CC-Linkが通信しない・エラーが出る時の切り分け|「全局」か「一部の局」かで原因は分かれる

この記事は「切り分けの順番」の話です。パラメータ名・LED名称・設定値は機種とバージョンで異なります
CC-Linkはマスタユニットの型式、リモート局の種類、使用するケーブルによって、設定項目の呼び方も画面の並びも変わります。この記事ではどの構成でも共通して効く「見る順番」だけを扱います。具体的な局番の範囲、伝送速度ごとの延長距離、終端抵抗の値といった数値は必ずお使いの機種のマニュアルで確認してください。現場で効くのは数値の暗記ではなく、原因の場所を絞る筋道のほうです。

装置を立ち上げたら、リモートI/Oのランプが揃わない。マスタ側にエラーが出て、遠くの盤の入出力だけが丸ごと死んでいる。CC-Linkのトラブルは「どこを見ればいいのか分からない」と感じやすい部類ですが、実際には入口の分岐を1つ決めるだけで、原因の場所は半分以下に絞れます

その分岐とは、「全局が落ちているのか、それとも特定の局だけが落ちているのか」です。ここを最初に確定させないまま設定を触り始めると、本当は1本のケーブルの問題だったのにパラメータを何度も書き換える、という遠回りになります。

なお、この記事はPLCとフィールドネットワークでつながる先の話です。パソコンからPLCにつながらない場合はGX Works3でPLCに接続できない時の確認箇所、タッチパネルとPLCの間ならGOTがPLCと通信しない時の確認箇所が該当します。層が違うので、混ぜて考えないでください。

最初の分岐|「全局」か「一部の局」かで、疑う場所は正反対になる

マスタ側のエラー表示や、各局のリンク状態を示すランプを見て、まずこの2つに分けます。ここだけは順番を飛ばさないでください。

  • 全局が落ちている:マスタ側か、幹線の根元か、全体に効く設定を疑います。つまり「共通するもの」が原因です。
  • 特定の局だけ落ちている:その局固有の設定か、その局に至るまでの配線・電源を疑います。つまり「その局だけに固有のもの」が原因です。
「末端側だけがまとめて落ちている」は3つ目の形
全局でも1局でもなく、ある局から先が全部落ちていることがあります。これは幹線がその地点で切れている典型で、原因はほぼ物理層です。落ちている局のうちいちばんマスタに近い局と、その手前の局の間を重点的に見てください。局番の順ではなくケーブルが実際につながっている順で並べて考えるのがコツです。図面上の局番の並びと、実際の配線の並びは一致しないことがあります。

この3つの形に当てはめるだけで、次に開くべき扉が決まります。以降は、その扉の順に見ていきます。

層①:マスタ側のパラメータ — 実際の構成と一致しているか(全局が落ちている時)

全局が落ちているなら、まずマスタ側の設定です。CC-Linkのマスタは「何局つながっているか」「それぞれが何番で、どの種類か」を事前に登録しておく方式です。この登録内容と実機の構成が食い違うと、配線が正しくても通信は成立しません。

確認するのはこの3点です。

  • 接続台数:登録した台数と、実際につながっている台数が一致しているか。装置の改造で局を1台減らしたのに、パラメータを戻していない——というのは非常によくある形です。
  • 各局の局番と占有する大きさ:局によって必要な設定の大きさが違います。ここがずれると、以降の局の割り付けが芋づる式にずれます。
  • 局の種類の指定:リモートI/O局なのか、インテリジェント機能を持つ局なのか。実機と種類が違えば、相手は応答できません。
最大の落とし穴:他の装置のプロジェクトを流用したまま
同型機を複数扱う現場で必ず疑うべきなのがこれです。プログラムは正しく動くのに通信だけが立たない場合、ネットワークのパラメータだけが別の装置向けのままということがあります。プログラムを流用した履歴、あるいはCPUを予備品と入れ替えた履歴があるなら、まずここを見てください。「動いている装置からコピーしたのだから合っているはず」という思い込みが、いちばん時間を溶かします。

そしてもう1つ、全局に効く設定として伝送速度があります。CC-Linkはマスタと全ての局で伝送速度が揃っていないと通信できません。局側にスイッチで速度を設定する機種では、1台だけ設定が違うだけで全体が不安定になることがあります。増設した局や、交換したばかりの局があるなら、そこを疑ってください。

層②:局側の設定 — 局番の重複と設定の反映漏れ(特定の局が落ちている時)

特定の局だけが落ちているなら、その局固有の設定です。

  • 局番の重複:いちばん多い原因です。同じ局番の局が2台あると、その2台とも正常に通信できません。「1局だけのはずが、なぜか2局おかしい」という時は、まずこれを疑ってください。増設した局に、既にある局と同じ番号を振ってしまうのが典型的な入り方です。
  • 局番の飛び・範囲外:マスタに登録した割り付けと、実機のスイッチが食い違っていないか。
  • 設定した値が反映されていない:ロータリスイッチやDIPスイッチで局番・速度を設定する機種では、設定を変えただけでは反映されず、電源を入れ直して初めて有効になるものが多くあります。「設定は直したのに直らない」という時は、これを疑ってください。
  • スイッチの中間位置:ロータリスイッチが目盛りのちょうど間で止まっていると、読み取りが不定になります。指で回した後に、カチッと嵌まっているか確認します。
局側の電源を忘れない
リモート局は通信線とは別に、自分を動かすための電源を持っています。その局だけ落ちているとき、通信を疑う前にその局に電源が来ているかを先に見てください。遠くの盤に置いた局は、そちらのブレーカが落ちていたり、電源ユニットが故障していたりします。通信線は生きているのに相手が動いていないだけ、というのは珍しくありません。

