三菱PLCのラッチ(停電保持)設定|ラッチ(1)(2)の違い・ラッチクリア・バッテリとバッテリレス【iQ-R】
PLC(シーケンサ)の電源を入れ直したら、内部リレーの状態やデータレジスタの値が消えていた。逆に、消えてほしい値が残っていた。どちらも、ラッチ(停電しても値を保持するようにする設定)の範囲で決まっています。
PLCをSTOP→RUNしたら出力はどうなる?停電・瞬停のときの動きと出力モード設定【三菱 iQ-R】では、長い停電のあとに自己保持が切れるかどうかは「ラッチ範囲に入っているか」で決まる、というところまで書きました。この記事はその続きで、三菱の MELSEC iQ-R でラッチをどう設定し、どう消し、何で保持しているのかを整理します。
この記事で分かること:
- 電源 OFF→ON・リセット・長い停電で、何が消えて何が残るか
- ラッチ(1) とラッチ(2) の違いと、ラッチできるデバイス・ラベル
- ラッチ範囲とラッチ間隔の設定のしかた
- ラッチクリアの方法と、方法ごとに消える範囲の違い
- R00〜R02 と R04 以上で、ラッチの中身を何で保持しているか(バッテリ・バッテリレスオプションカセット)
- 電源を入れ直すと自己保持回路が切れる理由
※この記事の仕様は、三菱電機の「MELSEC iQ-R CPUユニット ユーザーズマニュアル(SH-082487J)」と「MELSEC iQ-R ユニット構成マニュアル」に書かれている範囲だけで書いています。本文の「p.xx」はそれぞれのマニュアルの印刷ページです。対象は iQ-R の CPU ユニットで、他のシリーズや他社の PLC は扱いません。数値は 2026年11月時点で確認した版によるもので、改版で変わることがあるため、お使いの取説名と版もあわせて確認してください。
ラッチとは|電源OFF→ON・リセット・長い停電で消えるもの、残るもの
CPU ユニットの中のデバイス(PLC の中でデータを入れておく箱)とラベル(名前を付けて使う変数)の中身は、次の3つの場面でクリアされてデフォルト値に戻ります(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.469)。
- 電源を OFF→ON したとき
- リセットしたとき
- 許容瞬停時間を超える停電があったとき
許容瞬停時間は、短い停電(瞬停)のあとでも続きから運転できる時間で、電源ユニットで決まります(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.63)。iQ-R の電源ユニットでは、AC 入力電源で 20ms 以内、DC 入力電源で 10ms 以内(DC24V 入力時。DC24V 未満では短くなる)です(ユニット構成マニュアル p.130)。これを超える停電は、電源投入やリセットと同じイニシャルスタート(最初からの始まり方)になります(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.123)。
この3つの場面でも中身を残したいデバイス・ラベルを指定するのがラッチ設定です。ラッチ設定したデバイス・ラベルの中身は、上の場面でも停電保持されます(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.469)。何で保持しているかは CPU の機種で違うので、後の章で整理します。
| 場面 | ラッチ範囲の外 | ラッチ範囲の中 |
|---|---|---|
| 電源 OFF→ON | デフォルト値に戻る | 保持 |
| リセット | デフォルト値に戻る | 保持 |
| 許容瞬停時間を超える停電 | デフォルト値に戻る(イニシャルスタート) | 保持 |
| 許容瞬停時間以下の瞬停(参考) | 演算を中断して出力を保持し、電源が戻ると続きから演算する | |
| STOP→RUN(参考) | Y 以外のデバイスは直前の状態を保持(初期値の設定があればセット、ローカルデバイスはクリア)。出力(Y)は STOP→RUN時の出力モード設定で決まる | |
(出典:MELSEC iQ-R CPUユニット ユーザーズマニュアル p.121・p.123・p.469)
瞬停と STOP→RUN の動きは、PLCをSTOP→RUNしたら出力はどうなる?停電・瞬停のときの動きと出力モード設定【三菱 iQ-R】でくわしく扱っています。この記事で扱うのは、上の3行(電源 OFF→ON・リセット・許容瞬停時間を超える停電)で中身を残すための設定です。
内部リレー(M)とラッチリレー(L)の違い
取説のデバイスの説明では、内部リレー(M)は電源 OFF→ON・リセット・ラッチクリアですべて OFF になり、ラッチリレー(L)は電源 OFF→ON・リセットでも ON/OFF をラッチする、とされています(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.412)。名前のとおり、L は「ラッチするためのリレー」です。M も、次の章のラッチ範囲に入れれば保持させることができます。デバイスの種類と使い分けは三菱PLCのデバイス種類まとめ|X・Y・M・L・D・T・Cの使い分けで一覧にしています。
