リレー故障の調べ方|動かない・カチカチ・戻らない症状別の原因とテスターでの確認手順
接点の溶着が疑われる状態で、制御回路の側からは負荷を止められません。原因を調べるのは、負荷の電源を上位のブレーカで切ってからです。溶着したリレーを叩いて戻そうとしないでください。
- 接点・ソケットの端子には、コイルと別の電源が来ていることがあります(例:DC24Vのコイルで AC100V/200V の負荷を開閉している)。コイルの電源を切っても、接点側の端子は活線のことがあります。検電器で確かめてから触ってください。
- コイル抵抗・導通の測定は、電源を切ってからです。活線に抵抗レンジ・導通レンジを当てないでください。通電中に測るのは電圧だけで、電圧レンジで測ります。
- ソケットからリレーを抜き差しするのも、電源を切ってからです。
盤の中の小形リレー(MY・LY・G2R クラスの中間リレー)が「動かない」「カチカチ鳴る」「戻らない」。そんなとき、最初に目に入るのはリレーの表示灯です。ただ、ここに落とし穴があります。
表示灯はコイルへの通電を表示しているだけで、接点が閉じたことは表していません(出典: オムロン 形MY データシート CSM_MY_DS_J_7_2)。表示灯が点いていても、接点が溶着していたり、接触不良で導通していなかったりすることがあり、それは表示灯を見ても分かりません。
そこでこの記事では、調べる順番を次のように決めています。
- 表示灯:コイルに通電しているか
- コイル端子の電圧:コイルに正しい電圧が届いているか
- 接点(負荷側の電圧):接点が本当に閉じているか
- 電源を切ってコイル抵抗:コイルが断線していないか
中間リレーそのものの役割は中間リレーとは?PLC出力に直接負荷をつないではいけない理由で扱っています。リレーより大きい電磁接触器(MC)の切り分けは電磁接触器が入らない・唸る時の切り分け|コイル電圧を起点に4症状で追うを参照してください。
※この記事の数値は、オムロンの資料にある例です。形MY の値は形MY のものなので、使っているリレーの値は、そのリレーのデータシートで確認してください。
まず症状で分ける|6つの症状と疑う場所
リレーの不調は、症状ごとに疑う場所が違います。まず自分のリレーがどれに当たるかを決めてから、次の章以降の調べ方に進んでください。
| 症状 | まず疑う場所 | 見るもの |
|---|---|---|
| 動かない(表示灯も消えている) | コイルに電圧が来ていない=上流の回路 | コイル端子の電圧 |
| 表示灯は点くのに、負荷が動かない | 接点の接触不良・ソケット/配線・負荷側 | 負荷側の電圧 |
| 動かない(表示灯は点く・カチッとも言わない) | コイルの断線/電圧不足 | コイル端子の電圧 → 電源を切ってコイル抵抗 |
| カチカチ・ジー(うなり・動作不安定) | 電圧不足・直流のリップル・インバータ電源の波形歪み・回り込み | 症状が出ている瞬間のコイル端子の電圧 |
| 戻らない(指令OFFでも負荷が止まらない) | 接点の溶着、またはコイルに電圧が残っている(浮遊容量・回り込み) | 上位のブレーカで負荷を止めてから、指令OFFのコイル端子の電圧 |
| 焼けた・変色している | 過電圧・誤電圧・ソケットのねじ締め不足・結露 | リレーの定格電圧と実際の電圧、ソケットの端子 |
表の「見るもの」は、どれも次の4つの調べ方のどれかです。表示灯で大まかに分け、コイル端子の電圧でコイル側か接点側かを決め、接点側なら負荷側の電圧、コイル側で電圧が足りているのに動かないなら電源を切ってコイル抵抗、という流れになります。
調べ方①:表示灯は「コイル」しか見ていない
形MY のデータシートには、注記として「動作表示灯はコイルへの通電を表示しており接点動作に基づく表示ではありません」と書かれています(出典: オムロン 形MY データシート CSM_MY_DS_J_7_2)。形MY では、表示灯の色は AC品が赤、DC品が緑です(形MYの例。使っているリレーのデータシートで確認)(出典: オムロン 形MY データシート CSM_MY_DS_J_7_2)。
つまり、表示灯から分かるのは「コイルの側に通電しているかどうか」までです。表示灯付きのリレーであることが前提ですが、読み方は次のとおりです。
- 表示灯が消えている:コイルに電圧が来ていない可能性が高い状態です。リレー本体より先に、上流の回路(指令・スイッチ・配線)を疑います。次の章でコイル端子の電圧を測って確かめます。
- 表示灯が点いていて、カチッと音がする:コイルは動いていそうです。それでも負荷が動かないなら、疑う先は接点・ソケット・配線・負荷の側です(調べ方③)。
- 表示灯は点くのに、カチッとも言わない:表示灯が点いていることは、コイルが動いた証明になりません。コイルの断線や電圧不足を疑い、コイル端子の電圧(調べ方②)とコイル抵抗(調べ方④)に進みます。
音は手がかりになりますが、騒がしい現場では聞き取れないこともあります。「聞こえない=動いていない」とは決めつけず、電圧の測定で確かめてください。
表示灯が点いている=コイルに通電している、まで。接点が閉じたか、溶着していないかは、表示灯では分からない。