層③:物理層 — 終端抵抗・配線・コネクタ

設定に問題がなければ物理層です。CC-Linkは長い距離を渡る配線なので、ここの比重が大きいのが特徴です。

  • 終端抵抗:CC-Linkは幹線の両端に終端抵抗を入れるのが前提の方式です。片方しか入っていない、あるいは中間の局に入れてしまっている、という誤りは通信を不安定にします。抵抗値は使用するケーブルの種類によって指定が異なるので、必ずマニュアルの指定値を確認してください。「両端に入れる」という原則だけ覚えて、値は都度確認するのが正解です。
  • 信号線の順序違い:端子への結線の順序が1箇所でも入れ替わっていると通信できません。増設した局、あるいは端子台を渡り配線で分けた箇所を重点的に見ます。
  • 渡り配線の緩み:幹線を端子台で中継している場合、そのネジの緩みが「ときどき落ちる」原因になります。端子台の配線の基本と同じで、増し締めの対象です。
  • 専用ケーブル以外を使っている:見た目が似ていても、指定されたケーブル以外では規定の距離・速度が出ません。改造や仮配線のときに一般のケーブルで済ませた箇所がないか確認します。
  • 可動部での断線:扉や可動ユニットを渡る箇所は疲労します。「装置を動かすと落ちる」なら、ほぼここです
シールドの接地は「片側だけ」が原則
シールド付きケーブルの接地を両端で落とすと、大地を経由した回り込みの経路ができてしまい、かえってノイズを拾うことがあります。どちら側で落とすかは機種のマニュアルに指定があるので、それに従ってください。「とりあえず両端で落とす」は、良かれと思ってやると裏目に出る典型です。

ときどき落ちる・エラーが出たり消えたりする場合

常時落ちているのではなく、断続的に落ちる場合は、切り分けの筋が変わります。設定の誤りは「常に」効くので、断続的な症状の原因は設定ではないことがほとんどです。

疑う順に並べるとこうなります。

  • 接触不良:コネクタの半挿し、端子ネジの緩み、圧着不良。振動で切れたりつながったりします。
  • 可動部の断線:前述のとおり、装置の動作と症状が連動していないか観察します。
  • ノイズ:特定の機器が動いた瞬間に落ちるなら、ほぼこれです。インバータやサーボアンプの近くを通信線が並走していないか、動力線と同じダクトに入っていないかを見ます。対策の考え方は制御盤のノイズ対策にまとめています。
  • 終端抵抗の不備:片側にしか入っていない場合、常に落ちるのではなく「不安定になる」形で出ることがあります。断続的な症状で終端を見落としがちなのはこのためです。
「いつから」「何をした後か」を先に聞く
断続的な症状ほど、現物より先に履歴を当たったほうが速く終わります。直前に何かを増設した・交換した・盤を移設したのであれば、原因はほぼその作業の範囲にあります。ずっと動いていた装置が突然おかしくなることは、意外なほど少ないものです。この聞き取りの型はPLCが動かない時のトラブルシューティング手順と共通です。

やってはいけないこと

  • いきなりパラメータを書き換える:元の設定を控えないまま触ると、戻せなくなります。しかも原因が物理層だった場合、書き換えは何の意味もありません。設定を変えるのは、全局が落ちていると確認できた後だけです。
  • 複数箇所を同時に直す:局番も直し、ケーブルも挿し直し、終端も入れた——これで直っても、何が原因だったのか分かりません。次に同じ症状が出たとき、また同じ時間を使うことになります。1つ変えたら1つ確認するを守ってください。
  • エラーが消えたことだけで終わりにする:接触不良は、触っただけで一時的に直ります。「挿し直したら直った」で終えると、数日後に同じ場所で再発します。なぜ抜けたのかまで確認してください。
  • 通電中に端子を触る:通信線であっても、盤の中は他に活きた回路があります。配線を触る作業は電源を切ってから行ってください。

まとめ|見る順番

CC-Linkの切り分けは、次の順番で降りていくと迷いません。

  • ① 落ちているのは全局か、一部の局か、ある地点から先かを確定する。ここが全ての起点です。
  • ② 全局ならマスタのパラメータ(接続台数・局番割付・局種別)と、全体に効く伝送速度を見る。
  • ③ 一部の局ならその局の局番重複・設定の反映漏れ・そしてその局自身の電源を見る。
  • ④ ある地点から先ならその手前の区間の配線・コネクタ・終端を見る。
  • ⑤ 断続的なら設定ではなく接触不良・可動部・ノイズを疑う。

設定から入るか、配線から入るかを最初の分岐で決めてしまえば、CC-Linkのトラブルは大半が短時間で終わります。逆に、この分岐を飛ばして手当たり次第に触ると、いちばん時間のかかる形になります。

ネットワークの先ではなくPLC本体側が疑わしいときは、PLCが動かない時のトラブルシューティング手順から入ってください。入出力そのものが出ない・入らない場合は、そちらの系統の記事に分かれます。