ラッチ(1)とラッチ(2)の違い|ラッチクリアで消えるか消えないか
ラッチには2つの種類があります。違いは「ラッチクリア」という操作で消せるかどうかです(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.469)。
- ラッチ(1):ラッチクリアでクリアできる範囲
- ラッチ(2):ラッチクリアでクリアできない範囲
どちらも、電源 OFF→ON・リセット・長い停電では中身を保持します。そのうえで、ラッチクリアをしたときに消えるか残るかで (1) と (2) が分かれる、という関係です。ただし、ラッチ(2) にも消す方法はあります(ラッチクリアの章で整理します)。
ラッチできるデバイスとラベル
ラッチできるデバイスと、選べるラッチの種類は次のとおりです。
| デバイス・ラベル | 設定のしかた | 選べる種類 |
|---|---|---|
| M・B・F・V・T/LT/ST/LST・C/LC・D・W | ラッチ範囲を設定 | ラッチ(1) またはラッチ(2) |
| L(ラッチリレー) | 点数を設定(設定した点数がすべてラッチ) | ラッチ(2) のみ |
| R/ZR(ファイルレジスタ) | 点数を設定(全点ラッチ)、またはラッチ範囲を設定 | ラッチ(2) のみ |
| ローカルデバイス | ラッチ設定できない | - |
| ラベル | グローバルラベルの VAR_GLOBAL_RETAIN、プログラムブロック/FB のローカルラベルの VAR_RETAIN、FB の VAR_OUTPUT_RETAIN・VAR_PUBLIC_RETAIN | ラッチ型ラベルのラッチ種類設定で指定 |
(出典:MELSEC iQ-R CPUユニット ユーザーズマニュアル p.470・p.475)
表の記号は、M=内部リレー、B=リンクリレー、F=アナンシェータ、T=タイマ、LT=ロングタイマ、ST=積算タイマ、LST=ロング積算タイマ、C=カウンタ、LC=ロングカウンタ、D=データレジスタ、W=リンクレジスタです。ローカルデバイス(そのプログラムの中だけで使うデバイス)はラッチ設定できません(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.470)。
L は点数を決めるだけで、その点数がすべてラッチ(2) になります(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.470)。L のデフォルト点数は 8K点です(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.408)。
R/ZR は、「全プログラムで共通のファイルレジスタを使用する」設定にしたときは全点がラッチ(2) に登録され、ラッチ(2) の範囲を指定すると、指定外は 0 クリアされます(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.470)。
ラッチ範囲の設定手順|GX Works3のパラメータとラベルのRETAIN
デバイスのラッチ範囲は、GX Works3 の CPU パラメータで設定します(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.471)。
- [CPUパラメータ]⇒[メモリ/デバイス設定]⇒[デバイス/ラベルメモリエリア詳細設定]⇒[デバイス設定]⇒[詳細設定] を開く
- "デバイス設定"画面で、ラッチしたいデバイスのラッチの種類を選ぶ
- "ラッチ範囲設定"画面が開くので、ラッチ(1)/ラッチ(2) のタブでデバイスを選び、先頭と最終の番号を設定する
取説の画面例では、各デバイスとも最初は「設定なし」になっています(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.471)。自分の装置でどの範囲がラッチになっているかは、この画面で確かめられます。
範囲は32個まで、ラッチ(1)と(2)は重ねない
- 1つのデバイスの種類に、複数のラッチ範囲を設定できる
- ラッチ(1) とラッチ(2) を合わせて 32範囲まで
- ラッチ(1) の範囲とラッチ(2) の範囲は重複させない
(出典:MELSEC iQ-R CPUユニット ユーザーズマニュアル p.471)
ラベルはRETAINを付けてラッチする
ラベルをラッチするときは、ラベル編集画面で属性に "RETAIN" を指定します。ラッチ型ラベル(RETAIN を付けたラベル)がラッチ(1) とラッチ(2) のどちらになるかは、[CPUパラメータ]⇒[メモリ/デバイス設定]⇒[デバイス/ラベルメモリエリア詳細設定]⇒[ラッチ型ラベルのラッチ種類設定] でまとめて指定します(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.475)。