調べ方②:コイル端子の両端で電圧を測る
測る場所は、リレー(ソケット)のコイル端子の両端
測るのは、リレー(ソケット)のコイル端子の両端です。電源の出口(パワーサプライの端子など)で測っても、配線が長いとリレーのところでは電圧が違っていることがあります。オムロンの資料でも、配線が長い場合の注意として、リレーコイル端子の両端の電圧を測ったうえで、規定の電圧が掛かるように電源電圧を設定するよう求めています(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。
どれがコイル端子かは、リレー本体やソケットの端子表示で確認してください。測るときは、指令を出している状態(本来ならリレーが動くはずの状態)で測ります。
テスターは電圧レンジ(DCのコイルならDCV、ACのコイルならACV)で当ててください。AC100V/200V のコイルのリレーでは、コイル端子そのものが危険な電圧の活線です。抵抗レンジ・導通レンジのまま活線に当てないでください。盤の中でのテスターの当て方はテスターの使い方【制御盤編】|電圧測定と導通チェックを盤の中でどう当てるかで扱っています。
電圧が来ていない(0V):上流の回路をたどる
リレー本体は無実の可能性が高く、指令がコイルまで届いていません。指令を出している機器、途中のスイッチや接点、配線、ヒューズを上流に向かってたどります。PLCの出力でリレーを駆動している場合は、PLC側の切り分けに移ってください(PLCの出力が出ない時の切り分け手順|YがONしても負荷が動かない原因)。
電圧が低い:動作に必要な電圧を下回っていないか(形MYは定格の80%)
コイルに掛かる電圧が足りないと、リレーは動かないか、動作が不安定になり、接点の耐久性低下や溶着などの接点障害の原因になります(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。
形MY では、確実に動作させるためには定格の80%以上を印加するよう指定されています(コイル温度が+23℃の場合)。DC24V のコイルなら 19.2V です(形MYの例。使っているリレーのデータシートで確認)(出典: オムロン 形MY データシート CSM_MY_DS_J_7_2)。コイル端子で測った電圧がこれを下回っていれば、動作は確実とは言えません。
普段は正常で、モータの起動時だけ電圧が落ちる
電圧不足の例として、大型モータの起動時に電圧が低下することが挙げられています(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。普段測ると正常なのに、ほかの機器が動いた瞬間だけリレーが不安定になる、という症状はこれを疑います。症状が出ている瞬間に、コイル端子の電圧を測るのがポイントです。
指令OFFのときにも測る:残っている電圧
「戻らない」症状では、指令をOFFにした状態でもコイル端子の電圧を測ります。形MY の復帰電圧は、実力値がAC30%以上、DC10%以上に推移していて、確実に復帰させるためにはこの値以下にするよう指定されています。DC24V のコイルなら 2.4V 以下です(形MYの例。使っているリレーのデータシートで確認)(出典: オムロン 形MY データシート CSM_MY_DS_J_7_2)。指令OFFなのにこれより高い電圧が残っていれば、リレーが戻らないのはリレーではなく回路の側の問題かもしれません(詳しくは「戻らないとき」の章で扱います)。
調べ方③:接点は負荷側の電圧で確かめる
表示灯が点いていて、コイル端子の電圧も足りている。それでも負荷が動かないなら、疑う先は接点・ソケット・配線・負荷のどれかです。表示灯は接点を見ていないので、接点が閉じているかどうかは、接点の先(負荷側)の電圧で確かめます。
DC24V のコイルで AC100V/200V の負荷を開閉している、という組み合わせがあります。この場合、接点・ソケットの接点側の端子は、コイルとは別の電源の活線です。コイルの電源を切っても、接点側は生きていることがあります。測る前・触る前に、検電器で確かめてください(検電器の使い方と活線確認の基本|「電気が来ていない」ことの確かめ方)。接点側の電圧を測るときも、レンジはその電源に合わせた電圧レンジです。
リレーをONにした状態(指令ON・表示灯が点灯)で、負荷回路の電源のもう片側を基準にして、次の順に電圧を見ていきます。どの端子が接点のどれに当たるかは、リレー本体やソケットの端子表示で確認してください。
- 接点の入り口側(電源から来る側)に電圧があるか。無ければ、接点より上流(負荷の電源・ブレーカ・配線)の問題です。
- 接点の出口側(負荷へ行く側)に電圧があるか。入り口にあって出口に無ければ、接点の接触不良かソケットを疑います。
- 負荷の端子に電圧があるか。接点の出口にあって負荷に無ければ、間の配線です。負荷の端子まで電圧が来ているのに動かなければ、負荷そのものの側です。
接点の接触不良が疑われたら、原因の候補は「接点が導通しないとき」の章にまとめています。
調べ方④:電源を切ってコイル抵抗を測る
