【第二種電気工事士】電圧降下の計算問題|単相2線式・三相3線式の公式と覚え方

はじめに

現場で「遠くまで引っ張ったら電圧が足りなかった」「細い電線を使ったら機器が誤動作した」という経験があれば、電圧降下の感覚はすでに持っています。学科試験では、その感覚を計算式に結びつけることが求められます。

この記事では、学科で出る電圧降下の計算問題を、現場の「電線の太さ・長さ」の感覚から整理します。単相2線式(e=2rI)と三相3線式(e=√3rI)の公式、配線方式ごとの係数早見表、許容電圧降下の目安、過去問形式の例題までまとめて押さえます。

学科試験の全体像はこちら(出題範囲・合格基準・試験時間まとめ)

電圧降下とは何か

電線には抵抗があります。電流が流れると、その抵抗によって電圧が消費されます。これが電圧降下です。

現場的に言うと:

  • 電線が長いほど抵抗が増え、電圧降下が大きくなる
  • 電線が細いほど抵抗が増え、電圧降下が大きくなる
  • 電流が大きいほど電圧降下が大きくなる

試験ではこの関係を計算式で問われます。なお、電線の抵抗を直接計算する場面ではオームの法則が前提知識になります。

オームの法則と直列並列の計算|学科対策まとめ

電圧降下を示す単線回路図:電源〜電線抵抗r〜負荷の基本構成
電圧降下が発生する回路の基本構成

学科で使う計算式

単相2線式の電圧降下の基本式は以下です。

e = 2 × r × I(e:電圧降下[V]、r:電線1本あたりの抵抗[Ω]、I:電流[A])

「2」が付くのは、電流が往路と復路の2本の電線を流れるためです。現場で「行き帰り2本で引く」感覚そのままです。

三相3線式では係数が変わります(e = √3 × r × I)。配線方式ごとの係数は試験で頻出なので、単相と三相で式が変わることを意識しておきます。

電力・力率と組み合わせて出題されることも多いので、こちらも合わせて確認しておくと安心です。

電力・電力量・力率:学科の計算を整理する

配線方式の違いについてはこちら。

低圧配線方式まとめ|単相2線式〜三相4線式

単相・三相の電圧降下計算式:e=2Ir(単相)、e=√3×Ir(三相)と代入例
単相・三相それぞれの電圧降下計算式

配線方式ごとの係数(暗記表)

電圧降下の公式は、配線方式によって「電線抵抗 r×電流 I」に掛かる係数が変わります。試験では「単相2線式と三相3線式で係数が違う」点が頻出です。次の早見表をまるごと覚えてしまうのが近道です。

配線方式と電圧降下係数

配線方式 電圧降下の式 係数 覚え方
単相2線式 e = 2rI 2 行き帰りの2本で電流が流れる
単相3線式(中性線基準) e = rI 1 中性線と外側線の片道だけで考える
三相3線式 e = √3 × rI √3 三相は√3が掛かる(線間電圧の関係)
三相4線式(相電圧基準) e = rI 1 中性点〜各相の片道で考える

「単相2線=2、三相3線=√3」——この2つだけは反射的に出るようにしておきます。√3 ≒ 1.73 も計算で使うので合わせて頭に入れておくと迷いません。

許容される電圧降下の目安

どこまで電圧が落ちていいかにも基準があります。試験では「幹線と分岐回路でそれぞれ何%以内か」という形で問われることがあります。内線規程に基づく代表的な数値を表でまとめます。

許容電圧降下の目安(早見表)

区間 許容電圧降下(標準) 備考
幹線(引込口〜分岐点) 3%以内 幹線の長さが60m以下の代表値
分岐回路(分岐点〜最終負荷) 2%以内 分岐用配線
合計(引込口〜最終負荷) 5%以内 幹線3%+分岐2%の合算

「幹線3%・分岐2%・合計で5%」を軸に覚えておくと、選択肢で迷ったときに当たりがつけられます。

電圧降下は何%まで許される?(実務寄りの詳細解説)

過去問でどう出るか

学科試験では、公式の暗記だけでなく「数値を代入して答えを出す」計算問題として出題されます。よくあるパターンを2問見ておきましょう。

例題1(単相2線式・e=2rI)

下の図のような単相2線式回路で、電線1本あたりの抵抗が 0.1Ω、負荷電流が 10A のとき、この回路の電圧降下 e [V] はいくらか。

  1. 1 V
  2. 2 V
  3. 4 V
  4. 10 V

解答:2(2 V)

解説:単相2線式の電圧降下の式は e = 2 × r × I
e = 2 × 0.1 × 10 = 2 V
「2」を掛け忘れると 1V を選んでしまうので、係数を意識して代入することが大切です。

例題2(三相3線式・e=√3rI)

三相3線式の配線で、電線1本あたりの抵抗が 0.2Ω、線電流が 10A のとき、線間の電圧降下 e [V] はおよそいくらか。ただし √3 ≒ 1.73 とする。

  1. 2 V
  2. 3.5 V
  3. 5.2 V
  4. 10 V

解答:2(3.5 V)

解説:三相3線式の電圧降下の式は e = √3 × r × I
e = 1.73 × 0.2 × 10 = 3.46 ≒ 3.5 V
配線方式を「単相2線式」と勘違いして 2rI で計算すると 4V 前後になり、近い数値の 5.2V を選んでしまう失点パターンに注意。配線方式を最初に確認してから係数を選ぶのがコツです。

電圧降下シリーズまとめ

当サイトでは電圧降下を4本の記事・ツールでシリーズ化しています。学科対策と実務の両方で活用してください。

まとめ

  • 電圧降下は電線の長さ・細さ・電流の大きさで決まる
  • 単相2線式は e = 2rI、三相3線式は e = √3rI——係数の違いを最優先で覚える
  • 許容電圧降下は幹線3%・分岐2%・合計5%がベースライン
  • 過去問では「配線方式を確認 → 公式を選択 → 代入」の順で処理すると外しにくい

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電圧降下の計算問題は学科で毎年出る頻出論点。過去問題集を解いてパターンに慣れるのが最短ルートです。

書籍情報 最終更新: 2026-05-28(楽天ブックスAPI)