範囲を増やした直後の注意
パラメータでラッチ範囲やデバイス点数を変えたあと、電源 OFF→ON またはリセットをしたときに、前回と設定が違っていて範囲を増やしていた場合、増やした分はラッチされません(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.475)。
ラッチ間隔設定|「時間設定」と「スキャン毎」の違い
ラッチ範囲のラッチ処理を、どのタイミングで行うかを決めるのがラッチ間隔設定です。場所は [CPUパラメータ]⇒[メモリ/デバイス設定]⇒[デバイスのラッチ間隔設定] です(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.472)。
| 設定 | ラッチ処理をするタイミング | 注意 |
|---|---|---|
| 時間設定(デフォルト) 1〜2000ms(1ms 単位)、デフォルト 10ms |
設定した時間が経ったあとの END 処理でラッチ処理する。電源 OFF の時点では、直前にラッチ処理した値が残る | ラッチ間隔はラッチ処理時間より大きく設定する |
| スキャン毎 | 毎スキャンの END 処理でラッチするので、1スキャン前の値を保持できる | スキャンタイムが延びる可能性がある |
(出典:MELSEC iQ-R CPUユニット ユーザーズマニュアル p.472・p.474)
END 処理は、プログラムを END 命令まで実行したあとに CPU がする後片付けの処理です。1スキャンの中のどこで行われるかはPLC(シーケンサ)の処理の順番|スキャンの流れとEND処理・サービス処理をやさしく解説【MELSEC iQ-R】で解説しています。
デフォルトの「時間設定」では、電源が切れたときに残っているのは「直前にラッチ処理した値」です。最後のラッチ処理から電源 OFF までの間に変わった値の扱いを気にする設備では、「スキャン毎」との違いを確かめたうえで選びます。「スキャン毎」は毎スキャンの END 処理でラッチするぶん、スキャンタイムへの影響も見ておきます。
ラッチ点数が多いとラッチ処理時間が長くなる
ラッチする点数が多いほど、ラッチ処理にかかる時間は長くなります。「時間設定」のラッチ間隔は、ラッチ処理時間より大きく設定します(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.474)。
リアルタイムにラッチされるデバイス
ラッチ間隔設定の有効範囲の外にあるデバイスは、END 処理が速く、リアルタイムにラッチされます(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.472)。デバイス設定でデバイスの範囲を大きく取った場合に、どこからがリアルタイムのラッチになるかは、取説に R04CPU での例があります(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.472〜473)。デバイス点数を大きく変える場合は、この例と自分の設定を見比べてください。
ラッチクリアの方法|GX Works3・プログラム・CPUメモリ操作で消える範囲の違い
ラッチ範囲のデータを消す方法として、取説には次の2つが挙がっています(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.475)。
- ラッチクリア:エンジニアリングツール(GX Works3)で行う
- プログラムでクリア:ラッチしているデバイスに RST 命令を実行する、または MOV/FMOV 命令で K0 を転送する
GX Works3 の [オンライン]⇒[CPUメモリ操作](CPUユニット ユーザーズマニュアル p.477)の「値のクリア」には、消す範囲の違う操作が並んでいます(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.135)。プログラムでのクリアと合わせて、消える範囲を並べると次のとおりです。
| 方法 | 操作する場所 | 消える範囲 | 残る範囲 |
|---|---|---|---|
| デバイス,ラベルの ゼロクリア | GX Works3(CPUメモリ操作) | ラッチ範囲を除いて、X, Y, M, B, F, SB, V, S, T, ST, LT, LST, C, LC, D, W, SW, FX, FY, FD, Z, LZ, RD と全ラベル | ラッチ(1)・ラッチ(2) |
| ゼロクリア(ラッチ(1),ラッチ(2)を含む) | GX Works3(CPUメモリ操作) | デバイス・ラベルを、ラッチ範囲も含めてゼロクリア(ファイルレジスタは別の操作) | - |
| デバイス,ラベル,ファイルレジスタの ラッチクリア | GX Works3(CPUメモリ操作) | ラッチ(2) 以外 | ラッチ(2) |