コイル端子に足りる電圧が来ているのに、カチッとも言わない。こういうときに、コイルの断線を確かめるのがコイル抵抗の測定です。
活線に抵抗レンジ・導通レンジを当てないでください。ソケットからリレーを抜くのも、電源を切ってからです。接点側に別の電源が来ている場合は、その電源も切れていることを検電器で確かめてから抜いてください。
電源を切り、リレーをソケットから抜いて、リレー単体のコイル端子の間を抵抗レンジで測ります。
DC品:カタログのコイル抵抗と比べる
DC品は、測った値をカタログ(データシート)のコイル抵抗と比べます。例えば形MY の標準形 DC24V では、コイル抵抗は 662Ω です。この値はコイル温度が+23℃における値で、DCコイル抵抗の公差は±15%とされています(出典: オムロン 形MY データシート CSM_MY_DS_J_7_2)。値に幅があり、温度でも変わるので、「カタログ値から大きく外れていないか」を見る使い方になります。
- 測定不能(OL):コイルの断線を疑います。
- 0Ω近く:明らかな異常です。
AC品:抵抗だけで細かく判定しない
形MY のデータシートでは、ACコイルの抵抗とインダクタンスは参考値(60Hzにて)とされています(出典: オムロン 形MY データシート CSM_MY_DS_J_7_2)。AC品は、抵抗値だけで良否を細かく判定しないでください。測定不能(OL)なら断線を疑う、といった明らかな異常を見るところまでにとどめます。
表示灯付き・ダイオード内蔵形のように、コイル以外の部品が入っているタイプもあります。そうしたリレーの測り方は、使っているリレーのデータシートで確認してください。
なお、コイル抵抗が正常でも、分かるのは「コイルが切れていない」ことだけです。接点の状態は、調べ方③の負荷側の電圧で確かめます。
症状別の原因|カチカチ・うなりが出るとき
カチカチ、ジーという音は、リレーが動作しきれずにいるサインです。リレー本体が壊れているとは限らず、コイルに掛かる電圧の側に原因があることもある症状です。原因の候補は4つあります。
原因1:コイルの電圧不足
コイルに掛かる電圧が不足すると、リレーは動かないか、動作が不安定になります(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。調べ方②のとおり、症状が出ている瞬間のコイル端子の電圧を測ります。大型モータの起動時のように、ほかの機器が動いたときだけ電圧が落ちるケースもあります。
原因2:直流電源のリップル
DCのコイルでは、電源のリップル(直流に残っている脈動)が効きます。オムロンの資料では、直流操作形のリレーの操作電源には、リップル率5%以下の電源を使うよう求めていて、リップルの増大はうなりの原因になるとしています(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。電圧の値は足りているのにうなる場合は、電源の種類を確かめてください。
原因3:インバータ電源の波形歪み
ACのコイルでは、電源の波形が効きます。「インバータ電源を使用した場合、その装置の波形歪みによってうなりやコイルの異常発熱の原因となります」とされています(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。
原因4:回路の回り込み
回路の中で、意図しない経路から電流が回り込む(スニーク回路)と、リレーのうなりや復帰不良の原因になります(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。電圧不足でも電源の問題でもなさそうなら、回路図でコイルにつながる経路をたどってください。
うなりを「音だけの問題」として放置しないでください。電圧不足は、接点の耐久性低下や溶着の原因にもなります(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。
症状別の原因|戻らないとき(溶着か、電圧が残っているか)
冒頭のとおり、指令を切っても負荷が止まらない状態は、制御回路の側から止められない状態です。調べる前に、負荷の電源を上位のブレーカで切って止めてください。
負荷を止めたうえで、指令OFFの状態でコイル端子の電圧を測ります。ここでコイルの電源まで切ってしまうと、この測定はできません。どのブレーカが負荷の電源で、どれがコイル(制御回路)の電源かは、図面で確かめてから操作してください。戻らない原因は、コイル端子の電圧で2つに分かれます。
コイルと負荷が同じ電源につながっていて(例:DC24V のコイルのリレーで、同じ DC24V の電磁弁を開閉している)、負荷の電源だけを切ることができない回路では、この測り方はしないでください。電源を切り、検電で確かめてからリレーをソケットから抜き、リレー単体で確かめます。コイルに何もつないでいない状態で、閉じていないはずの接点(a接点)の端子間が抵抗レンジで導通していれば、接点が溶着して離れていません。
コイル端子に電圧が残っている:まず回路の側を疑う
