保できる。

施工上の注意ポイント

位置表示灯内蔵スイッチ(ハ)の端子の向き

通常の単極スイッチは「電源側(黒)→スイッチ→負荷側」という流れで端子に差し込む。位置表示灯内蔵スイッチは、L端子に電源側(黒線)を差し込む点は同じだが、端子の配置が通常のスイッチと向きが逆になっているモデルがある。「L端子が電源側(黒)」という原則だけを確実に覚えておき、実物の端子を見てから差し込む向きを判断する習慣をつけておくと試験本番で迷わない。位置表示灯内蔵スイッチにN端子(接地側)の接続は不要だ。

EM-EEF(エコケーブル)の扱い方

外装の色が緑がかっているため、VVFと区別がつきやすい。剥き方の手順はVVFと同じで、ナイフやストリッパーで外装→絶縁体の順に剥く。外装がVVFよりやや硬めに感じることがあるが、力の入れ方を調整すれば問題ない。白線・黒線の極性の判断方法もVVFと同じルールで行う。

リングスリーブの選択

No.1の接続箇所でよく出るパターンは次の2種類だ。

  • 1.6mm×2本の接続: リングスリーブ「小」、圧着マーク「○(小)」
  • 1.6mm×3本の接続: リングスリーブ「小」、圧着マーク「小」

リングスリーブのサイズと圧着マークの選択基準については電線の被覆剥きとリングスリーブの組み合わせ一覧に詳しくまとめているので参照してほしい。また、圧着工具の選び方と使い方も合わせて確認しておくと、本番で迷わなくなる。

渡り線の色に注意する

スイッチ間の渡り線は非接地側(黒)を使うのが原則だ。白線を渡り線に使うと「白線を非接地側に使用」と判断され、欠陥になる。試験では色の指定に忠実に従う必要がある。欠陥の判定基準の詳細は技能試験の合否判定基準:欠陥の種類と見落としやすいポイントを確認してほしい。

施工手順:作業の流れを時間感覚で整理する

実際の施工は複線図を書いた後、以下の流れで進める。試験の制限時間は40分だ。

  1. 複線図を書く(2〜3分): 試験開始直後に複線図を完成させる。接続箱から各器具への経路と、ジョイント部分の線の本数を確認する。
  2. 材料確認・電線の切断(3〜5分): 支給された電線の長さを確認し、複線図で必要な長さに整える。EM-EEFとVVFを区別してから作業を始める。
  3. 電線の被覆剥き・加工(10〜12分): 各器具への接続に必要な剥き量に合わせて加工する。ランプレセプタクルはねじ端子への巻き付けが必要なため、剥き量を20mm程度確保しておく。引掛シーリングの差し込みは12mm程度が目安だ。
  4. 器具取付(4〜5分): スイッチ3個を埋込連用取付枠に取り付ける。この段階で位置表示灯内蔵スイッチの端子向きを確認する。
  5. 電線の接続(8〜10分): ランプレセプタクルの端子ねじ、引掛シーリングの差し込み穴、スイッチの端子にそれぞれ接続する。リングスリーブの圧着はジョイント箇所ごとにマークを確認しながら行う。
  6. 最終確認(3〜5分): 電線が抜けないかを軽く引いて確認する。ランプレセプタクルのねじの締め付けと絶縁被覆の傷つきを目視する。複線図と実際の配線が一致しているかを見直す。

合計35〜40分が目標だ。練習の段階では時間を計って繰り返すことで、どの工程に時間がかかっているかを把握できる。

よくある失敗パターンと対策

位置表示灯内蔵スイッチへの黒線・白線の誤接続

L端子に白線を差し込んでしまうパターンだ。「L端子=非接地側(黒)」を体に叩き込んでおくしかない。施工前にスイッチの端子を確認する習慣をつけておくと防げる。

渡り線に白線を使う

スイッチ3個を渡り線でつなぐとき、手元にある白線を使ってしまうミスがある。スイッチ電源側の渡り線は必ず黒線を使う。VVF 1.6mm×2芯の黒を渡り線用に確保しておくと作業がスムーズだ。

ランプレセプタクルの極性逆転

ランプレセプタクルには「W」(接地側)の刻印がある端子と、それとは逆の端子がある。「W端子に白線(接地側)」が正しい接続だ。現場経験がある人でも試験のルールを確認せずに感覚で差し込むと間違えることがある。

リングスリーブの圧着マーク誤り

1.6mm×2本と1.6mm×3本で圧着マークが「○」と「小」で異なる。圧着マークの誤りは重大欠陥になるため、複線図でジョイント部分の線の本数を事前に確認する手順を省略しないことが重要だ。

材料の準備段階から練習環境を整えておくと、これらのミスを本番前につぶすことができる。練習用材料の選び方については技能試験の材料集めで迷ったらコレ!一発合格を引き寄せるおすすめ対策セットを参照してほしい。

まとめ

候補問題No.1はスイッチ3個・照明3個のシンプルな回路で、技能試験の入門として練習しやすい問題だ。ただし位置表示灯内蔵スイッチとEM-EEFケーブルという慣れが必要な部材が含まれるため、この2点を事前に把握しておくことが合格への近道になる。

  • 複線図は2〜3分で仕上げる習慣をつける。ジョイント部の線の本数を必ず確認する
  • 渡り線は黒線を使う。白線を使うと欠陥になる
  • 位置表示灯内蔵スイッチはL端子に黒線(非接地側)。端子の向きを実物で確認してから差し込む
  • リングスリーブの圧着マークは線の本数で「○」と「小」を使い分ける
  • 時間配分の目標は合計35〜40分。練習では毎回時間を計って工程ごとの感覚を掴む

候補問題13問のうちNo.1は基本回路の練習として最適な問題だ。ここで複線図と施工の流れを体に覚え込ませると、他の候補問題への応用もスムーズに進む。