| プログラムでクリア(RST/MOV・FMOV で K0) | ラダープログラム | 命令で指定したデバイス | 指定していないデバイス |
(出典:MELSEC iQ-R CPUユニット ユーザーズマニュアル p.135・p.475)
ファイルレジスタには別に「全ファイル」「ファイル指定」「ラッチ(2)を含まないゼロクリア」の選び方があります(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.135)。
「ラッチクリア」で消えないのはラッチ(2)。ただし「ゼロクリア(ラッチ(1),ラッチ(2)を含む)」ではデバイス・ラベルのラッチ(2) も消え、プログラムでクリアしたデバイスも消える。
RST 命令の使い方は【GX Works3】OUT/SET/RST命令の使い方|違いと使い分け・自己保持との比較で解説しています。
ラッチクリアのときの注意
- メモリ操作の途中で電源を OFF にすると、途中までクリアされた状態になるので、操作をやり直す(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.135)
- セキュリティの書込み禁止範囲に入っているデバイスには、ラッチクリアなどの値のクリアは実行できない(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.399)
この取説では、ラッチクリアの方法として、GX Works3 での操作とプログラム(RST/MOV・FMOV で K0)による方法が書かれています。なお、CPU バックアップ中に実行できない操作の一覧には、外部機器から CPU を操作する通信の決まりごと(SLMP)の操作として「リモートラッチクリア」という名前が出てきます(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.355)。この記事では扱いません。
ラッチの中身は何で保持しているか|R00〜R02とR04以上、バッテリとバッテリレスオプションカセット
ラッチ範囲の中身をどう停電保持しているかは、CPU の機種で分かれます。
| CPU | ラッチ範囲の停電保持 | バッテリレスオプションカセット |
|---|---|---|
| R00CPU・R01CPU・R02CPU | バッテリなしで停電保持 | 使用できない |
| R04CPU 以上 | CPU 本体のバッテリ(Q6BAT)で保持。バッテリがなくなると停電保持されない | 装着すればバッテリなしで保持できる |
(出典:MELSEC iQ-R CPUユニット ユーザーズマニュアル p.124・p.469・p.475・p.476)
R04CPU 以上では、本体のバッテリか、バッテリレスオプションカセットのどちらかで保持します。CPU ごとの違いはMELSEC iQ-R CPU の比較早見表|R00〜R120CPU・RnENCPU のプログラム容量・処理速度・デバイス点数・バッテリ・SDカードの違いにもまとめています。
バッテリを使うときの設定
- R04CPU 以上のバッテリ Q6BAT は、コネクタをはずした状態で出荷されます。使い始めるときに CPU の底部カバーを開けて、コネクタを接続します(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.40)
- R00〜R02CPU でバッテリ(FX3U-32BL)を付けて使う場合は、[CPUパラメータ]⇒[RAS設定]⇒[異常検出設定]⇒[バッテリ異常] がデフォルトで「検出しない」なので、「検出する」に変えます(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.40)
バッテリ交換の段取りはPLCのバッテリ交換の手順と注意点|プログラム消失を防ぐタイミングと段取りで扱っています。
SM51・SM52でバッテリの低下を確かめる
バッテリの電圧低下は、特殊リレー(CPU の状態を表す決まった番号のデバイス)で確かめられます(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.570)。
- SM51(バッテリ低下ラッチ):低下を検出すると ON になり、そのあとも ON のまま
- SM52(バッテリ低下):低下で ON になり、正常に戻ると OFF
一度でも低下があったかを見るなら SM51、いま低下しているかを見るなら SM52、という使い分けになります。ほかの特殊リレー・特殊レジスタは三菱PLCの特殊リレー(SM)・特殊レジスタ(SD)早見表|SM400・SM402・SM412・SD0・SD520 の意味と使いどころ【iQ-R】にまとめています。
仕様表の「停電保持(コンデンサ)」は別の欄
CPU の性能仕様表には「停電保持」という欄があり、保持の方法はコンデンサです(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.63)。