指令OFFなのにコイル端子に電圧が残っていれば、リレーが戻らない原因は回路の側にあります。形MY の場合、復帰電圧(DC品なら定格の10%、DC24Vなら 2.4V)を上回る電圧が残っていると、確実に戻るとは言えません(形MYの例。使っているリレーのデータシートで確認)(出典: オムロン 形MY データシート CSM_MY_DS_J_7_2)。
- 指令そのものが切れていない:上流の接点やPLCの出力が切れていないケースです。
- 配線が長い(浮遊容量):配線が長いと、浮遊容量によってコイルの両端に電圧が残り、復帰不良が起きることがあります。対策として、コイルの両端にブリーダ抵抗を接続するよう示されています(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。
- 回り込み:回路の回り込みは、うなりだけでなく復帰不良の原因にもなります(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。
コイル端子に電圧が無いのに戻らない:溶着
コイル端子に電圧が無いのに接点が閉じたままなら、接点の溶着を疑います。溶着の原因として、オムロンの資料からは次のものが読み取れます。
- 突入電流の大きい負荷:負荷によっては、入れた瞬間に定常より大きな電流(突入電流)が流れます。突入電流は定常電流の、ソレノイドで約10倍、白熱電球で約10〜15倍、モータで約5〜10倍、コンデンサで約20〜50倍とされています(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。
- DC負荷での接点の転移:直流の負荷を開閉していると、片方の接点が溶融あるいは蒸発して他方の接点に転移していき、接点が引っかかって離れなくなる、溶着に似た状態(接点ロッキング)が起きることがあります(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。
- コイルの電圧不足:電圧不足は、動作不安定だけでなく溶着などの接点障害の原因にもなります(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。
負荷の種類で、リレーが開閉できる電流は変わります。例えば形MY2 の接点定格は、抵抗負荷で AC220V 5A/DC24V 5A、誘導負荷(cosφ=0.4、L/R=7ms)で AC220V 2A/DC24V 2A です(形MYの例。使っているリレーのデータシートで確認)(出典: オムロン 形MY データシート CSM_MY_DS_J_7_2)。誘導負荷では電流の定格が下がる、という点が溶着を考えるときの背景になります。誘導負荷と抵抗負荷の違いはリレーの誘導負荷と抵抗負荷の違いは?溶着を防ぐ選定のコツを解説で扱っています。
溶着したリレーは叩いて直さない
溶着したリレーは、叩いて戻そうとせず交換してください。叩いて戻ったように見えても、溶着させた原因(負荷の種類や電流、コイルの電圧)はそのままなので、同じことが起きます。交換と同時に、そのリレーで開閉している負荷を見直してください。
「戻りが遅い」は故障でないことがある
コイルにサージキラー(CR・ダイオードなど)を付けると、復帰時間が遅れます(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。「戻らない」のではなく「少し遅れて戻る」なら、サージ対策の部品による遅れで、故障ではないことがあります。ただし、以前は普通に戻っていたのに戻りが遅くなってきた、という変化なら話は別です。寿命や溶着の兆候として見る考え方は電磁接触器・リレーの寿命と交換時期の目安|機械的寿命と電気的寿命の違いを参照してください。サージ対策の部品の種類と向きはコイルのサージ対策|ダイオード・バリスタ・CRの使い分けと接続方向を参照してください。
症状別の原因|接点が導通しない(接触不良)とき
表示灯は点き、カチッと音もするのに、接点の出口に電圧が出てこない。調べ方③でこうなったら接触不良です。原因の候補は、使い方と環境にあります。
開閉の少ない微小負荷
「長期間接点の開閉が行われない場合、接点表面での皮膜の生成などにより、接触不安定の原因となります」とされています。微小負荷で開閉ひん度が少ない使い方では、定期的に接点の通電検査を実施するよう求められています(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。例えば、PLCの入力に信号を渡すだけで、たまにしか開閉しないリレーは、この「微小負荷で開閉ひん度が少ない」使い方に当たります。
大きい負荷と微小負荷を同じリレーで開閉している
大きな負荷を開閉したときに出る接点の飛散物によって、微小負荷を開閉する接点の清浄性が失われ、接触不良が起きる場合があります(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。同じリレーの中で、ある接点で負荷を、別の接点で信号を開閉している場合は、この組み合わせを疑います。
周囲の環境:硫化ガス・シリコーン・塵埃
シリコーンガスや硫化ガス(SO2、H2S)、有機ガスのある雰囲気や、シリコーン含有物の近くでは使わないよう求められています。接点表面に酸化シリコンが生成して接触不良の原因になる場合があります(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。塵埃の侵入も、接点の接触不良の原因になります(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。
ソケットのねじ締め不足
リレー本体ではなく、ソケットの端子が原因のこともあります。表面接続ソケットの注意として、「ねじ締めが不十分だとリード線がはずれたり、接触不良により、異常発熱または発火の原因となります」とされています(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。ソケットの端子まわりが変色している場合も、ここを疑います。ねじを確かめるのは、コイル側・接点側の両方の電源を切り、検電してからにしてください。
症状別の原因|コイルが焼けた・変色しているとき
過電圧・誤電圧
定格電圧を超える電圧をコイルに掛けると、コイル焼損の原因になります(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。定格の違うリレーを挿してしまった誤電圧も、これに当たります。リレーの定格電圧の表示と、コイル端子で測った電圧を見比べてください。
注意したいのは「最大許容電圧」の読み方です。「最大許容電圧は、リレーコイルに印加できる電圧の最大値で、連続許容値ではありません」とされています(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。形MY の最大許容電圧は定格電圧の110%で、DC24V なら 26.4V です(形MYの例。使っているリレーのデータシートで確認)(出典: オムロン 形MY データシート CSM_MY_DS_J_7_2)。この値は、連続で掛けてよい電圧という意味ではありません。
インバータ電源による異常発熱
インバータ電源の波形歪みは、うなりだけでなく、コイルの異常発熱の原因にもなります(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。
結露によるトラッキング
周囲温度の急変による結露は、絶縁不良やトラッキングの原因になります(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。盤の中が冷えたり温まったりを繰り返す環境で焼けた跡が出ている場合は、環境の側も見てください。盤の結露の原因と対策は制御盤の結露の原因と対策|冷える瞬間・水の入り口・ヒーターと換気の使い分けにまとめています。
交換したのに動かない:コイルの極性
焼けたリレーを交換したのに動かない、というときは、DCコイルの極性を確かめます。永久磁石を磁気回路に使った有極リレーでは、コイルへの電源を逆に接続すると、リレーは動作しません(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。また形MY では、表示灯付き・ダイオード内蔵形のDC仕様は、コイルの極性を確認して配線するよう指定されています(出典: オムロン 形MY データシート CSM_MY_DS_J_7_2)。交換前と同じ型式か、極性のあるタイプかを確かめてから配線してください。
交換して終わりにしない|同じ壊れ方を繰り返さないために
リレーを交換すれば、症状はいったん消えます。ただ、壊れた原因が使い方や回路の側にあると、新しいリレーも同じ壊れ方をします。
寿命はカタログ値どおりにはならない
オムロンの資料では、「開閉耐久性は、コイルの駆動回路、負荷の種類、開閉ひん度、開閉位相、周囲雰囲気などにより異なります」とされています。また、「カタログに記載された故障率は、規定の条件で試験したときの結果から求めたもので、保証値ではありません」ともされています(出典: オムロン『リレー 共通の注意事項』)。カタログの数字より早く壊れたなら、使い方の条件がカタログの条件と違っていないかを見る価値があります。寿命の考え方は電磁接触器・リレーの寿命と交換時期の目安|機械的寿命と電気的寿命の違いで整理しています。
交換する前に記録しておくもの
- どの症状だったか:この記事の6つの症状のどれに当たったか。
- コイル端子の電圧:指令ONのとき、指令OFFのとき、症状が出た瞬間の値。
- 負荷の種類:そのリレーで何を開閉していたか(ソレノイド・ランプ・モータ・コンデンサを含む回路・DC負荷・微小負荷の信号など)。
溶着だったなら、負荷の種類と電流を見直します(リレーの誘導負荷と抵抗負荷の違いは?溶着を防ぐ選定のコツを解説)。戻りが遅い・うなるなら、コイルまわりのサージ対策の部品も含めて見直します(コイルのサージ対策|ダイオード・バリスタ・CRの使い分けと接続方向)。開閉の回数が多くて接点の寿命が気になる用途では、接点を持たないSSR(ソリッドステートリレー)とは?有接点リレーとの違いと使い分けという選択肢もあります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 表示灯が点いているのに負荷が動かないのはなぜですか?