| CPU | 保持方法 | 保持時間(周囲温度 25℃) | 保持データ |
|---|---|---|---|
| R00CPU・R01CPU・R02CPU | コンデンサ | 10日 | 時計データ |
| R04CPU〜R120CPU | コンデンサ | 3分 | デバイス/ラベルメモリ、時計データ |
(出典:MELSEC iQ-R CPUユニット ユーザーズマニュアル p.63)
この欄は、ここまでのバッテリやバッテリレスオプションカセットによるラッチの保持とは別の欄です。読むときは次の2点に気をつけます。
- どちらの時間も周囲温度 25℃ のときの値です
- R00〜R02 の「10日」は時計データの保持時間で、ラッチしたデバイスの保持時間ではありません
バッテリレスオプションカセットを使う手順(要旨)
R04CPU 以上でバッテリを使わずに保持する場合の流れは、取説では次のようになっています(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.476〜477)。操作の細かい条件は取説の該当ページで確かめてください。
- 電源 OFF の状態でカセットを装着し、バッテリを取りはずす
- 電源を ON にして、SM624(装着フラグ)が ON になっているか確かめる
- [CPUパラメータ]⇒[メモリ/デバイス設定]⇒[デバイス/ラベルメモリエリア設定]⇒[カセット設定]⇒[バッテリレスオプションカセット設定] を「装着あり」にする
- [RAS設定]⇒[異常検出設定]⇒[バッテリ異常] を「検出しない」にする
- 時刻の設定(SNTP:ネットワーク経由で時刻を合わせるしくみ)をする。バッテリを付けていないと、時計データは停電保持できない
- パラメータを書き込み、電源 OFF→ON またはリセットする
- 未初期化のエラーが出たら、デバイス/ラベルメモリを初期化する
- SM625(実行中フラグ)が ON になっているか確かめる
- カセットを取りはずすと、デバイス/ラベルメモリのデータはすべて消去されます。取りはずす前にデータを読み出しておきます(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.477)
- カセットを装着すると、CPU の内部消費電流が最大 0.15A 増えます(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.63)
自己保持回路とラッチ|電源を入れ直すと自己保持が切れる理由
自己保持回路は、開始ボタンを離しても、自分の出力の接点で ON を保ち続ける回路です。書き方は自己保持回路のラダー図での書き方(GX Works3・PLCプログラム視点)で解説しています。
自己保持の「ON を保っている状態」は、M や Y といったデバイスの値として CPU の中に入っています。ここに最初の章の決まり(CPUユニット ユーザーズマニュアル p.469)を当てはめると、次のようになります。
- 自己保持に使っている M などがラッチ範囲の外なら(Y はラッチできるデバイスに入っていません・CPUユニット ユーザーズマニュアル p.470)、電源 OFF→ON・リセット・許容瞬停時間を超える停電のあとはデフォルト値に戻るので、自己保持は切れた状態から始まる
- ラッチ範囲に入れた M や、L で自己保持していれば、状態は残る(R04CPU 以上では、バッテリかバッテリレスオプションカセットで保持できている場合)
STOP→RUNで自己保持が再開するのとは別の話
PLCをSTOP→RUNしたら出力はどうなる?停電・瞬停のときの動きと出力モード設定【三菱 iQ-R】で扱った「STOP→RUN で自己保持が再開する」動きは、ラッチとは別の決まりです。2つを並べると次のとおりです。
| 場面 | 自己保持に使っている M(ラッチ範囲の外) | 動きを決めているもの |
|---|---|---|
| STOP→RUN | 直前の状態のまま | STOP→RUN の動き(Y 以外は保持)と、出力(Y)の STOP→RUN時の出力モード設定 |
| 電源 OFF→ON・リセット・許容瞬停時間を超える停電 | デフォルト値に戻る | ラッチ範囲 |
(出典:MELSEC iQ-R CPUユニット ユーザーズマニュアル p.121・p.469)
「STOP→RUN では再開したのに、電源を入れ直したら切れていた」というときは、この2つの決まりの違いで説明がつくことがあります。どちらの場面かを分けたうえで、自己保持に使っているデバイスがラッチ範囲に入っているかを確かめます。
ラッチにするかどうかは設備の安全で決める
ラッチにすれば電源を入れ直しても状態は残りますが、そのぶん復電したときに前の状態のまま動き出すデバイスが増えます。どのデバイスをラッチにするかに決まった正解はありません。停電やリセットから戻ったときに前の状態で再開してよいかを、設備ごとに確かめて決めます。
よくある質問(FAQ)
Q1. ラッチリレー(L)と内部リレー(M)は何が違いますか?
A. MELSEC iQ-Rの取説のデバイスの説明では、内部リレー(M)は電源OFF→ON・リセット・ラッチクリアですべてOFFになり、ラッチリレー(L)は電源OFF→ON・リセットでもON/OFFをラッチ(保持)する、とされています。そのうえでMは、ラッチ範囲を設定すればラッチ(1)かラッチ(2)として保持させることもできます。Lは設定した点数がすべてラッチ(2)になり、デフォルトの点数は8K点です。どのデバイスを停電のあとも残すかは、復電後に前の状態で動き出してよいかを設備ごとに確かめて決めます。
Q2. ラッチクリアをするとラッチ(2)も消えますか?
A. GX Works3の「ラッチクリア」で消えるのはラッチ(2)以外で、ラッチ(2)は残ります。ラッチ(1)は「ラッチクリアで消せる範囲」、ラッチ(2)は「ラッチクリアで消せない範囲」です。ただし、CPUメモリ操作の「ゼロクリア(ラッチ(1),ラッチ(2)を含む)」では、デバイス・ラベルがラッチ範囲も含めて0になります(ファイルレジスタは別の操作です)。プログラムでRST命令を実行したり、MOV・FMOV命令でK0を書き込んだりしたデバイスも0になります。
Q3. R04CPUでバッテリが切れたら、ラッチしたデータはどうなりますか?
A. R00〜R02CPU以外のCPUは、ラッチ範囲の内容を本体のバッテリ(Q6BAT)で停電保持しています。取説では、バッテリがなくなると停電保持されないとされています。バッテリの電圧低下は、特殊リレーのSM51(バッテリ低下ラッチ)とSM52(バッテリ低下)で確かめられます。バッテリなしで保持したい場合は、バッテリレスオプションカセットを装着します。
Q4. ラッチ範囲を増やしたら、増やした分のデバイスは保持されますか?
A. 取説では、パラメータでラッチ範囲やデバイス点数を変えたあと、電源OFF→ONまたはリセットをしたときに、前回と設定が違っていて範囲を増やしていた場合、増やした分はラッチされないとされています。
まとめ
ラッチは、電源 OFF→ON・リセット・許容瞬停時間を超える停電のあとも、デバイスとラベルの中身を残すための設定です。
- ラッチ範囲の外のデバイス・ラベルは、電源 OFF→ON・リセット・許容瞬停時間を超える停電でデフォルト値に戻る。ラッチ範囲の中は停電保持される
- ラッチ(1)=ラッチクリアで消せる範囲、ラッチ(2)=ラッチクリアで消せない範囲。L は設定した点数がすべてラッチ(2)(デフォルト 8K点)、ローカルデバイスはラッチできない
- ラッチ範囲は CPUパラメータ → メモリ/デバイス設定で設定。ラッチ(1)+(2) で32範囲まで、重複させない。ラベルは属性に RETAIN
- ラッチ間隔はデフォルトが「時間設定」10ms(1〜2000ms)。「スキャン毎」は1スキャン前の値を保持できるが、スキャンタイムが延びる可能性がある
- 範囲を増やして電源 OFF→ON・リセットしたとき、増やした分はラッチされない
- GX Works3 のラッチクリアはラッチ(2) 以外を消す。「ゼロクリア(ラッチ(1),ラッチ(2)を含む)」ではデバイス・ラベルのラッチ(2) も消え、プログラム(RST/MOV・FMOV で K0)でクリアしたデバイスも消える
- R00〜R02CPU はバッテリなしで保持(カセットは使えない)。R04CPU 以上はバッテリ Q6BAT で保持し、バッテリがなくなると保持されない。バッテリレスオプションカセットならバッテリなしで保持できる。低下は SM51・SM52 で見る
- 仕様表のコンデンサの停電保持(25℃ で R00〜R02 は時計データ 10日、R04 以上はデバイス/ラベルメモリと時計データ 3分)は、バッテリ・カセットのラッチ保持とは別の欄
- ラッチ範囲の外の M などで組んだ自己保持は、電源を入れ直すと切れた状態から始まる。STOP→RUN の再開とは別の決まりで、ラッチにするかは設備の安全で決める
(出典:MELSEC iQ-R CPUユニット ユーザーズマニュアル p.40・p.63・p.121・p.123・p.124・p.135・p.408・p.412・p.469〜477・p.570、MELSEC iQ-R ユニット構成マニュアル p.130)
使っている CPU の型名ごとの細かい条件や設定画面は、お手元のマニュアルで確認してください。
参考資料
- MELSEC iQ-R CPUユニット ユーザーズマニュアル(SH-082487J・三菱電機)
- MELSEC iQ-R ユニット構成マニュアル(三菱電機)