A. リレーの表示灯はコイルへの通電を表示しているもので、接点が閉じたことを表示しているわけではありません。表示灯が点いていても、接点の接触不良、ソケットや配線、負荷側に原因があることがあります。接点が閉じているかは、負荷側の電圧で確かめます。接点側にはコイルと別の電源が来ていることがあるので、検電してから触ってください。
Q2. テスターでリレーの良否は分かりますか?
A. 分かるのは一部です。通電中はコイル端子の両端の電圧を電圧レンジで測り、電源を切ってからコイル抵抗を測ってカタログの値と比べます。測定不能(OL)なら断線、0Ω近くなら明らかな異常を疑います。ただしAC品のコイル抵抗は、形MYのデータシートでは参考値とされています。AC品は抵抗だけで細かく判定しません。また、表示灯が点いていても接点が閉じているとは限らないため、接点は負荷側の電圧で別に確かめます。
Q3. リレーがカチカチ鳴るのは故障ですか?
A. リレー本体の故障とは限りません。コイルに掛かる電圧の不足、直流電源のリップル、インバータ電源の波形の歪み、回路の回り込みでも、うなりや動作不安定が起きます。まずコイル端子の両端の電圧を測ってください。電圧不足のまま使い続けると、接点の耐久性低下や溶着の原因になります。
Q4. 指令を切ってもリレーが戻らないのは溶着ですか?
A. 溶着の場合と、コイルに電圧が残っている場合があります。負荷が止まらないときは、調べる前に上位のブレーカで止めてください。そのうえで指令OFFのコイル端子の電圧を測り、電圧が残っていれば配線の浮遊容量や回り込みなど回路側、電圧が無いのに戻らなければ溶着を疑います。溶着したリレーは叩いて直さず交換し、原因になった負荷を見直します。
まとめ
リレーの故障を調べる順番は、表示灯 → コイル端子の電圧 → 接点(負荷側の電圧)→ 電源を切ってコイル抵抗です。表示灯はコイルへの通電を表示しているだけで、接点が閉じたことは表していません。
- 戻らない(負荷が止まらない):調べる前に上位のブレーカで止める。指令OFFのコイル端子に電圧が残っていれば回路側、無ければ溶着。溶着は叩いて直さず交換し、負荷を見直す
- 表示灯が消えている:コイルに電圧が来ていない。上流の回路をたどる
- 表示灯は点くのに負荷が動かない:接点・ソケット・配線・負荷。接点側は別電源のことがあるので、検電してから負荷側の電圧を測る
- カチッとも言わない:コイル端子の電圧を測り、足りていれば電源を切ってコイル抵抗。OLなら断線(電圧の目安は、形MYでは定格の80%以上。形MYの例。使っているリレーのデータシートで確認)(出典: オムロン 形MY データシート CSM_MY_DS_J_7_2)
- カチカチ・うなり:電圧不足・直流のリップル・インバータ電源の波形歪み・回り込み
- 焼けた・変色:過電圧・誤電圧(最大許容電圧は連続で掛けてよい値ではない)、ソケットのねじ締め不足、結露
コイル抵抗・導通の測定と、ソケットからのリレーの抜き差しは、電源を切ってから行ってください。そして、交換で症状が消えても、原因が負荷や電源の側にあれば、新しいリレーも同じ壊れ方をします。交換の前に、症状・コイル端子の電圧・負荷の種類を記録しておきましょう。
参考資料
- オムロン『リレー 共通の注意事項』(CSM_GeneralRelay_CN_J_6_1)
- オムロン 形MY データシート(CSM_MY_DS_J_7_2)
